ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

サッカー主審の居場所 再び(ちょっと辛口) 2018FIFA ワールドカップロシア大会 雑報その⑧

フランス代表対クロアチア代表の決勝戦。結果、シャンゼリゼ通りをパレードしたのは

フランス代表でした(まあ、クロアチア代表がパリに凱旋するわけないか)。

 

さてこの試合の主審は…イケメン、アルゼンチンのピターナ主審です。さてピターナ主審この試合で見事なポジショニングと判定を連発・・・とはいかなかったというのが私の正直な印象です。まず本大会におけるピターナ主審のポジションの取り方についてはこちらの記事をご覧ください → 「 サッカー主審の居場所 2018FIFA ワールドカップロシア大会 雑報その⑥ 」。

 

やはり、ピターナさん位置取りがよくなかった。パスサッカーのクロアチア代表の邪魔にさえなっていたような・・・。でも、今回注目したのはあのフランス代表の1点目の起点となったクロアチア代表ブロゾビッチ選手によるフランス代表グリーズマン選手に対するファウルです。これには色々な見方が出来ると思いますけど、スロー再生画面を見る限りグリーズマン選手のワザあり、と言わざる得ないプレーだと思います。つまり「ファウルをもらいにいっている」もしくは「ファウルに見せかけている=シミュレーション」というわけです。

 

ここでのファウルはいわゆるトリッピングということですけど、身体的接触の有無でのファウルか否かという判断は間違っています。つまり「つまずかせる、または、つまずかせようとする」という行為が不用意に、無謀に、または、過剰な力でなされたのかどうかが見極めのポイントです。なので接触が不用意以上だったのか?接触がなくてもその行為(や意図)が不用意以上だったのかが判定の基準となります。

 

ただこれはファウルを犯した競技者だけを監視することになるので、一方で被ファウル競技者の動きや意図も見極める必要があります。なので主審はトリッピングが起こったなら(またその他のファウルでも):

 

① 不用意だったのか?無謀だったのか?過剰な力だったのか?

② 相手競技者の足や体に意図せず(もしくは逆にワザと)接触して(接触しそうになって)つまずいたのか?

③ 意図しない(=相手競技者の動きとは関係なく)「自爆」だった(自分で転んだ)のか?

④ シミュレーションだったのか?

 

を瞬時に見極め笛を吹く吹かないを決めなければなりません。

 

今回のブロゾビッチ選手によるグリーズマン選手に対する「トリッピング」は限りなく④に近いように思えます。ブロゾビッチ選手をボールを持った自分に十分に引き付けておいてまさにブロゾビッチ選手がボールを奪おうとして足を出そうとした瞬間にボールを前に出し、ブロゾビッチ選手の足が出た瞬間に後ろにむかって両足を引くように倒れている・・・はっきりいってスーパープレーです。グリーズマン選手恐るべし。

 

これはピターナ主審でなくとも笛吹きますね。でもFIFAワールドカップの決勝戦に選ばれた主審だからな~。グリーズマン選手の上をいく見極めをして欲しかった。カギはやはりポジションと予想です。この時もなんか微妙な距離と角度だったような。そもそもペナルティエリアに近い位置でグリーズマン選手がボールを持った時の意図を十分意識して監視していたのか・・・それが予想するということであります。

 

で、まあ後はフランス代表の2点目となったPKを与えたペリシッチ選手のハンドボールですね。これをまたVARに頼ったピターナさん。あの角度とボールの速度では難しかった?う~ん、そんなことは・・・。我々の場合ですとVARになんか無いですから副審との確認や隠れシグナル(ペナルティエリア内での守備側競技者の反則には通常副審はフラッグアップなどしない、つまり判断はすべて主審の情報だけで行うので)を使い多角監視を図るしかないです。

 

ここでの最大の監視ポイントはボールが腕に当たったのか?ボールに向かって腕が動いたのか?・・・などではなく腕の位置の「不自然さ」にあります。そこに主審が「未必の故意」を感じることが出来るのかどうかが判定の分かれ目になるのです。ピターナ主審、だから動体視力の問題ではないのですよ。

 

このハンドボールを見極められなかったピターナさんが決勝の主審って・・・。と毒づきながら、それでも実際は難しいよな~と納得してしまうのが「審判仲間」という同族なわけです。今後のサッカー審判員のあり方を最後まで考えさせられた今回のFIFAワールドカップでした。

 

では、I'll be back.