ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

ゴールキーパーがボールを保持している状態を正確に言えますか?-前編

昨日は久しぶりに公式戦の審判を務めました。小学生高学年の大会に帯同。

 

さて、この大会で他の審判の方々のレフェリングを見ていて、サッカーのルールの奥深さをあらためて知ることになりました。

 

それは「ゴールキーパーがボールをコントロールしている(=保持している)」とはどのような状態か?」ということについてです。

 

まず、他のチームのコーチの方が主審を務めている試合で、ゴールキーパーが自分の手とグランドの間でボールを挟んでいる状況がありました。この状態で攻撃側選手はボールを奪い取ろうとボールを蹴り続けているのに、主審はプレーをそのまま続けさせていました。

 

それを私と見ていた我がチームの監督は「あれはキーパーがボールを持っているわけだからすぐに笛吹いて止めないとね」と的確なコメント。これは皆さんご存じのように、ゴールキーパーがボールをコントロールしている状態のひとつなわけです。

 

ご存じなかった方も含めてもう一度競技規則の解釈をおさらいしましょう。

 

競技規則の解釈と
審判員のためのガイドライン

 

第12 条 ファウルと不正行為

ゴールキーパーの反則


ゴールキーパーは、6 秒を超えてボールを手または腕でコントロールすることができない。次のとき、ゴールキーパーがボールをコントロールしていると判断される。
●ボールがゴールキーパーの両手で持たれているとき、またはボールがゴールキーパー
の手または腕とグラウンドや自分の体など他のものとの間にあるとき
●ゴールキーパーが広げた手のひらでボールを持っているとき
●ボールを地面にバウンドさせる、または空中に軽く投げ上げたとき


ゴールキーパーが手でボールを保持しているとき、相手競技者はゴールキーパーに挑むことができない。

(下線筆者)

 

 毎度のことながら、「ゴールキーパーの反則」の中に書かれているので見落としがちかもしれませんけど、とても重要な項目なので絶対に正確に理解して覚えておきましょう。

 

まず、この項目の正確な理解がなぜ重要か?理由は主に二つ。

 

① ゴールキーパーの安全の確保

② 得点を認めるか認めないかの的確な判断

 

①については言わずもがなゴールキーパーは得点しようとする攻撃側選手との競り合いで常に危険にさらされる可能性が高いポジションなわけです。特に足元でのプレーが多い他の選手と異なり手や腕を使って胸より上でボールを保持したり、グランドに上半身を近づけてボールを保持する態勢にならざる得ないゴールキーパーは攻撃側選手との接触の結果によっては、重傷を負ってしまいます。

 

主審の的確な判断が、無用なチャレンジによる危険からゴールキーパーを守ることにもなるわけです。

 

また②については「ボールをコントロールしている」状態を主審が誤って理解していると、試合結果を左右する「誤審」に直結します。

 

例えば先ほどの試合のように、ゴールキーパーがグランドと自分の手の間でボールを押さえているのに、そのままプレーを続けさせた結果ゴールが決まり主審が得点を認めたら・・・想像しただけでコ・ワ・イ。

 

さて、今回の話の肝は「ボールがゴールキーパーの手または腕とグランドの間にあるとき」はゴールキーパーがボールをコントロール(=保持している)している・・・ということではありません。

 

もちろんこの状態の正確な理解は重要なので後編でお話するとして、今回の肝(=私があらためてサッカーのルールの奥深さを知った核心)は次の我がチームの監督の質問にあります。

 

「ボールが手とグランドの間にあると保持していることになるわけだけど、ボールがゴールキーパーの手と相手選手の体の間にあるとどうなるわけ?」

 

うっ?これは競技規則の「死角」か!?自分でも考え込んでしまったのは実は、最初に紹介した試合の前にあった、これまた他のチームのコーチが主審を務められている試合でのシーンが心に引っ掛かっていたからなんです。

 

それはゴールキーパーが攻撃側選手の腰の後ろあたりと自分の手でボールを挟んでいる状態のまま依然プレーは続けられていて競り合っているシーンでした。直感的には笛をすぐに吹いてもよさそうに思いました。でも自分でも確信が持てない(=根拠を具体的に説明できない)。

 

再度、ガイドラインを見てみると、


「ボールがゴールキーパーの両手で持たれているとき、またはボールがゴールキーパーの手または腕とグラウンドや自分の体など他のものとの間にあるとき」

(下線筆者)

と書かれていて、再度??の状態。

 

「他のもの」って?グランドや自分の体は「定番」なので理解していました。またゴールポストと手や腕の間にあるときはこれも保持している状態なので、この状態で攻撃側選手がチャレンジしようとしていたら、即笛です。(長身のゴールキーパーならクロスバーとの間もあり得ますね。アンドレ・ザ・ジャイアンツ氏ぐらいじゃないと無理か?)

 

では、相手選手の体や味方選手の体の間は?うーん。情けない。自分が正確に理解できてない・・・とほほ。

 

この疑問への解答とガイドラインを流し読みしていては分からない「ボールを保持している状態」について後編で詳しくみていきます。

 

では、I'll be back.