ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

ファウルの基準の非一貫性について

さて、最近自チーム(U-12)の帯同審判員として主審を務めた時のこと。

 

「 吹かないのか吹けないのか? サッカー主審の笛。 」でも書いたように「吹けない」ではダメなので自分で課題を設定して試合に臨みました。課題は「上半身を使ったファウルを厳しく取り締まる。そのために良いポジションをキープする」です。

 

「良いポジションをキープする」は自分で評価するのはとても難しい。偉そうに課題を設定しておきながら、串刺しの位置になって攻撃側選手がペナルティエリア内で犯したかもしれない「つまずかせる」ファウルを見極めることが出来なかったかもしれないこと、プレーに巻き込まれて選手から「邪魔だよ」と言われたということは・・・ポジション良くなかったですね。反省。

 

で、上半身のファウル、特に手で押さえる、掴むプレーや背後から押すことについてはある程度厳しめに見極めることが出来たのではいう自己評価でした。このような課題を設定したのは自分が主審を担当する試合の前、数試合ほど他のチームの方が主審を務めていたのを見ていると・・・ホールディングやプッシングのファウルをとれていない・・・のに気づいていたからです。

 

まあ、以前から繰り返し書いているようにこの辺を見極めるには意識して選手の動きを見ているかがとても大切なことになります。特に大切なポイントは:

 

① 手の動き(=その手はプレーとして「自然」な動きか、「悪意」のプレースタイル

  になってないか)

② 優先権(=ボールへの距離、ボールとの位置関係、レイトプレー(=遅れて行って

  ないか)

 

等かと思います。

 

①で注意したいのは手のファウルがプレースタイルになっている選手を早めに特定してその動きを見逃さないことです。特に小学生の場合、以前にも書いたようにそれがプレーの一部になっているといずれ「通用しない」選手になってしまうこと大です。例えば、手を使って体を入れ替えるとか、後ろ手に守備側選手の動きを押さえつけるFWの選手の動きとか、よ~く注意して見るようにしましょう。背後から相手選手に詰め寄って手を使って相手選手を抑えながら相手の前面に体を入れてボールを奪うのなんて(ボッ~と見ていると)自然なプレーの流れのように見えて完全にズルい動きなので即「ピッー!」ですね。

 

②は繰り返し書いているポイントですけど、特に背後からのプッシングなど注意です。つまりボールを完全に相手選手がコントロールしていて、ボールに届かない位置に自分はいながら相手選手の背後から(必ずしも手だけでなく)体で押しているようなプレーが「不用意」以上になっていないかの見極めです。

 

さてこの試合でのトピックはこのようなファウルの見極め・・・もそうなんですけど実はファウルの基準の一貫性についてなんです。それは自分自身の判定基準の一貫性でもありますけど、もうひとつは大会(もしくはその日の試合全般を通じての)としてのファウルの判定基準の一貫性についてです。

 

自分が担当した試合で基準を一定にしながら上記のようなファウルをとっていたつもりなのですけど、背後からのプッシングに笛を吹いた瞬間にファウルをとられた選手が「も~う!」という言葉と身振りで異議を示したようにみえました。ここはカードを出さず笛を吹いてあらためてプレーを止めその選手に注意を与えます。「今のファウルだからね」。

 

さて自分の判定基準の一貫性も反省する点はあるものの、このとき選手から感じたのは「え~さっきの試合で笛は鳴らなかったのに~!」というような不満でした。

 

もちろんこのような不満が本当にあったのかは私の憶測にすぎません。しかし事実、私が主審を担当する前までの試合では厳しく言えばとるべきファウルが全くといっていいほどとられていませんでした。ですので同じ大会の中で私の判定だけが大きく「基準」から外れていたとも言えるでしょう。実はこのことはある程度予想していました。厳しくファウルをとりにいこうと決めて試合に臨んだので「えっ?なんで??」という違和感が選手の間に起こり得ると思っていたのです。

 

 

通常は当該試合内での判定基準の一貫性が求められることにファーカスが当たりますけど、このようにひとつの大会やその日に連続して行われる試合の中での審判員の判定基準の一貫性もとても大切なものになると思います。

 

あとこれは以前にも書きましたけど、やはりTVの影響ってあるのかな~と思ってしまいます。つまりJリーグの選手が行っているプレーをマネするってようなことです。またそれは選手(子供たち)だけでなく審判員(大人たち)にも影響を与えているようにも思います。「簡単には笛を吹かないぞ」ってこと(本当は「吹けない」)が「カッコいい」みたいなことってないでしょうか?

 

そんな印象をもったのは本日、TV中継されていたガンバ大阪 VS 横浜Fマリノスの試合を見ていてのこと。それは主審の佐藤隆治さんの判定についてです。佐藤主審、今日の試合ではちょっと手のファウルに対して寛容だったような気がします。ちょっと偉そうに言うと、「ウ~ン、今のはホールディングでは!?」と思われるプレーでも笛はならず(もちろんアドバンテージを適用されていたプレーもありましたけど、必ずしもそうでもないプレーもあったような)で、正直「この試合を見ている全国の良い子はマネしないでね~。あと子供たちの育成に関わるすべてのコーチ、監督そして審判員の方々も」と思った次第です。

 

なんて言うは易し行うは難し、です。

 

さて私の反省。上記の主審を担当した試合で行うべきだったのは整列して挨拶するとき(つまり試合開始前に)「手のファウルを厳しくとるよ、後ろから押すのもちゃんと見ているからね」と子供たちに言っておくべきだったかと。ファウルを「カッコよく」取り締まる前に「させない」ことに優先をおくべきなのは、特に育成世代の審判員にとって大切なことかなと思います。そして大会を通じてのファウル基準の非一貫性に対する選手の不満を和らげる策の一つでもあろかと思います。

 

では、I'll be back.