ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

無理してプレーオンしてませんか?

猛暑かつ強風の本日は、自分が所属する小学生チームの帯同審判として主審を一試合務めました。

 

で、自分が主審を務めた試合は置いといて、ちょっと気になったことを。

それは「プレーオン」についてです。

 

ここで質問。「プレーオン」ってどういう時に主審が発する言葉(もしくはシグナル)でしょうか?

 

1) 主審は反則を認めたが、アドバンテージを適用する場合

2) 一見反則のように思える事象を主審は反則と認めず、プレー続行を促す場合

 

もちろん1)が正解ですね。でもどうも今日の試合見ていて2)の意味でプレーオンをかけているのではと思われる主審の方もいました。(本日は私以外全員4級の方でした)

 

多分ご本人はそんなつもりないと思います。でもそのように思ってしまった理由は:

事象1:前半、我がチームのペナルティエリアに迫った相手チームの選手を後ろから我がチームのデイフェンスが不用意にチャージ。この時主審は「プレーオン」をコール。その後ボールはゴール方面に向かったが相手チームのコントロール下にはならず我がチームがクリア。

事象2:逆に後半我がチームが相手ペナルティエリアに迫った時、相手チームが後ろから不用意にトリッピング。この時主審は「プレーオン」をコール。その後ボールは相手チームに大きくクリアされた。そのボールを我がチームの選手がトラップしてコントロール下に置いた。

 

という二つの事象を目の当たりにしたからです。

 

事象1)にしろ2)にしろプレーオンとしたなら主審は「ファールを認めた」わけですから、そのファールをとってプレーを停止させるより続けた方がファールを受けたチームにとって「得になる」と判断したわけです。なので上記なような事象ではファールを受けたチームが「損している」ことになります。なぜならファールをとってくれた方がペナルティエリアのすぐ外から直接フリーキックでゴールを狙えたわけですから。

 

プレーオンをかける条件とか注意点とかは色々挙げるとまた連載も書けるほどのネタです。上記の事象の場合、ゴールにも近く場所としてはプレーオンがより効果的になる位置です。ただ私からみて:

 

①「相手競技者のゴールに向かって、素早く、また大きなチャンスとなる攻撃ができる機会にある」とは思えませんでした。

②上記いずれも後ろからのファールです。明確なアドバンテージがない限り私なら笛を吹きます。(警告であるかどうかには関係なく)

 

①はガイドラインに書かれている通りです。これを一言で書くと「コントロールできている(できる)か?」です。つまりファールを受けた選手から出たボールを直後に他の味方選手が完全にコントロールしているか(もしくはコントロールできる可能性がある)の判断です。この判断を瞬時に行い「プレーオン」をかけます。

 

で、プレーオンをかけたらセットになるのが「ロールバック」です。

 

競技規則 第5条 主審 

職権と任務

●反則をされたチームがアドバンテージによって利益を受けそうなときは、プレーを続
けさせる。しかし、予期したアドバンテージがそのときに実現しなかった場合は、そ
のもととなった反則を罰する。

 

競技規則の解釈 第5条 主審 

アドバンテージ

戻って、そのもととなった反則を罰する判断は、アドバンテージ適用後の数秒以内に行われなければならない。

 

本日の試合で起きた事象の場合(私ならプレーオンとはしません。その理由は上記のとおり)「予期したアドバンテージがそのときに実現しなかった」わけなので「ロールバック」すべきだと思います。

 

ただ本日の主審の方はロールバックの素振りもなかったので、冒頭で書いたプレーオンの「誤解」をされていたのかと邪推したわけです。

 

さてポイントのまとめです。

プレーオンをかける際に:

1)直後に他の味方選手がボールをコントロールできているか(できる可能性があるか)

2)プレーを続行した方がファールを受けた側にとって「得なのか?」(「損にならないか?」)

3)ファールを受けた側の選手はプレーを続けたがっているか

の三点を意識してみてください。

 

例えば1)が成立しても2)が成立しないなら笛です。

この事象としては守備側選手が自陣深い位置でフォアールを受けて直後にボールが自陣中ほどの味方選手につながっても、(次に大きな機会が予測されない限り)プレーオンかけられるより笛吹いてフリーキックにしてくれたほうが相手チームにプレスかけられ自陣内でボールを失うリスクもなくなり「得な」はずです。

またペナルティエリア直前までドリブルで迫った攻撃側選手がファールされ直後に相手競技者にはね返ったボールがペナルティエリアから遠く離れた攻撃側の味方競技者にわたっても、ここはプレーオンより笛です。

 

ところで3)はいきなり出てきましたね。これは結構大切なポイントなんでまたあらためて。

 

 

いずれにしてもプレーオンの適用は場数を踏んでいくごとに適切になっていくように思います。まずは「ホールディング」のファールでプレーオンをかけてみるのもいいと思います。

 

えっ?そのホールディングのファールが取りきれない?そうですここが重要です。

プレーオンを意識することは大切です。でも、ものには順序があります。まず事象(ここではファール)を見極めて笛を吹ける(ファールをとれる)ようになってからプレーオンを身につけても決して遅くないです。

 

プレーオンも、ほんと奥深いのでまた何回か別の機会に書きますね。

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まで