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ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

動体視力か鷹の目か - 全豪オープンと7人の侍(中編)

 

さてでは「ホークアイ(Hawk-Eye)」ついてです。

 

テニスの試合では打たれたボールがライン上に落ちたのかどうか微妙な判定と思われる場合に各選手は1セットにつき3回まで「チャレンジ」という異議申し立てが出来ます。(チャレンジが合計3回失敗(=ラインズパーソン(線審)の判定が正しかった)するまで、選手には何回でもチャレンジできる権利があります。またタイブレークになるとさらに1回チャレンジする機会が与えられます)

 

この時使われるのが「ホークアイ」のテクノロジーです。コンピューターグラフィックで描かれたボールの軌道がすぐに会場のモニターに映し出されて(この時会場からは手拍子が起こります)やがてコートの表面を俯瞰で見たイメージからボールの接地跡がズームアップされ明確にインかアウトかが視覚化されます。

 

プレーヤーの心中はともかくプレー中には静粛を要求される観客も、このCGによる判定がモニターに映し出される瞬間には息も出来ない緊張から解放され楽しく?盛り上がっているようです(このように観客に競技を観戦することのさらなる楽しみを与えることはテクノロジーで判定を行うことのポジティブな面ではないでしょうか)

 

さてこの「ホークアイ」なるものについて恥ずかしながらその存在は知っていても仕組みなどなど全く理解してなかったので「スゴイな~一瞬にしてこんな風にボールの弾道とボールの落下点を映像化できるなんて、どうなってんの?」と素直に感心していた次第です。

 

ということで全く受け売りの知識でその仕組みを説明すると以下の通りです。

 

ホークアイ」は競技場に設置された複数のハイスピードカメラによって撮影を行いその撮影データを基に5秒以内に:

 

① 2Dに変換(XY つまり縦横のイメージに変換)

② 3Dに変換(XYZ 奥行きと高さが加わり)

③ 4Dに変換 (XYZT ボールが通った時間軸つまり弾道が作成され)

④ バウンスマークに変換(ボールがコート表面にはね返った跡が作成され、1ミリとも言われる誤差範囲でボールがどこにどのように落ちたかが特定される)

 

のプロセスを経てインかアウトかのCG映像を会場のモニターに映し出すことが可能になります。

 

私もかって自己流プロモーションビデオとか映画のまねごとでビデオ撮影していたことがありました。その時分にはハイスピードカメラと言えば毎秒30カット(フレーム)以上とかのイメージでしたけど今は技術上数万カットとかそれ以上も可能で解像度も飛躍的によくなっています。「ホークアイ」は毎秒数百カットの撮影でデータ化されているようですね。

 

そうなんです。この「毎秒何カット」というのが私が直感的にしっくりくる動体視力の正体です。1秒の中で如何に多くのカットで対象物を捉える事ができるか(視覚化できるか)によって一瞬の出来ごとも詳細まで把握できるもしくはスローモーションのように頭の中で再生できるってことなのではないでしょうか。

 

さてこの「ホークアイ」。知らぬは私ばかりなりで、すでに過去12年間で230のサッカー競技場に設置されています。FIFAはGLT(ゴールライン・テクノロジー)としてこの「ホークアイ」と「ゴールレフ(GoalRef)」システムの二つをFIFAが定めたGLTマニュアルの規定に沿った正式なシステムとして採用しています。(追記:FIFAに承認されているシステムは「ホークアイ(Hawk-Eye)」「ゴールレフ(GoalRef)」「カイロス(Cairos)」「ゴールコントロール4D (GoalControl-4D)」の4種類のシステムです。)

 

今までGLTと言えばこの「ゴールレフ」ばかりと思っていました。ボールに低周波磁場を感知できるコルクが埋め込まれていて、ボールの全体がゴールポストの間とクロスバーの下でゴールラインを越えた時、得点になったことを知らせるシグナルが主審の腕時計に送られるシステムってやつです。

 

ホークアイ」の場合もFIFAの規定に従ってボールの全体がゴールラインを越えたら1秒以内に主審が身に付けているホークアイ専用の腕時計にシグナルが送られるようになっています。「ホークアイ」のシステムでは、得点の場合だけでなく一瞬得点になったかのように見える「ニアミス」のシグナルをも送ることができますので主審は確信を持って得点でななっかたケースも判断できるということにもなります。

 

ホークアイ」はひとつのゴールに対して7つのハイスピードカメラが設置されていて(設置場所は多くは競技場の天井、あの梁みたいなところですね)たとえ数台のカメラから死角になっても2台で捉えられれば正確にボールの位置を特定でき、また仮にゴールポスト自体がフィールド面に対して垂直になってなくても正確に判定できるようになっています。

 

さてFIFAのHPでも公開されているようにこのホークアイ」「ゴールコントロール」により得点がワールドカップ史上初めて判定されたのがフランスVSホンジュラス戦でのフランスFWベンゼマ選手が放ったシュートがゴールポスト左側に当たってはね返りホンジュラスのGKバジャダレス選手の身体に当たって入ったオウンゴールです。バジャダレス選手がゴールラインを完全に超えたボールをかき出しているんですね。

 

このバジャダレス選手の動きを映しだした幾つかのカメラ映像を見て、そして前後しますけれど錦織選手の全豪オープンの試合を観ていて感じたこと、つまりそれは「正しい判定には動体視力以上に重要な要件がある」ってことです。

 

以前、サッカーに全く興味ないと思われる会社の上司との会話でふと審判の話になって「サッカー審判員にとって一番大切なことは何かと思いますか?」って質問したら「動体視力?」って答が直ぐ帰ってきました。サッカー審判員が批判される意見なんかでも「あの審判員、動体視力に問題アリ!」なんてよく聞きますよね。

 

もちろん動体視力大事です。っていうかサッカー審判員として動体視力良い方がいいのにきまってます。でも、やはりそれだけじゃない、ということです。

 

そのことを物語ることとして以下の二つの疑問に後編で答えます!(大袈裟)

 

① あのホークアイ「ゴールコントロール」で得点が認められたゴールシーンを再生画像で確認するとバジャダレス選手はゴールラインを超える前にボールを保持しているように見える。なぜ?

② 200Km以上のサーブを打ち返す動体視力を持った錦織選手やバブリンカ選手のチャレンジはすべて失敗に終わった(つまり線審もしくはアンパイアの判定が正しかった)。なぜ?

 

うん?「七人の侍」はいつ出てくるんだ?はい、後編で出てくる・・・はず(汗)です。

 

いつもながらダラダラと長くゴメンナサイ。

 

 

では、I'll be back.