サッカー主審の動き - 言うは易し行うは・・・後半
さて、前半の続きです。
マンチェスター・ユナイテッドとAリーグ・オールスターズの試合での家本主審の動きについて私の印象です(そして各項目もあくまで私の見解です。一つの参考意見としてお読みください)
①「プレーの中」にいた。
② プレーに対して「串刺し」になっていた。
③ エレガントさに欠けた。
①について。「中」があるなら「外」がある(当たり前)。事実「審判員のガイドライン」73ページには「主審は、プレーの外側に向かって位置することによって、プレーとプレーが行われている側の副審を容易に視野に入れることができる。」とあります(下線は筆者)。
「プレーの外側」って?
この質問の答えの前に「プレーの中」の定義を。
プレーの中にいるとはボールや競技者の通り道にポジションしていることです。
これって、フィールドの中ならどこにいても「通り道」になるわけですけど、次のプレーの瞬間の通り道にいるかどうかということですね。私も先日主審務めた小学生の試合で、まさにボールが蹴られてこちらに向かってくるのを避けたり、動き出した選手の進路上にいたりしました。パスやシュートが当たりそうになったり選手が主審に視界を遮られたり動きを邪魔されたら間違いなく「中」にいます。
で、「外」とは次の瞬間の通り道ではない場所のことです。(詐欺みたいな定義ですね)
では「外」にいればいいわけですけど、実際はいつの間にやら「中」にいるんですね。(家本主審もこの状態だったと思います)
この理由は:
1) そもそも「中」「外」の境界線は目に見えるものではない。
2) 「中」「外」とはある瞬間の状態のことであって,常に変化している。
3) 変化(プレー)の予測がついていない。
というところでしょうか。
上記審判員のガイドラインにある「プレーの外側」は対角線式審判法の動きが前提になってます。では対角線上に走っていれば常にプレーの外から監視できるかというと、そうとは限らないことは1)~3)の理由でおわかりかと思います。
さて次に②の「プレーに対して串刺し」とは、よくインストラクターの方からも指摘されたことです。要はプレーに追いつけていない(適切な距離を保てていない)まま対角線上に回り込むことができず副審と挟むことができていない状態です。プレーしている選手を真後ろから追いかけているってことですね。
③の「エレガント」ってどうゆう意味って思われるでしょうね。これこそまったく主観的で、こんなことはインストラクターの方からも指摘されたことはないです。よく指摘されたのは審判にとって力強さを感じさせることが重要であるということです。動作や走りからこの強さが醸し出されることは審判員に対する信頼感にも繋がるということですね。
で、エレガントは私の定義では:
1)主審が常に変化(プレー)の予測を行い余裕をもって変化に対応している(ドタバタしていない)
2)プレーの流れを主審が可能な限り遮断しない
3)主審が各選手の心理状態まで把握出来ていて、言葉や仕草による適切なコミュニケーションを執っている
ということです。
いや~ここまで好き勝手書きましたね。私の主観としてお読みください。偉そうで失礼しました。
で、前半で挙げた以下3点の実践ポイント。
① 挟む
② 寄る
③ 邪魔しない
①と③はもう説明する必要もないかと思います。②は先ほど書いた「適切な距離」での監視ということと同時に「見る角度」が非常に重要になってきます。
まず適切な距離とは目安としてセンターサークルの直径(約18メートル)と3級審判員インストラクターの方々から教わりました。試合開始前にフィールドに入ってセンターサークルの距離を身体に覚えこませてみてください。あくまで目安ですから状況によって柔軟に対応する(もっと近づくまたは離れる)ことがポイントです。
で角度です。いくら近づいても選手と選手の間で行われているプレーなどはこの見る角度が悪いと選手自身に隠されてプレーが見えなくなります。これもずいぶんインストラクターの方から指摘されて今もって大きな課題です。でもこの角度を意識することだけでずいぶんポジションも改善されると思います。ポイントは立ち止まって、監視しない、常に動きながら角度を変えるということです。トライしてみてください。
あと、変化(プレー)の予測ですぐ実践できることを。それは小学生でも上のレベルでの審判でも同じように予測できること ー ボールを蹴る動作の開始です。例えばボールがすーっとある選手の前に転がってきて、その選手がクリア(またはパス)しようとした時に、主審として(ほぼ)止まった状態でそれを見ている、って経験どなたもあるのでは?
この場合間違いなく(選手がミスしない限り)ある方向にある距離ボールが移動します(蹴りだされる)。この時実践すべきは、ただボーっと見てないで予測した方向に予測した距離感をもって動き出すということです。ぜひトライ!
ちょっと長くなりました、主審の動きについてはこれからも書きますね。
では、I'll be back.