ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

飲水タイムで最も大切なこと

さて、今月も実戦から遠ざかっていますけど、次回の出動に向けて筋トレ、イメージトレーニングで過ごす毎日でございます。

 

というわけで、過去の書きかけネタから、まずは先月のU10リーグ戦であったこと。飲水タイムについてです。

 

その日、大会本部も兼任していた私は、監督と「飲水タイムどうしましょうか今日は?」と話しながら「それは主審の判断でよいのでは」との監督の返答に「まあ、そうなんだけど、決められるのかな~」なんて話をしておりました。

 

ちなみに「通達」では4種においてはWBGT(湿球黒球温度)25℃以上、乾球温度28℃以上、湿球温度21℃以上の環境下では飲水タイムを設けることが規定されています。仮に上記の測定値が得られない場合は主審の裁量によって決定するとなっています。

 

そう午前中の試合でまだ気温も完全に上昇しきっていない環境だったので主審の裁量によって決めるということは通達通りで我が監督が正しいといえば正しいのですけど、私にはある懸念がありました。

 

さて、主審担当の方に「飲水タイムどうしましょうか?」と尋ねると「まだ午前中だし無くてもいいのでは」と予想通りの?回答。そこで私はある意味強引に「そうですね、ただ今日はすでに気温も高くなっていますので私は設けた方がいいのではと思います」とお伝えしました。すると主審の方は「ではちょっと考えさせて下さい」とのこと。

 

私の頭の中には、「熱中症注意ラインは環境の絶対値だけが判断基準ではなく、環境に体が慣れているかどうかも判断に入れなければならない(つまり比較的低い気温や湿度でも熱中症は起こり得る)」との考えがありました。「通達」にも飲水タイムを設けるかどうかの決定は「安全を重視するという観点から判断することが重要」との一文がありますね。

 

さて両ベンチに飲水タイムを行うかどうか伝える必要がありますので主審の方に確認すると「飲水タイム設けます」とのこと。でそれを仰ったのに続いて「実は飲水タイムやったことないんですけど何時やればいいんですか・・・」とのお言葉がありました。その後、「ボールがアウトオブプレーで・・・」と一通りの手順をお伝えすると「時間は2,3分でいいんですよね?」との確認が主審の方からありました(どうも飲水タイムを設けることに消極的だなあ、と思ったら・・・知らなかったのですね・・・)。

 

そうです。ここです。今回のメインテーマ「飲水タイムで最も大切なこと」に対する答えがあります。そう、最も大切なことは:

 

「できるだけ速やかに試合を再開させる」

 

なのであります。

 

エッ?それって・・・目的と手段が逆転していない?

 

仰る通りでございます。でも、それでイイんです!

 

確かに選手の安全のために飲水タイムを設けているわけですから確実に選手が飲水できているかどうかが大切なわけですけど、特に4種の試合に限って言えばこの「速やかに試合を再開させる」ことのみに主審と副審が神経を集中させていいと断言いたします。

 

「2、3分」と主審の方が仰っていたのは、選手を休ませるもしくはクールダウンさせるためとの意図があった、もしくは飲水タイムへの「無知」(失礼!)から来るものだったと思われます。

 

しかし4種では多くの場合、飲水タイムはランニングタイム扱い、つまり「空費された時間」として試合時間に加算されることはありません。2,3分も使ったら・・・試合時間がなくなっちゃう・・・です。

 

もちろん選手がフィールドの外に出ないようにとか、勝手に選手が入れ代わっていないようにとか、飲水タイム時に交代が要請された場合の適切な手順とか、色々大切なことはあります。この辺の注意すべきことは色々な記事をご参考いただければと思いますし、あらためてご紹介できればと思います。

 

で、まず飲水タイムのマネジメントに慣れていない方はとにかく「速やかに」を念頭においてください。

 

さて、この日私が主審を担当した試合までを見るとベンチの方々も実に手際よく飲水を選手にさせていて速やかに試合が再開されていました。で、自分が担当した試合です。かなり一方的な試合になってしまい、やられっぱなし(二桁も得点された)のチームのコーチの一人の方がかなりエキサイトされてまして「お前らこのまま終わるんか!」と叱咤されてました。で、飲水タイムになっても・・・そのコーチの方が相変わらず吠えてます(苦笑)。

 

さて、実はこのような状況になることは予想出来ておりました。そこで私は、まず自分の担当である本部席左側のベンチ(つまり勝っているチーム側)の選手に「飲み終わった人から帰ってね~」と声掛けをします。で、A1の方の方を見ると打ち合わせはしておりましたけど、やはり「吠える」コーチの方を前に、どうしたものかと佇んでおります。そこで、私は駆け寄りながら「飲んだ人からドンドン戻ろう、戻ろう!」と声をかけました。

 

まず、審判団がチームとなって速やかな試合再開のためのベンチおよび選手マネジメントすることが大前提です。ただし実際に4種では審判員の方は帯同の場合がほとんどなので技術差や経験差があります。ので主審がリードしましょう。

 

で、この試合でのマネジメントポイントは2つ。

 

1)勝っている(この場合しかも大差)チームが遅れてもどらないようにさせる(=不公平感を最初から無くす)

 

2)ベンチ役員の心理状態と子供の心理の両方を念頭に最初から声掛けする(=とにかく先手「必勝」)。

 

まず1)は、もし勝っているチームが意図的に時間をかけて飲水していたら・・・それは絶対許されません。これは遅延行為ですよね。

 

で、2)です。今回の場合「叱咤」なので「指示」ではないかもしれませんけど、どちらも飲水タイムの行為としてはベンチがやってはならないことです。といっても選手の不甲斐なさにフラストレーションがたまっているベンチ役員と正面きっていきなり対峙するのも得策とはいえません。同時にベンチの声を全く無視するわけにもいきません。ので、毅然とした態度を示しながらここは選手とコーチを早く引き離すことにします。そのために間髪いれずベンチに近寄って「飲んだ人から戻ってね」の声掛けが重要ですね。それも全員ベンチ前を離れるまで、促し続けます(これはある意味ベンチ役員に対する間接的なマネジメントでもあります)。

 

幸い、他のコーチの方は冷静なので、この辺の雰囲気を読みながら余計な対峙はさけながら試合再開に向けて行動すべし、です。

 

 

さて私の方法が完璧な飲水タイムのマネジメント方法かどうかは別にして、とにかく「できるだけ速やかに試合を再開させるを旨にすべし」でこの夏試合に臨んで下さい。

 

まあ、いうまでもなく試合前の審判団の打ち合わせおよびベンチ役員とのコミュニケーションによる準備がなによりも「速やかな試合再開」のために大切なことは言うまでもありません。

 

あと蛇足ながら私は4種においても飲水タイムよりアウトオブプレー中に選手がライン上で好きな時に飲水できるほうがいいと思っております・・・課題は多々あるとは思いますけど。

 

では、I'll be back.