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ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

主審の承認なしにフィールドの外に競技者が出た - 警告とならない場合

先日市内の公式戦を本部席から観戦していたら、いきなり正面向こう側にいるA2の方が激しく旗を振っているのが見えました。

 

本部席にいる全員(3級審判員の先輩の方数名含む)で「なんじゃなんじゃ??」「ファールサポート?(でもプレーは中央付近で行われているし)」「オフサイド?いやいやあの旗の振り方は・・・?」なんて喋っていたら主審が旗に気付き笛でプレー停止。

 

見るとA2側のフィールドの外、観客の列の前で一人の選手が倒れていました。「あれ?ウチの選手じゃないの?」と思ってたらそうでした。

 

主審も知らぬまにR選手はフィールドの外に出ていたわけです。その時考えたのが:

① R選手自身の判断で負傷したので外に出た

② 応援していた人達が負傷して倒れているR選手を見て外に出した。

という経緯でした。

 

さてすぐさまある考えが浮かび、本部席にいた数名の3級審判員の方々に質問。

「皆さんだったら、どうしますか?小学生なんですけど警告出しますか?」

すると、ある3級審判員の方が「小学生とか関係ないよ。警告だよ」と即答されました。なるほど、と思いつつ自分の考えたことはとりあえず置いておき、さらに耳を傾けると、

 

「そもそもA2の目の前じゃねえかよ。何があったか見えてなきゃいけないよ」

 

と仰りました。そう、その通りなんです・・・けど、

 

そうすると、この方の判定ロジックは:

① 選手がフィールドを出た状況はわからない。それは副審が見ておくべきだった。

② わからないけど、フィールドから勝手に出ている(なぜなら主審はそれに気付いてないから)ので「警告」だ!

ってことです。

 

うん?なんか変、ですよね。

 

別に引っ掛けようとしたわけでなく、同じ3級審判員の人達でも同じ状況におちいった場合、ひょっとしたら対応が異なるのでは、どのように対処するのか知りたかったので即質問(考える余裕もない状況で、そもそも試合中の判定はすべてそのような状況なわけですから)してみたわけです。

 

さて、この時の本部席では面白い会話がありました。

 

「そもそもリードしているチームの選手なんだからフィールドの中でそのまま倒れていたほうが、いいよな」

「味方選手を出した(としたら)応援席もそこまで知恵まわらなかったのかな。それとも相手チームの選手だから出したのか??」

 

いやいや皆さんよく考え付きます(苦笑)。そんなとこまで頭回らないと思いますけど(再苦笑)。

 

そもそもR選手の怪我の状況が心配・・・。頭打ってなきゃいいけど、と思いつつ、さきほど挙げたフィールドを出た状況を再度考えてみると:

 

①はないか。そもそも倒れているのに自分でフィールドの外まで出ることは出来ないだろうな。

そうすると②かな。で、この場合は警告・・・うーん競技規則によると確かに主審の承認なしってことだから警告やむなしともいえますけど。

 

うん?③番めの状況があった!プレーしていて勢い余ってフィールドの外に出てその時負傷。で、フィールドの外で倒れたってやつ。

 

というわけで、あとで我が部のコーチに確認したら、やはりプレーの勢いでタッチラインを出て負傷してしまったとのこと。ですから正解は③!

 

・・・じゃなくて、この場合の主審の対応はどうすべきかですね。

 

競技規則の解釈と審判員のためのガイドライン

第3条 競技者の数 P67


競技者が偶発的にフィールドの境界線を越えた場合、違反を犯したとはみなされない。フィールドから踏み出すことはプレーの動きの一部であると考えられる。

 

さて警告となる反則は:

●主審の承認を得ず、意図的にフィールドから離れる。

です。(下線筆者)

 

というわけで、今回は「偶発的に=プレーの動きの一部」としてフィールドの外に出たわけなので、警告の対象とすべきではありません。

 

また②の場合ではどうでしょう?応援の列がフィールドのすぐ傍にあるっていうのはU18までなら割とよくある状況でしょう。で、運び出すとなるとやはりU12で起こりえる状況でしょうか。

 

さてあくまで私見として。負傷して全く動けない競技者を傍で見ていた応援列の父母などが(=外的要因)がフィールドの外へ運び出していたとしても私なら警告は与えません。

 

ここは競技規則の精神を読み取ってさらにカテゴリー特有の状況を踏まえての「柔軟な対応」です。

 

もちろん「責任ある態度で行動」を求められるベンチ役員が主審の承認なしに運び出したら負傷した競技者に警告ですね。(で、ベンチ役員に対してはどうすべきかはその役員の言動を踏まえてこちらのガイドラインに沿って対処してください → 競技規則の解釈と審判員のためのガイドライン P66 第3条 競技者の数 チーム役員がフィールドに入った場合)

 

さっきの本部席での深読み議論じゃないですけど、倒れている相手競技者を勝手に運び出して警告を与えさせるの術に出る応援の人々・・・なんて高等戦術使う人達はいませんよー(苦笑)

 

一方で、応援の方々も含めそれらは競技規則上は「外的要因」なわけですから、その時に起きた状況によって主審は様々な判断を的確に下すべきでしょう。(ふー難しい)

 

それよりも、この場合主審の任務不履行を問われかねませんね。

 

サッカー競技規則

 

第5 条 主審

主審の権限
各試合は、任命された試合に関して競技規則を施行する一切の権限を持つ主審によってコントロールされる。


職権と任務
主審は、
(中略)
●競技者が重傷を負ったと主審が判断した場合、試合を停止し、確実に負傷者をフィールドから退出させる。負傷した競技者は、試合が再開されたのちにのみフィールドに復帰できる。
●競技者の負傷の程度が軽いと主審が判断した場合、ボールがアウトオブプレーになるまでプレーを続けさせる。
(中略)
主審が見ていなかった出来事に関しては、副審の助言によって行動する。
認められていない者をフィールドに入らせない。

(以下省略。下線筆者)

 

仮に応援席側にいる誰かがフィールドに入ったなら(それを認めることもありえませんけど)そのことを防げなかったという任務不履行です。

 

そして、これが今回の最重要ポイント「主審が見ていなかった出来事に関しては、副審の助言によって行動する。」という部分です。フィールドの外にでている経緯を把握もせずに警告出したら、この任務の不履行にも抵触するわけですね。

 

主審が成り行きを見てなかった場合はA2や場合によってはA1の助言を求めるべきです。今回、主審の方は警告を与えず、プレーを止めたのでドロップボールで再開されました。「A2見てなかったのかよ」というのは、どうも濡れ衣のようにも思えます。(後日R選手にあったら足に包帯してました。表情は何時も通り明るかったのが救い)

 

そもそも第4審判員も兼ねて本部席にいて試合を「観戦」していた私も含む3級審判員全員が何が起こったか「見てない」わけです。偉そうなこと言える資格はありませんね(反省)。

 

まずはフィールドの外で倒れている選手がいて主審自身が経緯を把握できてなかったら副審に確認する余裕を持ちましょう。いきなり警告はNGです。

 

そもそも応援の人達がフィールドに入っているとか、選手が勝手にフィールドの外に出ていた、しかも審判チームの誰も気付いていない、なんて状況は絶対避けましょう。

 

そんな状況ないって?いえ、いえ以前2級の方でも主審担当された試合で「知らないうちに一人選手がフィールドの外に出てたんだよな」って経験をお聞きしました。あってはなりませんけど、あり得るので試合前の打ち合わせは入念に。

 

で、上記のような「柔軟な対応」の必要性を教えてくれたのも2級以上お持ちのインストラクターの方々であります。

 

ただ、「柔軟な対応=競技規則を自動的に適用するのではなく、その精神と事象の背景を鑑みて規則の適用例外を認める」を行う場合には、だからこそ競技規則に沿ったロジックと強い信念を持っていないと片方のチームからの「異議」をコントロール出来なくなりますのでご注意あれ。

 

でも、今回のポイントは「柔軟な対応」にあるのではなく「主審と副審のコミュニケーション」にあります。コミュニケーションをないがしろにした審判はダメですからね。

 

で、そのコミュニケーションについて先日、Jリーグの主審を担当されている方の卓越した「コミュニケーション能力」を目の当たりにして感激したことを、またあらためて書きたいと思います。

 

では、I'll be back.