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ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

試合前に「警告」できるのか?または公式見解にもの申す!(後編)

さて、いよいよ「真田丸」を立ち上げます!

 

前回の記事で私は試合前に警告「出来ない」根拠をJFAのサイトに示されている「競技規則 2016/2017  質問と回答」に求めましたけど、ここに示されているのは「『なぜ』出来ないのか?」に対する回答であり、警告出来ないことは競技規則においてすでに付与されたこととなっております。それは:

 

「主審は、試合前のフィールド点検のためにフィールドに入ったときから試合(ペナルティーマークからのキックを含む)終了後にフィールドを離れるまで、懲戒処置を行使する権限をもつ。試合開始時にフィールドに入る前に競技者が退場となる反則を犯した場合、主審はその競技者を試合に参加させないようにする権限を持つ(第3条6項参照)。主審はその他の不正行為を報告する。

 

という条文で示されています。さてここから整理します。

 

 

①懲戒処置とは退場もしくは警告または不正行為の報告のことである。

 

②新規則(2016/17)から主審は試合前のフィールド点検のためにフィールドに入ったときから懲戒処置を行使する権限をもてる。

 

③一方でレッドカードまたはイエローカードを示す権限が行使できる時間帯は旧規則(2015/16)から変わっていない。

 

さてまずは①です。「懲戒処置」という表現は旧規則(2015/16)では「懲戒の罰則」となっています。この部分の英文は:

 

懲戒処置=Disciplinary action

懲戒の罰則=Disciplinary sanctions

 

となっています。

sanctionsという単語は一般的には「(法令・規則違反に対する)制裁・処罰」という意味になるのでactionという単語になった意味合いは必ずしも処罰することに限定しないということを示していると思います。というわけで素直に競技規則を読めば1)の時間帯においては(つまり試合開始時にフィールドに入る前までは)退場(と同等の懲戒処置)は行使できても警告(と同等の事象)については報告にとどめるということになろうかと思います。

 

次に②。中編であげた四種類の時間軸(時間帯)を再度次に書き出しますね。

 

1)主審がフィールドの点検のためにフィールドに入ったときから試合開始時にフィールドに入る前まで

2)試合開始時にフィールドに入ったときからキックオフの笛が吹かれてボールがインプレーになる前まで

3)試合開始から試合終了まで

4)試合終了後にフィールドを離れるまで

 

新しく追加になったのは「主審がフィールドの点検のためにフィールドに入ったときから試合開始時にフィールドに入る前まで」にまで「遡る」形で懲戒処置が行使できるようになったことですよね。さて実務上問題となるのはこの1)の時間帯の起点ですね。競技規則に添付されている「すべての改正点の詳細」にある日本協会の解説によるとそれは「主審がスタジアムに到着後、フィールドの点検時から」となっています。ただ4種の場合など実際の現場ではすでに複数のチームがフィールドで入り乱れてウォーミングアップしていたり各試合の間にもあまりインターバルの時間が設けられていない等々の状況がありますし、(帯同)審判団が一緒にフィールドチェックなど行っていないのが現実でしょう。このような場合は大会開始前に最初の主審がフィールドチェックに入った時点から(もしくは本部側でフィールドチェックが終了し主審が到着した時点から)懲戒処置が行使できると考えていいのではないかと思います(4種の場合マッチミーティングなどない場合がほとんどなのでチームや登録選手を主審が事前に正確に把握するのが困難であるという問題が依然残りますけど)。

 

このような実際の状況に合わせてどのように対処すべきかということが皆さんの一番知りたいことかと思いますけど、それは次回以降に譲り今回はこの1)の時間帯に懲戒処置の権限が主審に与えられた意味合いについて私なりの解釈を主眼に書かせてください。実はこの部分が「真田丸(=一石を投じることが仮に出来たとしても結果はカワラナイ)」の本丸です。

 

その本丸に行く前に③についてです。これは上記の通りです。ここで触れておきたいのは次の2点です。

 

まず1)の時間帯がなぜカードの提示の対象になっていないのか?それは競技規則の英文にもあるようにカードというのは「communicates」するために使用する用具なので、もっと詳細に言えば1)競技者、交代要員または交代して退いた競技者2)審判団3)ベンチ役員4)運営本部5)観客に対して一目で退場や警告の処置が行われたことを周知するための用具なわけですよね。フィールドに入る前には1)~5)までの周知対象者は一堂に揃っていないので用具が機能しないので使用しないということかと思います。これは逆に言えば用具が本来の機能をなさないことを示していても「イエローカードが提示できない」=「警告という概念が存在しない」ということにはなりません。なぜなら禅問答のようですけど、「レッドカードを提示できない」1)の時間帯でも「退場(試合に参加させない)」という概念は存在するからです。さてここでの重要ポイントは退場に該当する懲戒処置を主審がとると決定した場合その周知方法は?ということです。ここは後で触れます。

 

次にレッドカードやイエローカードを提示できる時間帯の新旧の規則の表記の違いについて。

 

新規則: 「ハーフタイムのインターバル、延長戦、ペナルティーマークからのキックが行われて いる間を含め、試合開始時にフィールドに入ってから試合終了後まで、主審はイエ ローカードやレッドカードを示す職権を持つ。 」

 

旧規則:特に表記なし

 

あれ?と思われた方も中にはいらっしゃったかと思います。実際に旧規則では39Pで

「主審は、フィールドに入ったときから試合終了の笛を吹いたのちフィールドを離れるまで、懲戒の罰則を行使する権限をもつ」とだけ書かれていて「カードを示す権限」を時間軸と共に明記していたわけではありませんでした。それにもかかわらず今までもフィールドを離れるまで退場や警告の反則があればカードを示すという約束事になっていたので、この部分については新規則も同様に解釈すべきですね(なぜ「フィールドを離れるまで」と明記しなかったのかは謎?ですけど・・・)。

 

さてではいよいよ「本丸です」。再度私が違和感をもった文章を次に挙げます。

 

競技規則 2016/2017  質問と回答

第 5 条 主審

Q 3 : キ ックオフ前に主審が競技者に 「プレーをできないこ とを 命じる ( 退 場 )」 ことはでき ることとな ったが 、警告 に相当 する 行為であったこと に対して 「警告」 する ことはできないのはなぜか?
 
レッドカードとなる反則は著しく不正なものであり、そうした反則を犯した競技者は試合でプレーす べきではない。しかし、試合前に警告をすることができるようになると、試合開始時に、競技者が既に 警告を示されていることを周囲の人々はわからず、混乱を招くおそれがあることから、これらの不正行 為については報告にとどめる。

 

(下線筆者)

 

そうです。上記の下線部に対しての違和感なんですね。それは二つに分けられます。

 

違和感その1= 周知の方法が「警告」できないことの理由になっている(ように読める)。

違和感その2=この書き方だとそもそも試合開始前には警告の対象となる事象など発生しないかのような誤解を与える(おそれがある)。

 

さてまずは「違和感その1」からです。これまたまた禅問答のようですけど退場(試合に参加させない)処置としたときレッドカードという便利なcommunication equipmentを主審は使用できないので周知を迅速かつ徹底して行う必要があります。すなわち前掲した5)の観客を除く1)~4)の関係者に退場の処置を誰にどのような理由で何時行ったか報告する義務があります。競技者に対してだけ「試合に参加することを認めませんよ」言って終わりにしたらそれこそ「周囲の人々はわからず、混乱を招くおそれ」がありますよね。なので理論的には「警告」でも周知方法を同様にすれば逆に「混乱を回避」できるはずです。なので当該試合にこの警告を持ち越して累積になることが周囲に分からないので・・・というのも警告できない理由にそもそもすべきでないと筆者は考えます。でも間違えて覚えないで下さいね1)の時間帯では警告できないし、そもそも警告できないんだから累積になることもあり得ません。これが筆者が「周知方法がない=イエローカードが機能しない状況である」、ことを理由(のように)書かれていることへの違和感の中身です。

 

では本丸中の本丸「違和感その2」についてです。

 

そもそも今回の1)の時間帯にまで懲戒処置の対象を拡大したのは全く新しい概念というわけではないと思います。もっとひらたく言えば「試合が(プレーが)始まる前に警告できるのか?」との問いには「今までも出来た」という答えなわけです。すなわち2)の時間帯ですね。整列して挨拶するためにフィールドに入った時点ではまだプレーは開始されていないわけですから。なので筆者は今回の1)の時間帯での懲戒処置というのは2)の時間帯の概念がそのまま引き伸ばされて(遡って)適用されたに過ぎないと考えます(ちなみに筆者は試合終了後整列しての挨拶時に起こった事象に対して警告した経験があります。まだ記事にしていないようなのであらためて)。

 

ではその概念とは何かと言えばプレー開始前から責任を持った態度で行動をしようよ、ってことです(もちろん競技規則にそんなこと書いてないですけど)。

もっと言えば今回初めて明記された「サッカー競技の精神(英文では『the"spirit of the game"』となります)」を持って試合に臨もうよ、それはすでにプレー前の行動から必要なことだよ、ってことかと思います。

 

当たり前ですけど、競技規則は審判だけのために存在するわけではなくサッカー競技者誰であろうと常に守らなければならないことです。だから主審が「試合前のフィールド点検のためにフィールドに入ったときから」競技者(それが交代要員であろうとなかろうと)はサッカー競技者として相応しい行動が求められるわけです。

 

もちろん「サッカー競技者として相応しい行動」は会場入りする前から望まれることですけど、競技規則は道徳律や指導要綱ではないのでこれから始まる試合においての安全や公平性を前提に考えたときに上記の主審の行動が懲戒処置の起点となることが合理的なわけです。

 

今、サッカー競技規則は道徳律や指導要綱ではないと書きましたけど、「反スポーツ的行為」があった場合警告するとしている素晴らしい考え方が明記されています。試合が始まる前の警告となると、この「反スポーツ的行為」しかありません。例えば当該試合の競技者間で「この前の試合のお返したっぷりとしてやるからな。楽しみにしておけよ。」といった挑発ともとれる言動にどのように対処すべきか?はたまた審判を見て「今日の試合はXXチームに有利な判定になりそうだよな。みんな覚悟して臨もうぜ」と言ったたぐいの言動には、どの程度エスカレートしたら主審としてどのように行動すべきか?ある意味試合中より難しいマネジメント、それも「反スポーツ的行為」を念頭においた判断が求められると思います。ので1)の時間帯において警告の概念がないかのような誤解を与えることは避けなければならないと筆者は考えます。

 

さてこのように私が何を書こうがどう解釈しようが1)の時間帯では実際には警告できず反スポーツ的行為があったとしても「報告する」にとどまるわけです。この報告の仕方ですけど審判報告書に記入するのはもちろんですけど、やはり1)~4)に伝える必要があると考えます。なぜならそれがこれから開始される試合のよりよいマネジメントに活かされると考えられるからです。審判報告書に記入されるだけだと試合中の安全についての不安定材料を抱えたまま、もしくは一方のチームに不公平感や不安感を与えたまま試合を開始することになってしまいます。なのでやはり筆者は1)の時間帯においても警告できるようにすべきかと思います(累積にするかどうかは別にして)。

 

とまあ、こんなに駄文を長々と展開してもなにも変わりません。試合開始時にフィールドに入る前には主審は警告できません。でも、それはイコール主審が監視対応すべき警告に該当する事象は発生しないということでは決してない・・・ということだけ覚えておいていただければ幸いです(そんなこと言われなくとも・・・失礼いたしました)。

 

うーん、「真田丸」を立ち上げそこなった感じです。やはり真田丸というからにはレッド(赤)はあってもイエローはないってことでしょうか・・・お後がよろしいようで・・・。

 

では、I'll be back