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ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

「笛吹いて」と選手に言われたら - 後半

さて「笛吹いて事件」の続きです(初めての方は昨日の「前半」からどうぞ)。

まずフリーキックになるファールをとって攻撃側選手がリスタートしようとした時に守備側競技者が規定の距離(9.15m以上)ボールから離れないことは試合中によくある状況です。特に自陣のハーフ内やペナルティエリアに近い位置でのフリーキックの場合、守備側競技者はクイックリスタートさせないためにボールの前に立ちます。この時主審が絶対やってはいけないことは「すぐに笛を吹いてしまう」ことです。フリーキックで再開しようとした時に笛を吹く=「笛での再開」になる、わけですからどちらが有利になるでしょうか?当然この場合、守備側競技者が労せず主審に「味方」してもらってクイックリスタートを防げたわけです。しめしめ、てな感じでしょうか。

この場合、主審は攻撃側、守備側競技者、ボールを視野に入れて言葉身振りで守備側競技者をボールから速やかに離れさせます。この時一番重要なのが攻撃側のクイックリスタートの保障なわけですから:

1)笛をすぐに吹かない。

2)守備側競技者が規定の距離離れていなくてもクイックリスタートされたらインプレーなのでさらに集中力高める(気を抜かない)。

3)クイックリスタートした場合、既定の距離を守っていない守備側競技者がフリーキックを妨害することなくインターセプトした場合はプレー続行。意図的にフリーキックを妨害した場合にはイエローカード。

というような手順を意識しておくことです。

(後日、3)は具体的にどんなプレーなのか、についてはもう少し詳しく書くつもりです。)

さてでは攻撃側競技者が「笛吹いて」といったのは、どんな心理状況でしょうか?

彼が考えたことはおそらく「クイックリスタートしないからさあ。ボールの蹴るコースと距離考えてゴールじっくり狙いたいから壁下げてよちゃんと。審判さん」てなことでしょうか。ここで最も大切なのは「笛吹いて」といった時点で彼にはクイックリスタートする意思がないということです。ですから主審は:

フリーキック時にいわゆる儀式的再開にするなら主審は攻側競技者(=キッカー)に「笛吹きますよ」と口頭で「許可」を得る

:という手順をふむべきなんです。

この「許可」をとばして笛吹くと主審が守備側の味方をしたことになります。

(といっても例えばファールの笛でプレーが停止したときにファールが起きた地点からから遠く離れていた相手競技者がわざわざボールのすぐ前に走り寄ってクイックリスタートさせない場合は明らかに「遅延行為」ですから、すぐ笛を吹いてイエローカード出してもいいでしょう)

では前半で書いた守備側競技者2人の「笛吹いて」はどうでしょうか?

彼らとしては「クイックリスタートさせないでね」という意図はありありなので

もちろん、彼らに「許可」を得る必要はありません。口頭で注意しても、なかなか離れないならイエローカードです。

でもこの「事件」ここからがさらに核心なんです。

では私が経験したケースで守備側競技者の「笛吹いて」はまったく無視すべきことでしょうか?

実はこの時、私はキッカーに背を向けて守備側競技者2人と向かい合ったまま下がるように指示していたのです。彼らからすると「分かったから、審判さん。でもあなたの身体でボールの出どころが見にくいから笛吹いてプレー止めてくださいよ~」って心理もあったはずです。

似たような状況はやはりボールを背にして主審が笛を吹かず(笛での再開にせず)壁を制御しようとしていたときに起こります。つまり近くの守備側競技者も、ボールから離れてゴール前にいる守備側競技者も全員「主審壁下げてるな」と気を緩めていたらクイックキックでズドン!やられたーってプレーです。

これでは主審はある意味守備側競技者の注意を引きつける「おとり」になって攻撃側に加担したことに結果なってしまいます。

そう、「クイックリスタートの保障」とは攻撃側に有利にする、ということではないのです。審判はどちらの側の競技者にも有利になるような行為はしない、ということがこの「事件」から得たことです。

当時の私はそこまで「笛吹いて」の意味が理解できていないレベルなので当然、試合全般を通じてのゲームコントロールも出来ていない状態でした。選手はイライラして結果「笛吹いて」発言になったといえるでしょう。

まとめると:

フリーキック時には笛を吹いて再度プレーを停止する必要があるとき、主審はキッカーに「笛吹きますよ」と口頭でクイックリスタートの意思がないこと確認してから吹く。(守備側有利にしない)

②笛の合図で再開すること、ボールを今の位置から動かさない「約束」をキッカーとしっかり握る。(攻撃側有利にしない)

③ボールから目を離さず(これは事前の副審との役割分担にもよります)壁を下げる。完了後、笛の合図で再開することを再度キッカーに(口頭&)シグナルで示しながら(この方法はまた後日)主審は的確なポジションに就く。

となります。

「笛吹いて事件」はしばらく凹んでしまった経験だった一方で非常に学びも多くいまでは彼ら高校生プレーヤーには感謝感謝です(ごめね、ポンコツ審判につきあってもらって)。やはり審判員は何事も経験していわゆる「引き出し」を沢山作ることが重要ですね。

では、I'll be back.