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ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

サッカー審判員が言ってはいけないこと

何年か前の話です。市内の小学生の公式戦で副審(A1)を務めていた私の耳に後ろのベンチの声が聞こえてきました。「ひどいな~子供たちが怪我しちゃうよこれじゃ。主審ぜんぜんファールとらないじゃん」とコーチ同士の会話。

私の目から見てもファールと思われる危険な接触プレーが何回かありました。主審の目の前しかもフィールド中央やA2寄りなのでファールサポートもできません(といっても当時の私の技術でどれだけサポートできたかは?ですが)。

そこでハーフタイムに思い切って伝えてみました。「決定は主審の判断なんで、私の印象として聞いてください。ちょっとラフな、ひょっとしてファールかと思われるプレーが続いてますね」主審とA2の方は同じチームに帯同されていたようで、2人そろって発した言葉が「小学生ですからね。皆ボールに行ってますよ」。

「ボールに行っている」。これは審判を務めた方なら試合中に聞いたことのある言葉だと思います。「ボールだって!ボール!!」Jリーグやプレミアリーグの試合でも主審のファール判定に不服そうに選手がそう言っているかのような画面に出くわすことがあります。

かって3級審判員の座学でビデオでプレーの実例を見ながら「カードをだすべきか?だすなら何色か?」という質問形式の講義がありました。その中で守備側競技者がスパイクの裏を完全に見せて「ライダーキック」状態で攻撃側競技者と接触(相手の胸部をスパイクの裏で蹴る)するプレイがありました。これは完全にレッド。文句なしの一発退場です。

ところが一緒に講義を受けていた審判員のお一人が「私はイエローにします。ボールに行っているように見えますから」という回答。

「ボールに行っている」再びこの言葉を聞いたわけです。

そうですね。多分この競技者もボールをクリアするためにボールに行ってるんでしょう。では「ボールに行っていれば」ファールにならない、懲戒の罰則は軽減されるのでしょうか?この場合ですと、ボールの周り(例えば半径5m以内)に他のプレーヤーもいないでライダーキックするなら、何のファールにもならないでしょう。でもボールのすぐ後方に攻撃側競技者がいるこのケースの場合、「ライダーキック」した守備側競技者には「ボールクリアできりゃいいや。スパイクの裏が直撃するかもしれないけど(胸だろうが顔だろうが)」といったように相手競技者を「負傷の危険」(ただの危険でなないことに注意)にさらすことに対して配慮が欠けているわけです。そして結果、スパイク裏キックです。

これをレッドにしないとレッドカード出すべきプレーなんてなくなります。

競技者の安全を第一に考慮すべき審判員の立場からは「ボールに行っている」はファールを犯したことの免罪符にはならないのです。もちろん今後、機会をあらため書く「選手のプレーの意図を読む」ことは審判員にとって大切です。でも決して言ってはいけません。「ボールに行っていますから」とは。

冒頭の小学生の試合での審判の方たちには当時の私の審判技術では説得力のある伝え方はできないと思い、それ以上は指摘しませんでした。何よりオープンマインドになって他の審判員のコメントを聞こうという姿勢が感じられなかった(私の伝え方が原因だと思います)のでその場はそこまででした。

「ボールに行っている」は禁句ですよ、審判員は。

では、I'll be back.