オフサイドの反則の見極めスキルを磨く - わかっているようで意識したい選手の三つの動きとは?
さて週末の試合で副審を務めたことで再確認したことの後編です。
それはオフサイドの反則の見極めについてです。
以下の三つの事象を繰り返し経験することで副審としての見極めスキルや引出が増えるように思います。その三つとは:
① 「もどり」の動き
② ファーと二アーの動き
③ 浮き玉時の動き
です。
①は、いわゆる「もどりオフサイド」ではなくて、オフサイドポジションンに意図的に位置している攻撃側選手がボールが味方選手によって最後にプレーされる直前に一度オンサイドポジションに戻って、前(裏)に飛び出すプレーをしようと試みる動きのことです。
この動きはゴール前に蹴り込まれるフリーキックの時によく見られますね。ボールがフリーキックでリスタートされる位置にセットされた時には攻撃側選手は守備側の最終ラインよりゴール寄り、つまりオフサイドポジションに位置しています。副審は当然そのままプレーや相手側競技者に干渉したらフラッグアップしようと心づもりするのですけど、ボールが攻撃側味方選手によって蹴られた(プレーされた)瞬間の直前にオンサイドに戻っているので、いつボールがプレーされたのかもしっかりと把握する必要があります(当然これはすべてのケースで当てはまることです)。
このような動きは小学生では少ないように思います。やはり中学生以上になると増える、つまりルールもしっかりと把握しかつ相手選手との駆け引きを覚えるステージになって増えるプレーってことなんでしょうね。
②は文字通り、副審から見てオフサイドラインの基準となる守備側選手とそれよりゴール寄りに出ている攻撃側選手の位置関係を一番手前(副審寄り=ニア)から一番奥(反対側タッチライン寄り=ファー)までの遠近を常に意識して監視すべしということです。いわゆる「二列目の選手の裏への抜けだし」は一番手前と一番奥という位置関係なら見極めも比較的簡単ですけど、かなり近い位置関係だとプレーや競技者に干渉していないのにボールや競技者の近くのオフサイドポジションにいるだけで、フラッグアップして二列目のオンサイドのポジションの選手の動きを止めてしまうという、あってはならない結果を招くことになることがあります。(主審が見極めてフラッグアップをキャンセルできればいいですけど、スピードが急激に速まるU18なんかでは難しいです)。
そして③です。
これは、味方競技者が最後にプレーしたボールが比較的滞空時間の長いボールとなっている間に攻撃側競技者と守備側競技者の位置関係が「最後にボールがプレーされた瞬間」の時とは変化してしまうことです。
ボールが空中にある間にオフサイドポジションにいた攻撃側選手ががオンサイドポジションに戻ってきても、また守備側選手がオフサイドポジションの攻撃側選手と位置が入れ替わって、いかにも元々オンサイドポジションにいたかのように見えても
「ボールが最後にプレー(触れられた)瞬間」と「その時の味方競技者の位置」と「守備側の最終ライン(=オフサイドライン)の位置」によってオフサイドの反則の要件のひとつは成立するわけですので、この瞬間の位置関係をしっかりと把握し記憶しておくことが必須なわけです。これが曖昧ですと・・・だまされます。
週末の試合でもこのようなケースがありちょっと位置関係の記憶が曖昧になり・・・ということがありました。これは反省すべき点です。
ここまでお読みになられて気付かれたと思われますけど、これら①~③はそれぞれ独立した事象ではなくて、同じ瞬間にこれら三つの動きが複合して起こり得るんですよね。
ですので繰り返しになりますけど副審としてオフサイドの反則を見極める時には
① オフサイドポジションからオンサイドポジションへ戻る縦の動き
② 手前(ニア)と奥(ファー)の動き
③ 「最後にプレーされた瞬間」の位置
を把握して、「その瞬間」を固定映像化することが求められるわけです。
ちなみに、ごくごく審判初心者の方はこのような動きすべてを把握しようとするよりも、まずは自分の直感に基づいてフラッグアップする勇気を養いましょう。
では、I'll be back.