ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

サッカー審判員にとっての「見る力」~ その①

さて、では私自身の課題の1番目に挙げた「見る力」について。

 

なぜこれが1番目かというと単純に試合中に「見てんのかよ!」「見てないよな~」というお言葉を選手の皆さんから頂くからです。

 

多分私だけでなくサッカー審判員をやっていると一度はこの種の言葉を選手やベンチから貰っているのではないでしょうか?

 

さて「見る」というのはどういうことでしょうか?

それは通常「目に映っている」ということ以上でも以下でもないと思いますけど、3つに分解できそうです。それは:

 

1)画像を捉えている(と思っている)

2)画像を認識している(=「脳で見ている」)

3)認識した画像情報を行動に移せる。

 

ということです。

 

例えばペナルティエリアのすぐ外からシュートされたボールが守備側競技者の手に当たったとします。主審としてのあなたは守備側競技者にボールが向かった、そしてそれが守備側競技者に当たったことは捉えていても、手に当たったことを(どのように当たったかを)認識していなければ「見てなかった」ことと同じです。それが意図的に行われたプレーならファウルですけど、認識していないので笛を吹いたり、プレーオンのシグナルを出したりの行動には移せません。周りの競技者がこれらすべてを認識していたら「おい!主審見てんのかよ!」ってことになります。別に死角になっていたわけでも他の競技者によって視界が遮られていたわけでもなく、自分の目の前(至近距離)で起こったプレーなのに「見えていない=認識していない」ということがあり得る訳です。

 

いわゆる「ボ~っと見ていた」ということになるでしょうか。集中力に欠けていたってことです。もしくは視力のせいで画像がぼんやりとしか認識できなかったのかもしれません。なので「常に集中しよう!」とか、以前記事にしたように試合中だけ「コンタクトレンズ」を装着するといったような、見ることの心構えや条件を改善しようとしました。もちろんこれはこれで間違ったことではなく、改善されたようにも思えますけど依然「見えなかった(と周りから指摘される)」という状態が続きます。凹みます。

 

「もう若くないから~」なんて全て年のせいにして言い訳したくなるのですけど、色々調べてみると「見る力」は訓練によって強化できるし、「見る」こと自体も普段考えもしなかった奥深い世界があることにあらためて気づきました。

 

ところで私は自分の目のある「弱点」に長年気付いておりました。私は普段メガネを使用しているのですけど近視というより乱視というふうに言われ、自分もなんとなく右目の視力は比較的良く左目が弱い(実際、視力検査するとその通りなのです)ということなんだな、とだけ理解していました。ただ、同時に左右の目の視力だけでなく左右の目の使い方に偏りもあることには気付いていたのです。

 

自分が左右の目でどのように画像を捉えているのかが簡単に分かるテストがあります。

 

まず左右の人差し指と親指で三角形を作ります。両方の人差し指で三角形の頂点となる左右の辺を、そして左右の親指が三角形の底辺になるように指同士をくっつけるわけです。さて、そうして対象物はなんでもいいので(遠くのビルでも部屋の中の照明でも)両目でその対象物を見ながら、三角形の「額縁(フレーム)」の中心に対象物が納まるようにしてみてください。三角形の中心に対象物が納まった(三角形を通して対象物を見ている状態)なら、そのままの状態を維持します。そして右の眼、左の眼の順番で閉じて片目の状態で対象物がどのように見えるか確認するのです。両目が適切に使われているなら右目を閉じたら対象物はフレームの左へ移動し、左目を閉じたら右へ移動します。それでも依然対象物をフレームを通じて見ることが出来ます。

 

私の場合は左目を閉じると対象物はフレームの中に納まっていますけど、右目を閉じると・・・フレームの外へ完全に消え去ってしまいます!何度トライしても同じ。つまり私は常に画像を右目だけで捉えようとしているということです。

 

このように「両眼視」が適切にできていないと、極端な話オフサイドラインを見る場合も身体の正面からではなくラインより左側に身体を寄せて見ようとしていたかもしれません。また奥行き感や距離感も適切でなくボールとラインの位置関係、各競技者の交錯した手足の位置関係も正確に捉えられていなかったかもしれません。

 

これらのことは「見る力」は鍛えられるのか?それはどういうことか?という疑問からスタートしたときに遅ればせながら「ビジョントレーニング」という言葉に出会い、色々と調べて行く中で分かったことです。そしてさらに調べていくうちに両眼視の問題は単に奥行き感や正面で画像を捉えることに不都合があるだけではなく、もっと人間の目の機能の根源にかかわることにも関連しているのでは?と思うようになりました。

 

さて「ビジョントレーニング」はすでにご存じの方や実践されていることも多いと思いますので、次回は私なりに実行した結果や自己流にアレンジしたトレーニング方法をご紹介して、それがサッカー審判員の実戦でどのように役に立ったのか(立たなかったのか)等を書き記したいと思います。

 

では、I'll be back.