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ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

ボールがオフサイドラインになっている場合の判定 「忖度」してはならない!

自分も以前から(未熟さゆえ)「難しいなあ~」と思っていた判定の例が、かつーさんの記事にありました(こちらです →  「2017UCL準々決勝2ndレグ R.マドリー対B.ミュンヘン 」)。

 

一番最後のオフサイドの反則「誤審」のケースとなったクリロナ選手のハットトリックのプレーです。

 

このように攻撃側選手が最終ラインを置き去りにしてボールをドリブルしながらゴールに向かう場合、副審がキープすべきオフサイドラインはボールとなります。なのでボールより味方攻撃側選手の手と腕以外の体の一部が相手ゴールに近いと、その選手はオフサイドポジションに位置していることになります(ちなみに攻撃側選手の髪型が極端に前方に突き出たリーゼントの場合、それは体の一部とみなされるのかどうか?ということが現在FIFAでも議論になっています・・・なわけないか。失礼)。

 

さて、このケースの場合のオフサイド判定の難しさの要因は以下の四つに大別されるかと思います。

 

①走力

②視角

③錯誤

④雰囲気

 

ここからは(というか常にそうですけど)あくまで4種を主に担当する未熟審判員の視座からの要因としてお読みください。

 

ではまず①。かつーさんも書かれているようにトップスピードになった攻撃側選手に副審が追いつけない状態ですね。4種の試合では追いつけないなんていうことは決してあってはならないでしょうし、上のカテゴリーでも副審に求められるのは「即加速、即停止」。早瀬左近の乗るポルシェカレラRSRターボの並みのパフォーマンスが要求されます。

 

②は見る角度ということなんですけど、当然ながらドリブルでゴールに向かって駆け上がる攻撃側選手と並走するにはサイドステップでは無理なので視線だけをフィールド側に向けた状態で全力疾走となります。正確にラインを目測する精度はフィールドと正対している場合と比べると劣ってしまいます。

 

③は「事象と認識のギャップ」です。ヘンな言い方ですけどこれ侮れません。競技規則上では理解出来ていても突然最終ラインが守備側競技者からボールになった場合にラインの修正が脳内で出来ないままオンサイド、オフサイドの判断をしてしまうことがあるわけです。

 

そんなことあるの?と思われるかもしれませんけど、例えばクリロナ選手の場合のような分かりやすい状況とは異なりゴールエリア内での混戦から1m程度ゴールに向かって攻撃側選手がドリブルで抜け出た状況を想像してみてください。この時最終ラインが守備側の2番目の選手からボールに「入れ替わったら」・・・。もっとパズルのような状況はゴールキーパーが最終ラインより前方に出ているとか同レベルとかになっていたら・・・。これを一瞬で判断する必要があるわけです。

 

話をかつーさんの記事にあるクリロナ選手のケースに戻します。このケースでは映像を見る限りクリロナ選手はボールの最終ラインより相手ゴールに近い・・・つまりオフサイドポジションにいます。

 

さてこの時注意が必要です。それはくどいようですけど監視すべきオフサイドラインはドリブルしている攻撃側選手ではなくボールだということです。「へっ?そんなの同じでしょ」と思われる方もいらしゃるかも知れません。ところがドリブルしているボールがその選手の足元よりかなり相手ゴールに近い(前方に蹴り出されている)ことも大いにあり得ます。この場合必ずボールの真横から監視していなければなりません。このケースの誤審はクリロナ選手の場合とは逆でオンサイドなのにオフサイドと判定してしまうことでもあります。

 

錯誤というものが生じる根本原因はやはり習慣の力のようにも思います。つまり大半の場合最終ラインは守備側選手で形成されており、ボールを最終ラインとして監視する時間はそれに比べてとても短い(=慣れていない)ので脳内での「最後から2番目の選手⇔ボール」という切り替えがスムーズにできないというわけです。

 

さて④はなにかというと、大抵のクリロナ選手のようなケースでは守備側競技者は振り切られているので自分の位置からオフサイドかオンサイドかの判断ができなくなります(すでに自身は最終ラインではないので)。またこのようにドリブルでゴールに迫るプレーというのはスピード感および緊迫感満載のまさにサッカーの醍醐味に溢れる瞬間だったりするわけです。

 

守備側選手から手を上げてのオフサイドアピールもなければ、ゴールに向かっている攻撃側選手の攻撃をゴールキーパーが止められるのかそれともシュートされたボールがゴールネットに突き刺さるのかの1点に観客のみなさんの興味も絞られている、つまり「その瞬間を観たい!」という期待を感じてしまうわけです。もちろんラインを基準に正確に雰囲気に影響されることなくオンサイドかオフサイドの見極めを行います・・・行いますけどやはり過去思い返せば雰囲気を読んで「忖度」していたケースがあったように思います(遠い過去です!)。つまり「ちょっとだけ体が前に出ていてオフサイドだけど、守備側からの異議も全くないし、攻撃側選手やベンチや応援団も盛り上がっている・・・なにしろナイスプレーだから・・・このままゴールに・・・」ってわけです。ココデ ハタアゲタラ クウキヨメテナイ。

 

とまあ、ここまで書いてきてなんですけど、周囲の雰囲気で流されるようでは副審としては不合格です。たとえ目の前のプレーがゲームの展開として素晴らしいものでもダメなものはダメ。すこしでも受け手の攻撃側選手がボールより前方にでていたらフラッグアップです。

 

ただこの雰囲気に流されてしまう本当の原因はボールがオフサイドラインになった場合に副審がラインをキープ出来ていない、つまりラインより後方から追いかけているポジションでの監視になっているため攻撃側競技者のポジションを正確に判断できないことにあると考えます。つまり仮にオフサイドのような印象を持ったとしても「見てもいない」ことに憶測でシグナルを出すわけにはいかないということです。

 

いずれにしても要因はともあれ得点ではなかったものを得点にしてしまう、もしくは得点できていたのにプレーを止めてしまう・・・といった誤審は絶対に防ぎましょう。

 

全く視座を変えると、副審の方の技量によっては主審自ら最終ラインを監視してオフサイドの判定を行うことも必要となります。副審まかせではなく自身の走力とカテゴリーのレベルを考慮しながらチャレンジしてみてください。

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オフサイドの反則。再開場所に隠れた競技規則の「落とし穴」(後編)。

とかなんとか言っていたら?1週間経ってしまいました。

 

さて前回記事にした事象はこういうことでした。

 

1)副審の目の前(ニアサイド)でオフサイドポジションにいた攻撃側選手に向かって味方からパスが出た。

2)その選手は自分がオフサイドポジションに位置していることを知っておりプレーしようとしなかった。

3)この時副審はフラッグアップを堪えながらウエイト&シー。

4)そして次の瞬間ボールに向かってその攻撃側選手が移動して守備側選手と競り合いそうになり、ここで副審がフラッグアップ。

5)オフサイドの反則を認める主審の笛が吹かれた。

 

そして問題は副審がフラッグで指し示した再開場所は4)の反則が成立したところではなく3)の副審がフラッグアップするのを堪えていた場所、ということでした。

 

 

さて、旧規則であれば「競技者がいたところ」となるのでこれでいいのですけど、新規則ですと再開場所は「反則が起きたところ」となるので、このフラッグ指示は如何に・・・?というわけです。

 

ここで前回挙げた次の三つの可能性を再度記します。

 

1)競技規則の適用を間違えた。

2)反則が起こった場所と再開場所のズレは許容範囲。

3)正しい再開場所だった。

 

もし仮に3)であるとしたらそれはどういうことなのか?

で、ここでやや強引な「推理」です。

 

それは:

①実は副審が最初にフラッグアップせずにいた場所ですでに反則は起こっていた。

②ただ明らかに「プレーに干渉」はしてはいない(=ボールをプレーしたり触れていない)し、「相手競技者に干渉」もしていない(=視線を遮ったり、チャレンジしていない)のでウエイト&シーした。

③でボールがさらにゴールライン寄りに移動し、それをオフサイドポジションにいた攻撃側選手が追いかけていき相手競技者に干渉したのでフラッグアップ。

④副審はここで①での攻撃側競技者の動きが「自分の近くにあるボールを明らかにプレーしようと試みており、この行動が相手競技者に影響を与える」ものであったと思い返した。

⑤そこで③で相手競技者に干渉したところではなく、①での場所を指示した。

というものです。

 

なんか、分かり辛いですね。簡単にいうと「思い返すとウエイト&シーするまでもなく最初のところでオフサイドの反則になっていた」ということです。

 

まあ、これ強引な解釈の上、副審の方にも失礼な話となります。なんせ「干渉」という言葉でも明らかなように副審の方の頭の中で旧規則と新規則が混じりあっていた状態を意味するわけなのですから。ある意味妄想ですね。

この妄想を誘引してくれたのが新規則にある以下の文章なわけです。

 

オフサイドの反則

(中略)

・自分の近くにあるボールを明らかにプレーしようと試みており、この行動が相手競 技者に影響を与える。または、

・  相手競技者がボールをプレーする可能性に影響を与えるような明らかな行動をと る。 

 

この文章の正式な解釈は聞いてないなあ~。まあ、原則はなにも変わってないんだろうな~。でもこの文章があるせいで、フラッグアップしてしまうケースに幅がでるような・・・。というわけでさらに具体的ケースに基づいてこの競技規則について検討していきたいと思います。

 

あと、ひとつ気になることがありまして、それは副審のポジションです。例えば今回のケースにおいてもウエイト&シーを行っていた副審は、最初の場所つまり最後にパスが出た瞬間に攻撃側選手がいたところに留まっているように見えました。旧規則ならここが再開場所なので正しくもあり、同時にオンサイドの選手が飛び出して来たら慌てて最終ラインを追いかけるべきなので留まっているのはマズイ・・・という「迷い」がありました。でも新規則なら反則が起こった場所と再開場所は同じなのでこのような「迷い」は生じない・・・と思っていたら今回の副審の位置取りは・・・?

 

う~ん。前後半と分けたのに何も解決されずで失礼しました。勝手ながらもご意見をお待ちしております!

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

 

オフサイドの反則。再開場所に隠れた競技規則の「落とし穴」(前編)。

昨日の日産スタジアムで行われたJ1リーグ第6節横浜FマリノスVSジュビロ磐田の試合を見ていて「おや?」と思うシーンがありました。

 

それはA2の方(多分、作本貴典さん?)がオフサイドの反則でフラッグアップしたシーン。副審の目の前(ニアサイド)でオフサイドポジションにいた攻撃側選手(もはやどちらのチームだったか記憶が定かでない・・・)に向かって味方からパスが出されました。その選手は自分がオフサイドポジションに位置していることを知っておりプレーしようとしませんでした。フラッグアップを堪えながらウエイト&シーの副審。で、次の瞬間ボールに向かってその攻撃側選手が移動して守備側選手と競り合いそうになり、ここでフラッグアップ。主審の笛。

 

「おや?」と思ったのはこの反則での再開場所。フラッグアップした瞬間に攻撃側選手がいた場所、つまり反則が起こったところが再開場所になるべきなのですけど副審のフラッグが指示したのは攻撃側選手がパスが出る瞬間にいた場所なのです。その差10メートルもないとは思いますけどこれって・・・次の三つのうちのどれかのはず。

 

1)競技規則の適用を間違えた。

2)反則が起こった場所と再開場所のズレは許容範囲。

3)正しい再開場所だった。

 

1)はないと思いますけど、事実・・・。2)が一番現実的な解釈なんですけど、でもなあ・・・。

 

さて3)です。旧競技規則ならその通り。今の競技規則に沿うなら間違い.。なので問題外・・・ってわけでもないのですね。どういうことか?次回大胆な推理に挑みます!(大袈裟だな・・・)。

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

サッカー審判員の身体「矯正」

さて3年以上前になってしまったこちらの記事「 普段メガネをかけているサッカー審判員は信用できない!? 」。

 

そうなんです、こう書きながら私は以後も引き続き裸眼で審判業務を行っておりました。で、その間も輪郭のはっきりしない状態で判定を行っていたわけです。

 

やはりなんやかんやと言い訳しながらコンタクトレンズには抵抗がありました。しかし今年に入って自分が事象を正確に(もしくは精密に)捉えられていないことを実感しこのままでは失格と思い「矯正」を行うことにしました。

 

で、本日やっとコンタクトレンズを作った次第です。コンタクトって装着すると違和感あるかと思ったのですけど、つけているのかどうかも分からないくらい違和感ないですね。私の場合近眼の度合いは軽度で乱視矯正が必要な具合なので乱視用を試したら・・・ヨケイミエナイ。もう手元の文字なんかどうやったて読めません。

 

で、諦めかけていたら・・・「乱視用はやめて近視オンリーで行きましょう」とのこと。試してみたら・・・よく見える!ただ、矯正の程度で言えばメガネ→コンタクトレンズの順番で効果が期待できるそうです。愛用のメガネほどではないけど、これならより明瞭に事象が見えそうです(ただ遠近両用ではないのでブッキングはかなり大きめの文字で、あとメンバー表が問題なく読めるのか要確認です)。

 

というわけで、先送り癖のある私もいよいよコンタクト審判員としてデビューです。

 

実戦経験はあらためてレポートします!

 

では、I'll be back.

 

 

新シーズンまもなく 

筆者は普段メガネをかけておりますけど、近年は老眼のため手元が見辛いため、おでこの上にメガネを載せていることがほとんどです。でも今朝自宅を出る前にメガネを見失いそのまま出社したら・・・もう帰宅時には周囲の風景がぼやけて輪郭がはっきりしていないわけです。以前も書きましたけど酷い近眼ではなく(運転免許の条件付きではない)いわゆる「ガチャ目」の乱視なわけなんですね。

 

さて4月からいよいよ新シーズンが始まります。いよいよ「旧ルールですか?新ルールですか?」って確認も必要なくなるわけです(3月中はまだまだ競技会規定によって異なっており確認の必要がありました)。

 

そこで準備です。何を?というわけで(やや強引ながら)以下の5項目を挙げておきます。

1.知識

2.装備

3.身体

4.体力

5.精神

 

1は競技規則の確認ですね。記事は全く追いついておりませんけど変更点を中心におさらいしておきましょう。特にレッドカード、イエローカードオフサイドに関しては念には念を入れて。

2について。例えばシューズの紐が切れそうになってないでしょうか?私の場合はショーツを買い換えました。夏場も冬場も同じショーツを使っては洗濯してまた使っては・・・と数年間繰り返した結果もはや退色して「鮮やかな」黒色ではなくなったわけです(余裕あるならショーツは2セット欲しいところです・・・)。

3は例えば虫歯を治療するとか、審判任務遂行のための万全のフィジカルコンディションにしておこうということです。で、実はこの3が私にとっての今回の最大の課題なわけです。あらためて。

4はトレーニングを継続して必要な走力、持久力、瞬発力を保持する。またはケガの予防にもなる柔軟性やバランス力を養っておこうということです。もうシニアと呼ばれる私の場合は積極的な筋トレを取り入れております。はい。

5は心の準備ですね。イメージトレーニングも役立つと思います。

 

まあ、2月、3月も審判活動は行っていたわけですけど、やはり新シーズンともなると気持ち新たにの感が強まります。

 

さて私の課題は3.それも審判員にとって一番大切もいえる身体のあの部分を「矯正」し「強化」したいと思います(まあすでに冒頭で述べたことなわけです。次回または来月の記事で)。

 

では、I'll be back.

 

 

 

サッカー交代の手続き - まずはここに気を付けろ!の巻

主審、副審、そして第4の審判員として競技者と交代要員を入れ替えること(=つまりは「交代」)はどなたでも経験のあることだと思います。でも、イマイチその進め方がよくわからないなあ~と思うこともあるのではないでしょうか?

 

思うに達成しようとすることは単純(=人の入れ替え)なんですけど、そもそもお手本となる交代方法って何?とか注意すべき点なんてあるの?・・・という意識の方が多いように思います。これは別に批判しているわけではなく、試合中一度も交代がなかった,とかのように交代の経験を積み重ねていく機会がそう多くないことにも(ましてや主審、副審、第4の審判員と立場を変えて)関係しているように思います。でも交代についての意識差のようなものが生じる本当の原因はカテゴリーや大会規定によって交代に関する厳格さや手続き方法の違いがあることに求められるように思います。

 

例えば、乱暴に言い切ってしまうと市内とか町内とかの4種の公式戦での交代って「ゆるく」行われているのが現状ではないかと思います。私も交代の手続きで行うべきことや注意すべき点は3級審判員になってからの割当て試合なんかで学んできたことの方がはるかに多いです。

 

なので本日はカテゴリーや大会規定に関係なく交代において気を付けるべきことに絞って書きますね。それは大きく:

① 監視

② 運営

の二つに分けられます。

 

まず①の監視には:

1)資格

2)用具

3)人数

4)回数

5)番号(≒再入場)

が挙げられます。

 

多分、この言葉をご覧になっただけで説明は必要ないかと思いますけど念のため一つずつ見ていきましょう。

1)の「資格」はまず:

試合前に提出されたチームリストに名前のある交代要員であるのか?

ということになります。でも、これではチームリストを審判員が試合前に確認などしないことがほとんどの4種の場合においてはそもそも気を付けようがありません。もっと言えばこれは交代の手続きの時に初めて気を付けるべきことではなく試合前の確認がすべてともいえる監視ポイントです。

 

なので今回のようにカテゴリーや大会規定の厳格性に関わりなく監視すべき「資格」とは、ズバリ5)の「再出場」に関する資格となるわけです。後ほど触れます。

 

 

2)は:

「身に付けなければならない基本的な用具」や「その他の用具」が競技規則第4条に適合しているか?認められていないものを身に付けていないか?

ということですね。

 

さて今回最低これは意識して欲しいというのが実は3)~5)なんです。

 

1)は論外にしても2)は仮に用具の不備のまま出場させても、それを正すことのできるチャンスがありますけど3)~5)を間違えると大変な問題になります。特に4)5)は一度間違えてしまって試合を開始してしまうとリセットが不可能です。

 

ここからは3)~5)セットで見ていきましょう。なぜならこれらはコインの裏表の関係になって特に5)が認められるかどうかで監視すべき点の比重も大きく異なります。

 

なのでまず5)から。再出場の可否は試合前に大会規定を真っ先に確認しておきましょう。通常は再出場可なら「自由な交代を認める」と規定されているはずです。で、再出場が認められないなら、一度交代でフィールドの外に出た選手は二度とフィールドに入れてはいけません。つまり交代した時点でその選手は競技に参加する「資格」を失ったわけです。また当たり前ですけど退場処分になった選手も「資格」はないので二度とフィールドに入れてはいけません。(ちなみに退場処分になった選手が離れなければならない「フィールド周辺」とは当該競技場においては明確にどこのことなのか(=逆に言えば「どこに行けばいいのか」)試合前に審判団の間で確認合意しておきましょう)。*ちなみに大会規定に「自由な交代」と書かれていると4種の場合8人制の場合のように主審や補助審判員の承認なしに交代できると勘違いされるベンチ役員の方もいらっしゃいますので要注意であります。

 

こうやってみると一見同じことを言っているように思える3)と4)を分けている意味もお分かりいただけると思います。

 

つまり:

「再出場」可の場合は回数をまず第一の監視項目に置きます。交代の回数が規定以上になることは絶対に避けなければなりません。もちろん選手の出入りは厳格に監視する必要がありますけど、多分ほとんどの場合出入りする選手の番号をその都度ブッキングされたりしてないのではないでしょうか。本来それをすべきですけど、それよりも各チームの交代回数を「正」の字を使ってカウントする方が実用的に思います。

 

さてでは「再出場」不可の場合は人数・・・とはなりません。これも同じく交代の回数でOKです。では人数とは何かというともし交代要員の数が交代できる上限の数未満なら(例えば交代が6人まで認められていても実際の交代要員は2名しかベンチにいない場合等)交代回数はその人数を超えることはあり得ないわけなので、交代要員の数を把握しておくことが再入場も防止し交代が「不正」に行われないことの徹底につながります。

 

しかし「再出場」不可の場合の一番の監視項目は「番号」となります。つまり同じ番号の選手が2度入場することは絶対にさけるということです。ここは最重要監視項目です。この場合はブッキングに手抜きなきよう。

 

さて再び3)です。実はこの「人数」というのはフィールドの中にいるべき選手の人数という意味なのです。11人なら交代後も当然11人です。退場の処置で10人になっているチームが交代で11人になってはなりません。なので12人なんて絶対ダメあり得ない・・・ことが絶対起こらないとも限りません。この防止には的確な入退場のプロセスが求められます。そこで次の②の「運営(=オペレーション)」となるわけです。

 

②運用には:

1)タイミング

2)スピード

の両方が要諦となります。

 

1)は原則的に交代の要請があって準備が整ったなら第4の審判員はいかなる場合でも次のアウトオブプレーで主審に交代の承認を求めるということです。「クイックスタートしそうだから今じゃなく次のアウトオブプレーまで待つか」は主審と交代のタイミングについて特段の取り決めがない限りは、勝手に判断することはNGです。アウトオブプレーがスローインだろうがフリーキックだろうがコーナーキックだろうが交代を最優先しましょう。アディショナルタイムの表示や伝達と選手交代のタイミングが重なったらどうしますか?この場合も交代優先、アディショナルタイムの表示は行わなくてOKです。

 

最後に2)は当然ながらなるべく時間をかけずにスムーズにスピーディに交代の手続きを行おうってことです。複数の交代が要請されたら交代となる競技者の番号を一人呼んでは交代し、次にまた一人呼んで交代・・・なんてことはやめましょう。審判員がアディショナルタイムの加算に加担するようなことはNG。

 

「自由な交代」で仮に6人同時の交代が要請されたら・・・交代カードがなければ交代要員の選手に次々と交代するフィールド内にいる選手の番号を呼ぶように指示するのも一つの手です。交代カードがあるなら順番にそれを見ながら呼ぶのも手ですけど、この場合も交代ボードで全員の番号を表示していたら日が暮れてしまうので、この場合も選手に番号を言わせるのも手です。

 

さて、ざっと上記のような監視ポイントと運用の注意点を挙げてみました。で、交代の場合はやはり経験による慣れが大切かなと思います。で上記の運用と矛盾するようでもありますけど、慣れてないのに急いで処理しようとするととんでもないミスを犯しかねません。確実に自分の中で監視ポイントがクリアできたことを確認しながら、落ち着いて焦らずに必要な時間をとることを恐れずに交代は行いましょう。できれば4種の試合なんかでも積極的に第4の審判員を担当して実践してみてください。

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主審の判定スキルが飛躍的に向上するの術(・・・かもしれない)

3級審判員の私達の場合、1級審判員の方々と組んで試合を担当させて頂くことはありませんけど、2級の方やより上級を目指す3級の方々と組む機会は頂きます。やはり上級の方とご一緒させていただくと色々な意味でとても勉強になります(お叱りをいただくことももちろんあります・・・汗)。

 

さて、そんな中で主審として判定スキルを磨くためのヒントがあります。

 

「ファウルがとれていなかったよ」とか「あのプレー見えてた?」とか「争点から離れていたね」とかのご指摘いただく原因は何度も記事化しているように「ちゃんと走れていない」という基本のキが出来ていない、もしくは「ポジションが良くない」ということもありますけど、もうひとつの原因は「何を見るべきかがわかっていない(もしくは「なんとなく見ている」)」ということも挙げられます。

 

ここで、いきなりですけどフランスの哲学者ミシェル・フーコーがその著書「言葉と物」で述べていることをちょっと長いですけど(しかも分かり辛い!)そのまま以下に引用してみます。

 

「物と語はきわめて厳密に交錯している。自然は名称の格子をとおしてしかあたえられない。そして、そのような名がなければ無言で目に見えぬままにとどまるはずの自然は、自然を知にたいして提供し、それを言語によってすみずみまで貫通されたかたちでしか目に見えるものとしない、この基盤目の彼方にたえず現存しながら、それらの名のはるか背後できらめいているのだ。」

 

この文章の私の勝手な解釈は「人は網膜に映っているもの全てをそのまま知覚することは出来ない。ひとつひとつのものを言葉に置き換えること(=例えば物に名前を付けるとか)で知覚できている」ということです。

 

これは決して言葉が万能で見えているものすべてを言葉に置き換えることで把握できるということではありません。試しに、今あなたがいる場所から見えるものすべてをはるか離れた場所にいる友人に電話で伝えようとしてみてください。話言葉であろうと文章であろうと網膜に映っているものすべてを言葉に置き換えるっていうのは人間には不可能(というか、それが言葉の限界でもある)だということがすぐに分かると思います。

 

一方で、不思議な感覚でもあるわけですけど、目の前にあるものが言葉に出来ないと「なんとなく見えている」けど、それが何であるかは人間には把握できないんですね。

 

これを極端に言い換えるとスイスの言語学者フェルディナン・ド・ソシュールが言ったといわれる「あらかじめ確定された諸概念などというものはなく、言語が現れないうちは、何一つ分明なものはない」と同義になるかと思います。

 

とまあ、恒例の「回り道」をしましたけど、主審の判定スキルというのは判定すべきことが主審自身の頭の中で明確になっているか(=きちんと言語化できているか)どうかに左右されるということです。

 

なので自分自身が出来ていないことを棚に上げて申し上げると主審として「何を見るべきか」を常に言葉にして心の中にもちながら選手の動きやボールの行方を監視することで判定のスキルが向上するのでは?・・・ということです。そして上級の方々をみると必ず複数の「何か」を、しかも同時に監視していることが分かります。

 

ここでは「複数」ということと「同時」ということが極めて大切になってきます。なぜならどんなに判定スキルの低い主審でもとりあえず「何か」を見てはいるけど、そればかりに集中して、ほかの(場合によってはもっと重要な争点かもしれない)「何か」を見落としているかもしれないからです。

 

そこで提案(?)なんですけど、主審を担当するにあたり常に同時に3つの視点(=監視すべきこと=「何か」)を(頭の中で)言葉にして持つようにしましょう。

 

なぜ3つかというと、2つまでなら割と簡単に同時に監視すべきことを挙げることができると思いますけど常に同時に3つ(それ以上でも別によいわけです)となるとちょっと考えないと挙げることが難しい場合もあるかもしれないからです。つまりこの「ちょっと考える」ということが訓練になるわけですね。

 

あとこの同時に3つの視点を持つことは、今目の前に起こっている事象だけでなく、これから起ころうとしていること(=例えば次の争点や展開)に対する視点も含まれていてもOK、というか含まれているべきでしょうね。正確にいうとこれは先を見通しておくということで視点というよりも視野の問題かもしれません。

 

ちなみに(ふたたび回り道になりますけど)ここに視点や視野の違いについて簡単に記しておきますね。

 

視座 = 誰から見るのか

視野 = どの範囲を見るのか

視点 = どこを見るのか

 

以前書いたことの繰り返しになりますけど、スタジアムにおいては観客の見え方と主審の見え方は当然違います。距離が主審より離れて高い目線で見ることができる観客にはより俯瞰的にフィールド全体を見ることができます。これでお分かりのように視野や視点を変える(広げる)ためには視座を変える(=他の人になったつもりで見てみる)ことが手っ取り早いわけですけど、主審はあくまでフィールドの中にいる必要があります。なので主審が異なる視野や視点を手に入れるためにはやはり「よりよいポジションを求めて動く」ことが必須になりますね。

 

で、今回のお話はあくまで視点に絞ります。

 

さてでは訓練として次の状況での主審としての視点(=監視すべきこと、または予測すべきこと)を3つ挙げてください。

 

① キックオフ

② 主審サイドからのコーナーキック

③ ゴール前のフリーキック

④ 守備側選手達による自陣深くでのパス回し

⑤ パントキック

 

当然その時々の試合全体の状況や時間帯またカテゴリーや選手の技術レベルによって、「同時に持つべき3つの視点」は異なるでしょう。下記に挙げるのはあくまでも一例とお考えください。

 

① 同じ選手による「2度蹴り」はないか?主審サイドのタッチライン寄りにいる競技者によるインプレー前の相手ハーフへの侵入はないか?キックオフ側でないチームの競技者によるインプレー前のセンターサークル内への侵入はないか?

 

② ボールはコーナーエリア内で静止した状態で置かれているか?ゴール前の競技者が腕や手などを使って相手競技者を押さえてないか?クイックスタートによるショートコーナーなどの戦術の邪魔に(主審のポジションが)なってないか?

 

③ (クイックスタートもあると意識して)相手競技者の位置や動作はどのような状態か?壁の中での小競り合いの状況は?ボールがインターセプトされたり、ゴールキーパーによってキャッチされ前線に素早く送られた場合にカウンター攻撃にかかわりそうな競技者の位置や人数は?

 

④ ボールを大きく前に蹴り出しそうな予備動作は始まっているのか?ボールの供給を受けそうな攻撃側競技者の位置や動きはどのような状況か?パスが行きそうな攻撃側競技者と守備側競技者の競り合いが始まっていないか?

 

⑤ ゴールキーパーによる(ペナルティエリアの外にボールを持ったまま出てしまう)ハンドはないか?ゴールキーパーが6秒ルールに抵触するような恐れはないか?ボールの落下地点でのプレーの優先権はどちらの競技者にありそうか?

 

こうやって書いてみると3つじゃ足りないですね。あと重要なのはこの3つを順番に監視するということではなくあくまで「同時に」監視することが肝要です。例えば②の主審サイドからのコーナーキックの場合、私なんかはボールがコーナーエリア内に置かれてるのを確認してゴール前でのインプレー前の選手の競り合いに再び目を向けて・・・となりますけど、これではボールが正しくセットされているかどうか?ばかりに意識が集中していて、この隙に何か懲戒罰になるような行為、もしくは注意を与えるべき行為があっても主審は見ていなかった・・・となってしまいます。この場合例えばあくまでもゴール前の競技者に目を向けながら主審サイドのコーナーエリアにバックステップで近づきながら首を左に振ってボールのセットを監視するという方法もあります。要は「視点を同時に複数」をということです。

 

あと上記のケースにおいて多くの視点が簡単に挙げられる場合とそうでない場合があると思います。そうでない場合にその人にとっての機会点が多くあると考えられますね。

 

というわけで「同時複数視点」というキーワードで主審の判定スキル向上について書きましたけど、これを試合全体を通じて意識し実践することが何より大切。わたしも引き続きチャレンジします!

 

では、I'll be back.