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ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

オフサイドの違反 再開場所の「都市伝説」

GWに突入してから仕事より過酷なスケジュールで(苦笑)審判の予定があり、少し調整しないとGW終了後に休む(汗笑)ということにもなりかねません。

 

そんな中で久しぶりにインストラクターの方に審判ぶりをご覧いただきアドバイスを頂くという貴重な機会がありました。いつも通りのことをいつも通りのように行うべきでしょうけど、やはり意識していつも以上に頑張ってしまいます。ということは、いつもはどうなんだってことで早くも反省モード(焦笑)。

 

さて私自身も色々な審判ネタを提供してしまいました。何回かに分けてご紹介したいと思います。まずはトップバッターとして副審を務めた時のことです。

 

では、お約束の質問です。

 

Aチームのオンサイドポジションにいる選手から同じくAチームのオフサイドポジションにいる別の選手にパスが出て、このオフサイドポジションの選手がボールに触れてオフサイドの反則が成立した場合、正しい再開場所は?

 

① オフサイドポジションにいた選手がボールに触れた場所(=すなわちオフサイド

  反則が成立したところ)

② Aチームのオンサイドポジションの選手がボールをプレーした(パスした)瞬間に

  オフサイドポジションの選手がいた場所

③ オフサイドライン

 

では、投票下さい!ってそのようなデジタル技術はございませんので、もったいぶるまでもなく正解はというと・・・

 

ある条件下では正解は①と②になります。

 

なにそれ?と思われた方、最後までお付き合いください。(ちなみに③を選ばれた方はいらっしゃいませんよね?)

 

さてさて、これまたお約束の競技規則の確認をしましょう。

 

第11 条 オフサイド

 

違反と罰則
オフサイド反則があった場合、主審は違反の起きた場所から行う間接フリーキック
相手チームに与える(第13条―フリーキックの位置を参照)。

(下線筆者)

 

この条文を英文で見てみましょう。

 

LAW 11 – OFFSIDE

Infringements and sanctions
In the event of an offside offence, the referee awards an indirect free kick
to the opposing team to be taken from the place where the infringement
occurred (see Law 13 – Position of free kick).

(下線筆者)

 

日本語だけみてもお気づきのようにここには二つの「ルールに反する」という言葉が使われています。英文でみるとその言葉の違いがさらに明らかです。すなわち:

 

offence   = 反則

infringement = 違反

 

の二つの言葉です。

 

このことが何を表しているかというと「オフサイドポジションいるだけでは罰せられないけど、結局はオフサイドポジションいたことで罰せられる」ってことです。うん?禅問答みたいになってますか?

 

当たり前ですけど「ボールが味方競技者によって触れられるかプレーされた瞬間に」オンサイドにいた競技者が「プレーに干渉したり、相手競技者に干渉したり、その位置にいることによって利益を得る」ことがあっても罰せられることはありません。通常のファウルと違って「干渉」したり「利益を得る」こと自体はずるくもなく危険でもありません。

 

ただオフサイドポジションに「いた」ことによって干渉したり利益を得ることがずるい(=罰せられるべきプレー)なのです。

 

なので反則(offence)は「干渉」や「利益を得る」ことなのですけど、違反(infringement)は「干渉したり利益を得るためにオフサイドポジションにいた」こと(=それが結果的にずるいプレーってこと)になります。

 

ということで罰せられる対象(=違反事象)は「その場所にいた」ことになるので以下のガイドラインで示されたような再開場所となるのです。

 

競技規則の解釈と審判員のためのガイドライン

第11 条 オフサイド


違反
オフサイドの反則が起きたとき、主審は、味方競技者の1 人が、オフサイドの反則を犯した競技者に対して最後にボールをプレーしたときに、オフサイドの反則を犯した競技者がいた場所から行われる間接フリーキックを与える。

 

Interpretation of the Laws of the Game and Guidelines for Referees

LAW 11 – OFFSIDE

Infringements
When an offside offence occurs, the referee awards an indirect free kick to be
taken from the position of the offending player when the ball was last played
to him by one of his team-mates.

 

うーん、競技規則の条文も分かりにくい文章ですけど、このガイドラインも何回か読まないと文意が掴めないですね。この分かり難さはキーワードである「最後に」がいつの瞬間を表しているのか、それこそ瞬時に把握できないことにもあるように思います。

 

また「味方競技者の1 人」は「ボールをプレー」する場合もあれば「触れる」場合もあるので、このガイドラインだけでイメージすると事象の理解に偏りが出るかもしれません。いずれにしても競技規則と合わせて頭の中で整理しなければならずオフサイドについても、もう少し条文の改良ができるように思われます。

 

さてくどいこと承知で、オフサイドの違反を公式化すると:

 

 

P = オフサイドポジションにいること = これ自体反則ではない

O = 「干渉」または「利益を得る」  = 反則

P+O = I(オフサイドポジションにいたことがずるい) = 違反

 

 

となります。

 

というわけで「違反」を罰するために「最後にいた場所」からの間接フリーキックが再開方法となるわけです。

 

その昔はオフサイドポジションにいただけで反則となったわけですけど(今から見ると相当理不尽だとしても)その精神は「待ち伏せはズルイ」ってことで、その精神そのものがルール改正にともなって180度変わったわけではないのです。

 

ただ、なぜ「ゴールキックスローインコーナーキック」の時はオフサイドの反則にならないのかを考えてみれば、オフサイドを罰することの精神が「ずるいプレーを許さない」ことと「プレーのスピードと躍動感を失わせない」こととのバランスで成り立っていることにも気付かれると思います。

 

すなわち、サッカーの魅力は「ずるいプレー」でも失われますし「スピードや躍動感のないプレー」でも失われるわけで、オフサイドの違反を罰するのは、サッカーの魅力を最大限引き出すという競技規則の精神そのものなのであります。

 

それにしても以前書いた1985年12月8日国立でプラティニが見せた「幻の」スーパーゴール。今のルールなら得点が認められオフサイドの違反にはならないわけですけど・・・(と、この試合を観に行く予定をキャンセルせざる得なかったこと、試合後に友人から延々とどんなに凄い試合だったのかと聞かされたことが今でも悔しい~と半分自慢のような複雑な気持ちです、はい)

 

さて、というわけで冒頭の質問についての答。

 

もう勘の良い方ならお分かりのように「ある条件下」ではと注釈したように

「反則を犯した場所」と「最後にいた場所」が同じなら再開場所は①も②も正解になるというわけです。

 

通常のフラッグアップでは「上記の場所は(ほぼ)同じ」と「みなし」て再開場所を指示されているのではと思います。しかし、これはあくまでもちゃんと「正式な」再開場所を理解した上での、その試合で一貫した「許容範囲」内での指示でなければなりません。

 

というか結構多くの方が「反則の起きた場所」=「再開場所」と理解されているのではないでしょうか?

 

ここで①と②が正解となる別の条件を。それは例えばオフサイドポジションにいた選手が手でボールに触れた場合などです。オフサイドの反則でありハンドのファウルでもあります。同時に二つの反則がおこりました。さあ、あなたが副審なら(ここがポイント)どうしますか?話が拡散するので、ここでは深く立ち入りませんけど、このようなことも起こりえることを心の中でイメージして準備しておくことも必要ですね。

 

さて、またまた長~い話になってしまいましたけど、では私が副審として経験した事象についてです。

 

以下、A1を務めた試合で起こったこと。

 

まず攻撃側チームのFWの選手の一人がハーフウェーラインを少し越えたところで、私からみてファーサイドで明らかにオフサイドポジションにいました。そして味方選手から蹴られたボールが彼のいるサイドとは別のサイド、すなわち私から見てニアサイドに向かって転々としました。攻撃側のいわゆる二列目の選手も含め守備側選手と競争する形になった後に、最終的にFWの彼がボールに触れました(=「プレーに干渉」)。

 

それをWait&Seeで見極めた私はその場でフラッグアップ。そして直ぐに「味方選手がボールをプレーした瞬間にFWの選手がいたオフサイドポジション」を指すためにハーフウエーラインに向かって走り出しました。

 

背後からは私のこの動きを見て「え、え~?」って声が聞こえていましたけど。心の中で『これが正しいんですよ~』との確信を持って移動し「正しい」再開場所を指示しました。

 

さて、この解釈と判断自体に問題はなかったのですけど、後ほどインストラクターの方からで指摘されたことが皆さんにも参考になると思いますので書きますね(っていうかこれが今回のメイントピックだったりします)。

 

私も実は、このように「反則の位置」から大幅に動いて「最後にいた場所」を再開場所として指し示すのは初めてのこと。この一連の動作(およびシグナル)に問題がありました。

 

では、この場合に行うべき動作とシグナルを順番に見ていきましょう。

 

① 「干渉」や「利益を得た」瞬間(=反則が起こった時)にフラッグアップする

② 主審がフラッグアップを確認し、お互いアイコンタクトして笛が吹かれるまで(もしくはキャンセルされるまで)その場で静止してフラッグを下ろさない。

③ フラッグを音を立てずに速やかに下ろして、(もし指し示すオフサイドポジションがハーフウェーラインへ戻る位置なら)右手に下ろしたフラッグを持って(フラッグをバタバタさせないように)再開場所まで走る。

④再開場所まで来たらフラッグを再びアップして、その後フラッグで再開場所を示す。

⑤ボールが守備側競技者によって再開場所におかれたらフラッグを下ろす。

 

 

 まず私の動作でインストラクターの方に指摘されたのは(そして実は私も気付いていたのですけど)④の動作が遅れてしまい、その場で何もせず立っままになってしまったことがひとつ。やはり頭で分かっていても身体で習得できてないと、咄嗟にスムーズな動作ができませんね。結果、FWの選手が「最後にいた場所」はファーサイドだったのにもかかわらず、ボールは割とニアサイドに置かれてしまい、これ以上指示してると再開に時間がかかりそうなので、そのままで再開場所としてOKを出しました(これ本来なら違和感の声上がってもおかしくないです。汗。)

 

あと3級最強の走筋力を誇るIさんからは①の時にきっちりと静止した動作になっていなかったのご指摘がありました。主審とのアイコンタクトや笛が終わっていないうちに慌てて再開場所に移動し始めていたようなんですね。これも反省ポイントです。

 

①~⑤と動作およびシグナルの手順を示しましたけど、最も大切なことが①の前にあります。それはオフサイドの反則を犯した選手が味方選手からボールが出ていたときにいた場所(=再開場所)や守備側選手も含む他の競技者の位置関係なども瞬時にイメージ化して記憶しておくことです。

 

このことで、再開場所も確信をもって指示できますし、なによりオフサイドの反則だったかどうかの見極めも確信を持ってできるということになります。

 

普段から練習としてオフサイドの反則があったなら①~⑤の手順を行ってみましょう。注意としては「反則の場所」と「再開する場所」の距離が短いなら(その場合の方が多いでしょう)③の動作はサイドステップを使った方がスムーズかつ、まわりに大きな違和感を与えないと思います。

 

そもそもハーフウェーラインを越えて自陣で反則となるいわゆる「もどりオフサイド」のケースを考えると「反則の起きた場所」と「再開の場所」が異なることが容易に分かるはずです。通常の守備側サイド(相手サイド)で起こる「もどり」のケースでは再開場所がゴール方向に戻ることになり上記とは逆方向への移動動作になりますので、これもイメージトレーニングしておきましょう。

 

あと、U12の場合では試合のスムーズな進行ばかり意識して「反則の場所」から「再開の場所」への移動を省略しているとキック力から考えて守備側チームにとって著しく不利な位置での再開になるケースもあるので(それこそ深い位置からの間接フリーキックインターセプトされてゴールされたなんてこともあり得ます)、速やかな再開を意識しながらも移動の労力(および勇気)を惜しまないようにしましょう。

 

いや~久々に?長~いお話になりました(汗笑)。

 

オフサイドの違反の再開場所 = 味方競技者がボールをパスした(触れた)瞬間にオフサイドポジションの選手がいた場所

 

と覚えておいてください。

 

あれ、これだけで済むことを長々と・・・。

 

では、I'll be back.