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ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

何のための集中? サッカー審判員の認知科学!?

では、前回お知らせしたように今回は審判の集中力についてです。一緒に考えてみてください。

 

よくプレーにおいても集中してないと失点するとかって話がありますよね。この場合ゴール近くで相手をうっかりフリーにさせたとか、相手との距離を詰めたり、シュートのコースを断つ動きをしなければならないのに緩慢な動きをしていたとか、そんな場面をさすこともあるようですね。

 

では、審判の集中力が問題になるとはどのような状況かと言えば、やはり「間違い」が起こったときでしょうか。

 

さて、この「間違い」ですがいくつか種類があります。

「間違い=エラー(error)」を総称とした場合:

① スリップ (slip)

② ラスプ (lapse)

③ ミステーク (mistake)

の3つに分類されるんですね。

 

それぞれを簡単に説明すると:

① スリップ  = うっかり

② ラスプ   = 失念

③ ミステーク = 思い違い

となります。

 

このままでは何やら違いがよくわりませんので、例を挙げます。

①スリップは「意図は正しいのにそれを達成する行為が違う」ということなので例えば、「攻撃側の選手が最後に触れたボールがゴールラインを割ったと認識してゴールキックで再開すべしと判定したのにコーナーアークを指してしまった」というのはスリップとなります。

 

②ラスプは「やるべきことをやらない」となりますので例えばフリーキックで再開の瞬間に9.15m以上相手の選手はボールから離れていなければならないと分かっているのにボールの前に立つ相手選手を「主審!」と選手たちから指摘されるまで規定の距離まで下げようとしなかった、などのケースが挙げられます。

 

③ミステークは「意図が間違っている(しかしそれに対応する行為は正しい)」状態です。例えば「攻撃側選手が実際は最後にボールに触れてゴールラインを割ったのに守備側選手が最後に触れたと判断してコーナーアークを指す」というようなケースです。

 

①と③は周りから同じことと思われる現象ですがそのエラーが起こる過程(もしくは原因)が異なります。①や②は周りから見るととても稚拙なエラーに見えます。まず上級審判員なら起こしてはならないエラーです。

 

で、私の場合これが起こったりするのは、①の場合は特にどちらのチームがどちらのゴールに向かって攻撃していたかが一瞬わからなくなったりすることが原因なんですね(恥ずかし)。通常、業務の安全確保などでは①は指差し確認などで防止します。つまり意図と脳からの命令そしてそれに応じる身体の動きを一致させるわけです。で我々サッカー審判員の場合は主審と副審の間でのアイコンタクトやお互いのシグナルを確認しあうことがなによりスリップを防止することなります。

 

②は試合前に「自分との打ち合わせ」においてやるべき手順を徹底的に確認をすることで未然に防止できるはずです。

 

で、③は実はプロフェショナルレフェリーでも起こりえることです。しかし周りから稚拙に見える場合と、まあ気持ち切り替えて審判の判定を受け入れるかと周りが寛容になれるかの、大きな差が生まれるエラーでもあります。

 

例えば同じゴールライン判定でもビデオのスロー判定でないとどちらが最後に触れたか分からないくらい微妙で主審と副審の判定が一致している場合は(例え実際の現象からみて判定が間違っていても)「まあ今のは判定しずらいよね」と受け入れてもらえるレベルのエラーかもしれません。もちろんこれには結果の重大性(得点に直接結び付くとか付かないとかが)が「まあしょうがない」となるか「絶対受け入れられない」となるかの分かれ目になるでしょうけど。

 

で稚拙なケースは選手からも観客から見ても(そして副審からも)明らかに攻撃側選手が最後にボールに触れてゴールラインを割ったのに主審がコーナーキックのシグナルを出してしまうことです。①のスリップならすぐに笛吹いて修正するでしょうけど③のミステークなら自信満々にシグナルだしているだけにタイムラグがあって主審一人試合の流れから取り残された恥ずかしい展開となります。

 

①や②の防止には集中力を常に持続することが大切に思います。なんせ「うっかり」とか「いけね、わすれた!」レベルの間違いですから。

 

③については事象を正確に認識することで正しい意図を設定することができるわけですから、よく走ってよりよい位置や角度や距離から事象を見極めることが一番大切になります。

 

そして集中力を発揮する場合に「何に集中するか」が肝です。多分、この「何に集中すべきか」が明確なのか、ボヤっとしているのかによって各サッカー審判員の技能レベルは大きく異なるのではないでしょうか。

 

例えばコーナーキックのとき。正しい監視ポジションからペナルティーエリアの中にいる攻撃側、守備側選手をあなたは主審として見ています。その時:

「どちらが最初にボールに触れるか?」

だけを見ようと集中しているのと

「攻撃側選手はゴールキーパーの動きを不不正な方法で制限していないか?」「守備側選手の腕やシャツを引っ張っている攻撃側選手はいないか?(その逆は?)」「ボールが蹴られた瞬間、攻撃側選手が守備側選手を押し倒していないか?(その逆は?)「相手選手を押さえつけてヘディングしようとしていないか?」

 

などなど監視すべきことが明確になっていてそれらに集中しているのとでは大きなちがいがありますよね。

 

やはり「集中するぞー!」と気合いをいれても、何に集中すべきかが曖昧ですとボーっと見ているのと結果的に大差なくなってしまいます。

 

この、何に集中するかを考えて次回の試合に臨みませんか。

 

前回は、集中力が特に求められる場面として:

●試合(プレー)開始直後

●ミス直後(正しくは「エラー直後」と言い換えるべきでしょう)

を挙げました。

 

ちょっと長文になったのでこれらの場面での課題はあらためて書きますね。

今回はエラーだらけの3級審判員の反省駄文でした。

 

では、I'll be back.