ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

「君は笛を吹けるか?ペナルティーキックの判定」2018FIFA ワールドカップロシア大会 雑報その③

さて先ほどまで行われていた韓国代表とスウェーデン代表の試合。

 

このままスコアレスドローかと思っていたら、またビデオ判定によるペナルティーキックとなりスウェーデン代表が先制点を入れました。

 

それにしても、今大会に入ってもう見慣れたといっても言い過ぎではない主審の両手の動き(モニター画面の四角を表すあのシグナルです)とペナルティーマーク方向を指し示すシグナル。第一戦の段階でこのペースだと今後も増えていくでしょうねヴィデオ判定によるPK。逆に言えば今まで多くのペナルティーエリア内のファウルがノーファウルと判定されていたとも言えます。

 

ペナルティーエリア内の守備側選手によるファウルは笛を吹けばPKとなる重大な判定となるので正直簡単には笛を吹けないという側面があることは否定できません。でも吹けないとダメなんですけど、これだけの数の判定においてヴィデオに頼らざる得ないってことは、やはり難しいんです。というわけでファウルだったのに笛が鳴らない場合は大別して三つ:

 

1)そもそも事象が見えなかった

2)事象は見えたもののノーファウルに見えた

3)(ファウルを見たが)吹けなかった

 

となりますね。

 

1)はあってはならいことですけど・・・やはりポジションの悪さや複数の争点の見落としが原因で起こることです。

2)はまさにこの試合での韓国代表のスライディングタックルの判定です。主審は正当なタックルと当初みてプレーを続けさせます。しかし・・・。

3)はこのレベルの審判の方々にはありえませんね。でも私なんかですと・・・これが正直にいうとあるんです。特にあまりにも眼前で明らかなファウルの時に逆に吹けなかったりします・・・反省。

 

この試合の主審はエルサルバドルのAGUILAR Joel さん。アギラールさんの肩を持つわけではないのですけどスライディングタックルの見極めは難しいです。ボールとプレーの距離、プレーの優先度、ボールに向かっている足およびスペアフットの動きや位置関係などなど多くのポイントを一瞬で見分けなければならいので・・・しかもヴィデオにように事象を拡大して見たり繰り返し見たり出来ないですしね。

 

さて元に戻ると今回で世界的認知となったヴィデオ判定により、「やはり今までも主審によるペナルティーエリア内のファウルの見落としはあったんだなー」とのイメージが出来てしまうのは避けられないですね。判定の精度は向上して、一方で審判に対する信頼度は・・・永遠の課題のような・・・。

 

では、I'll be back.

  •  

 

 

 

 

 

 

 

 

「走ることは目的ではないけど、やはり大切」2018FIFA ワールドカップロシア大会 雑報その②

あらら、グループEブラジル代表対スイス代表の試合1-1の引き分けとなりました。これぞ初戦の醍醐味(怖さ?ドイツ負けたしセルビア勝ったし)。スイスにとっては好スタートになったのではないでしょうか。

 

さてこの試合の審判団は以下の通り。

 

主審:César RAMOS(メキシコ)

A1:TORRENTERA Marvin(メキシコ)

A2:HERNANDEZ Miguel(メキシコ)

4th:PITTI John(パナマ

 

で、ラモスさん後半5分間のアディショナルタイムの時にもかなりの距離をバックステップで走っていました。ウーンさすが。ボールやプレーから目を離さず正対監視するためにはとても有効な走り方なんですけど、これ試合後半になればなるほど足に疲れがでてきて出来なくなってくるんですね(経験者談)。私なんか最初のうちは調子よくゴールーキーパーのパントキックゴールキック時にバックステップを使っていても、やがて首を横に向けながら斜めに走り始め自分でも「あっ~サボってる」と心の中で不甲斐なさを嘆いていたりします。

 

ラモスさんの場合はハーフウェーラインを横切る形でバックステップしてドリブルする選手を監視していたので試合終了が迫るこの時点でも相当余裕があったんだろうなー。

 

さてあとこの試合では予想通りというかネイマール選手がかなりの頻度でファウルによってドリブルを止められていました。スイスのデイフェンスが二人で挟んで進路妨害するとかのプレーです。ネイマール選手のイライラぶりも伝わってきましたけどとにかくスイスの選手も必死です。で、この場合繰り返しの反則も気になるところで、主審としては何番の選手がどの程度の頻度でファウルしていたのか覚えておく必要があります。この何番を記憶しておくのが私なんか疎かになることが多く、単に笛を吹いて「点」としてその場その場の判定にするだけでなく「線」としてファウルの状況を把握して場合によっては警告にすることも必要です。

 

まあ、ネイマール選手の場合ファウル狙いもあるんだろうな~。

 

こうやって雑報は続きます(のはず)。

 

では、I'll be back.

 

「テクノロジーに助けられたい!?」2018FIFA ワールドカップロシア大会 雑報その①

その①があるということは②以降がある・・・とは限りません。

 

さていきなり盛り上がってますね~。今夜も寝られない・・・というわけにはいかないのが審判業務。今週末も試合で埋まってますので体調管理、体調管理と。

 

で、先ほど終わったばかりのフランス対オーストラリアの試合も審判的にも見どころ満載でした。

 

この試合を担当されたのはウルグアイの審判団。

主審 CUNHA Andresさん

A1 TARAN Nicolasさん

A2 ESPINOSA Mauricioさん

4th Julio BASCUÑANさん(チリ)

加えてヴィデオ副審はMauro VIGLIANOさん(アルゼンチン)ら4人の方々。

 

さてさて率直に言ってアンドレス・クンハ主審、本日は相当テクノロジーの恩恵を受けたと思います。

 

まずはフランスの1点目PKとなったファウル。後半11分ボールをドリブルしながらゴールに迫るグリーズマン選手をオーストラリアのリスドン選手がトリップでペナルティーエリア内で倒してしまいます。この事象に対してクンハ主審は笛を吹きませんでした。なぜ吹かなかった(吹けなかった)のか?それは多分事象を見ることが出来なかったからです。原因として:

 

1)クンハ主審、完全に「串刺し」の位置です。フランスの見事なスルーパスに出遅れてしまってますね。これ我々であればインストラクターの方からお叱りを受けるレベルです。

2)加えてトリップの事象自体も見極めが難しかったです。リスドン選手が最初に足を出したタイミングでは グリーズマン選手の足にはかかってないんですね。直後スライディングした体勢のリスドン選手の右足がグリーズマン選手の左足の足首の後ろもしくは脹脛あたりを上から押さえつけるような形になっているのですね。

 

の二つが挙げられるかと思います。

 

ここで出たー!ビデオ判定です。我々なら主審のポジションの悪さで異議の嵐にさらされたかもの結果を見事挽回です!う~ん・・・。

 

さて次に二つ目(多分)。今度は同じく後半15分にフランスのウムティティ選手が自陣ペナルティーエリア内で伸ばした腕でボールに触れてしまいオーストラリアにPKを与えてしまいます。

 

ここからは私の勝手な憶測です。オーストラリアの選手達の必死のハンドリングのアピールで詰め寄られた後でペナルティーマークを指しているクンハ主審。この時A2のエスピノサさんもしくはヴィデオ副審からの助言が電子通信システムを通じてあったのではと思います。これ、我々なら選手に詰め寄られて(事象をリアルタイムで見てないのに)笛吹いてPK与えたと思われかねないタイミングの悪さです。

 

ちなみにウムティティ選手のこのハンドリングに対しては反スポーツ的行為でイエローカードも検討すべき事象かと。

 

さて三つ目です。フランスの決勝点となった2点目のポグバ選手のループシュートです。ここもクンハ主審GLT(ゴールラインテクノロジー)システムによるヴィジュアルシグナルに助けられたものと思います。あの位置からのシュートだったのでオフサイドラインを監視していたA1のニコラスさんゴールインした時点ではゴールラインの真横の位置には到達できておりません。

 

これまた我々であれば審判団のだれも事象を目撃できずノーゴールの判定で紛糾していたかも・・・です。

 

さてこの試合審判団にとって難しい事象の連続だったでしょうか?確かにフランスの2点目はGLT(もしくは追加副審)の助けがないと判断困難だったかと思います。一方で二つのPKの判断についてはクンハ主審のポジショニングや笛を吹くタイミングに課題があったように思います。

まあ、どちらにしろ選手達にとっては「誤審」の被害を被ることなくフェアな結果になってめでたしめでたしかと思います。複雑な気分ではありますけど・・・。

 

さてこちらはテクノロジーの補助とは無縁の審判業務がこれからも続きます!

 

では、I'll be back.

 

 

 

PKもしくはPK戦における「正当なフェイント」と「不正なフェイント」

さて昨日の記事のフォローアップです。

(ここでの事象は6月6日(水)にパロマ瑞穂スタジアムで開催された天皇杯2回戦の名古屋グランパス(J1)対 奈良クラブ奈良県代表/JFL)の試合後のPK戦で起こった奈良クラブ40番金久保彩選手のキックプレーを取り上げています)

 

私もそうですけど多くの審判員の方々が知りたいのは今回のキックフェイントは「正当なフェイントなのか不正なフェイントだったのか?」ということだと思います。

 

結論から書くと本日開催され公表されたJFA審判員委員会の判断は以下の様です。記事をそのまま引用させていただきます。

ここから引用>>>

審判委員会では、PK時の金久保のシュートそのものに違反があったかどうかを映像を使って確認した。蹴る際にフェイントを入れると不正になるが、助走中のフェイントは不正にならない。今回軸足でステップを踏んだ時点は助走の一部であると確認し、「主審の判定は誤りであった」と誤審であったことを公表した。

引用ここまで>>> 「デイリースポーツ」より引用

 

この記事が正確に審判委員会の判断を表現しているかどうかは今はまだ完全に把握できないのですけど、現時点では清水修平主審が不正なフェイントと判定したこと自体が間違いだったということになります。

 

正直言って清水さんに同情してしまう難しい事象だったように思います。ここでのポイントはあれが「ケンケン」だったということではなく「助走の完了」というのはどの時点になるのかということに尽きると思います。つまり:

 

「競技者が一度助走を完了した後、ボールをけるためにフェイントをする(助走中のフェイントは認められる)主審は、そのキッカーを警告する」

 

というのが不正フェイントと正当なフェイントの唯一の競技規則上の定義なのです。

 

なので今回の奈良クラブの金久保選手の助走はどこで完了したと見なすべきなのかが判定の分かれ道になるわけです。上記の記事通りだとすると審判委員会の見解は軸足でステップを踏む行為は助走の一連の行為となり、軸足が停止しボールをける体勢になって始めて「助走を完了した」状態になると理解できます。

 

蛇足ながら今回のような「事件」が報道されている記事を読むと担当記者の方の多くが正確に競技規則を理解していないまま執筆している、もしくはかなり読者に誤解を与える表現をしていることが分かります。例えば:

 

記事A「今季から禁止フェイント「失敗」」→ 不正なフェイントの場合は結果を「失敗」(=ゴールにならなかった)とすると表現しているつもりなんでしょうけどなんか今年の競技規則からフェイント自体が禁止になったように読めますね。

 

記事B「昨シーズンから、審判がフェイントと判断した場合、そのPKは失敗と見なすことになっていた。」→ 助走中のフェイントは認められていますよ。

 

記事C「奈良クの4人目のキックについて、主審は助走の際にフェイントを入れたと判断。競技規則に従い、「失敗」と判定すべきだった」→ だ・か・ら・・・助走中のフェイントは認められていますって(苦笑)。

 

というような感じです。記者の皆さん正しい情報の普及のために競技規則を読むとか、こちらの記事を定期購読して下さいね!

 

さて閑話休題。というわけで不正フェイントと正当なフェイントの判断の境目は「軸足が停止された(固定された)かどうか」ということになろうかと思います。なので仮に「軸足ケンケンキック」でも最後の軸足ステップでボールを蹴る体勢に入ったのちにフェイントがなされなければ正当なキックプレーとして認められ、同じ「軸足ケンケンキック」でも最後の軸足ステップの後になされたフェイントは不正となるわけです。これが私が「ケンケン」が事象の本質ではないと書いた理由なわけです。

 

う~んでもいきなり目の前でケンケンキックされたらやはり迷います。

 

あと、仮に助走後のフェイントが起こってもいきなり笛を吹いて止めることのないように。これは試合中のPKだろうが試合後のPK戦であろうが同じです。「主審がペナルティーキックを行う合図をしたならば、キックは行わなければならない」わけですから仮に不正なフェイントがあっても蹴らしてください。フェイントが起こった時点で笛を吹いて止める必要もなければ、それがフェイントかどうかを蹴り始めた瞬間からボールに触れるまでの間に判断するのは至難の業ですからじっくり見極めて判定してくださいね。

 

さて最後に質問です。以下の事象をあなたならどう判定しますか。

 

「キッカーは助走を停止したあとボールを蹴るふりをしたものの、それが認められないフェイントと気付き、再度後ろに下がり助走を始めた」

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

 

チームで防ぐ競技規則の適用ミス

結構、記事ネタをため込んでいるのですけど(という筆が進まぬ言い訳)今日は「時事ネタ」を。

 

競技規則第10条「試合結果の決定」と第14条の「ペナルティーキック」は合わせ技で読んで記憶しておく必要があります。で、2015/2016年版までの「競技規則の解釈と審判員のためのガイドライン」に書かれていたキックの結果の要約表は不完全なもので要約になっていませんでした。これが2016年/2017年版の「ペナルティーキックの結果」の要約表は代表的な事象がほぼ網羅され分かりやすくなっております。さてこれでひと安心・・・とならないのは、2017年/2018年版においてさらに改正されているからでもありますけど、それよりもなによりも筆者が思うにペナルティーキックやペナルティーマークからのキックの「出現頻度」に競技規則の適用ミスを犯してしまう遠因であるのでは、というわけです。

 

つまりある程度の審判経験があればペナルティーキックやペナルティーマークからのキックを担当する機会は誰にでもあると思います。とはいえ、毎試合経験出来ることでもありません。毎週審判員されている方でも「久しぶりのペナルティーだなあ」なんてこともあるでしょう。特にキック前の要件やキック進行中の要件そしてキック結果に応じての決定と注意すべき点が多い「ペナルティーマークからのキック」において、競技規則に書かれている全ての事象について実際に経験するということは中々ないことです。ましてや繰り返し「競技者が一度助走を完了した後、ボールを蹴るためにフェイントする」という事象に出くわすことなんてありません。

 

このように出現頻度が少ないと「繰り返し学習」の効果は期待しづらく、ということはある意味4級審判員でも1級審判員でも経験豊かとは言えずその都度初心に立ち戻って細心の注意を払って競技規則の適用ミスを防ぐ必要があります。

 

ここからが筆者が考える適用ミスの防止策です。それは経験があまり出来ない事象だからこそ審判員がお互いに万全の準備(=事前確認)を行い、進行中も助け合うってことです。特に主審を担当している場合、競技規則を誰よりも完全に把握していることを前提としますのでなかなか自分から競技規則の記憶が曖昧な部分を副審に確認するとか、自分が適用ミスしそうになったらサインをだすなどして知らせてくれとは副審に頼み辛いものです。

 

もちろん競技規則の記憶が曖昧とか適用ミスしてしまうとかは審判員として許されることではありません。その上で少しでも進行方法や規則適用に不安を覚えるなら素直に審判団で確認し合うこと、そして3人(または4人)がチームとなって慎重に主審の進め方や判定を観察し必要に応じて助言し合うということです。

 

しかし試合結果が一度確定した後にペナルティーマークからのキックのやり直しを行う(=再試合)っていうのは前代未聞だなあ・・・。

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

ゴールーキーパーが投げたボールに足を出して当てたら。

UEFAチャンピオンズリーグ勝戦レアル・マドリードが勝ち三連覇しましたね。

 

さて巷で話題になっている?レアルのカリム・ベンゼマ選手のあのプレー。つまりリヴァプールのGKロリス・カリウス選手が投げたボールに足を出して当ててゴールが認められたあのプレーのことです。

 

これはファウルではなく得点が認められるべきプレーであることをご納得いただけていない方は、以下の二つの過去記事(コメントもあわせて)をお読みください ↓

「 ゴールキーパーがボールを保持している状態を正確に言えますか?-前編 」

「 盃なのか?横顔なのか? 」

 

それにしても試合中は何が起こるか分からない・・・気が抜けないなあ・・・。

 

では、I'll be back.

 

「過剰な力」で犯す反則の指示が監督やコーチからあったなら。

あまりの怒りに過去記事へのリンクを貼りました。

 

「 サッカー審判員が桃太郎侍になる時。

 

この記事の中で以下のように私は書きました。

 

(引用ここから)

たとえ軽口でもたとえ冗談のような仕草でも:

 

●差別

●暴力

●生命への冒涜

 

を示唆したり意味したら「許さん!」というのが私の基準です。つまり退場もしくは退席ということですね。

(引用ここまで)

 

もしベンチ役員が「相手の選手に怪我させろ」なんてことを意味する(文言そのままでなくともそれを示唆している)ことを言ったら即退席です。

「非人道的な発言」なんて絶対許しません。

 

そんな監督がいたらサッカーというスポーツへの冒涜であります。それはアメリカンフットボールにおいても同じです。そんな監督やコーチのせいで長い歴史を持ったスポーツがスポーツでなくなります。そんな監督やコーチが指導者や学校の運営自体に関わっていたら長い歴史を持った教育機関も教育機関ではなくなってしまいます。

 

発言だけで許されないのであるのですから行為におよんでは絶対に許されません。「つぶせ」は「思いきってあたれ」という意味だった?答えは出ているではありませんか。それならなぜ「思いきってあたれ」では済まされない行為があったその直後に「何やってんだ!」との声が監督やコーチから上がらなかったのでしょうか?

 

これ以上真剣にプレーしている選手を冒涜することは止めて欲しい。

 

審判員である限りは自分の怒りという感情はコントロールする必要がありますけど、「許さん」という気持ちをもつべき瞬間も忘れてはなりません。審判員が守るべきは試合中の選手の安全だけではないのです。真剣に競技に打ち込む選手の尊厳もまた守らなければなりません。

 

では、I'll be back.