ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

身を挺して止める - 箱根駅伝に見るサッカー審判員のリスクマネジメント

年明けて2017年の初春。まだ審判事始めとはなっておりません。昨日は筋トレ事始めとし来たるべき実戦に備えております。はい。

 

で、お正月といえば恒例の箱根駅伝。実はニュースで見るまで知らなかったのですけど、復路最終10区において交通規制の連携ミス?が原因で神奈川大学の選手が交差点に入ってそのまま走り抜けようとしたら・・・左側から直進してきた車にあわやはねられそうに(映像を見る限り、「接触」という言葉は不適切と思われるほどの車のスピードとタイミングでした)なりました。

 

さて、一部新聞報道によると「交差点の警察官は、この選手の時も通過の連絡を受けたが『規制するタイミングが遅れ、止め切れなかった』と話している」とのこと。

映像でしか見てなくて断定的なことは言えないにしても連携ミス、で済まされることではなく「起こるべくして起こった」ように見えます。無線で連絡して行動に移るって・・・仮に無線連絡する起点と受けて側の位置(=規制ポイント)がかなり離れている(=連絡から規制の行動に移るまでかなり時間的余裕がある)なら危険性も低いように思いますけど、映像で見ると無線連絡する位置と交差点までの距離はあまりなく時間的余裕もないように感じました。というよりも、そもそも無線連絡だけで交差点に位置している規制担当の警察官の方が行動に移るというのは最善の方法なんでしょうか?

 

こじつけのようですけど、ここに主審と副審が行うような目視できるシグナルと無線連絡の併用など(もしくは交差点側から複数の監視担当の警察官の方が目視で選手が近づいてきてないかダブルチェックするなど)があってしかるべきかなとも感じました。

 

で、なにより選手が安心して安全に通過できるということの証は規制する側が走ってくる車の走路の前に立っていられるか、ということにもなろうかと思います。つまり選手が気づいて車をよける・・・ということではなくまさに車の前に規制する警察官の方がいるので車が走れない状態をつくる、まさに「身を挺して」止める(というかアクセルを踏み込めない、ブレーキを踏んで止まって停止状態になる状況を事前に作り出す)ということですね。

 

サッカーの審判法でいえば、コーナーキックのときインプレーのまえにゴール前で争っている選手に注意するために主審が笛を吹いた場合、キック側にいる副審がボールの前に立ってコーナーキックで再開しようとも出来ないようにしておくとか、カードを提示する場合にブッキングが終わるまでリスタートさせないように主審がボールの前に立つとか・・・事前にやり直しになるような事態を回避するということです。でも仮にこのような状況でボールが蹴られても笛を吹いて止めて、やり直しさせるだけのことで(ゲームマネジメント上は減点です)選手に危険が及ぶわけではないですけど・・・今回の箱根駅伝のように・・・・。

 

とまあ、ことの重要性は全く異なりますけど、上記のようにリスタートのやり直しの危険性がある場合においては主審と副審とのタイムリーな連動や審判員の「身を挺して」の動き(ボールの前に立つ)が求められます(=選手に無駄なエネルギーを使わせない、不要なストレスを生じさせない)。

 

わたしもコーナーキック時に押し合っているゴール前の選手達に注意を促すために笛でプレーを止めたときにボールの方にいる副審の方を見てボールの前になんか立ってくれていると「あ~分かっているな」なんて思ったりします・・・けどこれってもしそのように副審の方に動いて欲しいなら試合前の打ち合わせでお願いしておくべきですよね!まさにこれぞ良き連携ってやつですね。

 

でも、今回の箱根駅伝のヒヤリとした(ほんと紙一重で大惨事になるところでした)一件で思ったことはリスクマネジメントで陥りやすい「落とし穴」をあらためて認識したことです。それは、「今まで大丈夫だったから今までのやり方で大丈夫」って根拠のない判断による想定と準備を行うということです。

 

どんな運転の車でも(仮に故意に侵入してきたとしても)止められるか?1回目の連携ミスがあっても2,3重の連携カバーがあるのか?等々・・・どんな「予期できない」状況でも想定して準備しておくことがリスクマネジメントの基本のキですよね。

 

自身の審判法においてのリスクマネジメントについてあらためて考えてみる機会にもなりましたし、様々なことを大いに考えさせられた今回の出来事でした。

 

では、I'll be back.