人命よりルール順守?ルール順守なのに警告?そしてコーナーキックに我思う(中編)。
さて、前編にて書きました、「列車事件」から遡ること1日。前日の土曜日に我がチームの監督の指令のもと練習試合にて主審&副審を務めたました。残りの一試合の主審は審判トレーニングもかねてOさんに担当いただき、その試合見ながら監督と会話。
監督「そういえば、この前の公式戦でコーナーキックの時にトリックプレーしかけたら審判にやり直しさせられたんだけど」
私「何やったんですか?」
監督「コーナーアークからボールをちょっと蹴り出して、その後キッカーが交代してドリブルで持ち上がってシュートまでいったんだけど」
私「で、やり直し?」
監督「だめなの?ちゃんとコーナーアークから出したのに、やり直しっておかしくない?」
私「コーナーアークから蹴り出したかどうかは関係ないんですけどね」
さてこの会話多少文言変えてますけど、要は監督としてはボールインプレーにした後に最初のキッカーとは別の選手がドリブルしているんだからルール上何の問題もなく、主審にやり直しを命じられたのは納得できないってことですね。
このプレーYouTubeでも見ることのできるマンチェスター・ユナイテッドのルーニー選手とギグス選手が仕掛けたいわゆる「クレバー(賢い)」コーナーキックと同じですね。この映像を見るとルーニー選手はゴールに背を向けたまま、軽くボールを足で転がしながらコーナーアークまで運んでボールをアーク内で止めるとすぐにスパイクの裏で転がすようにしてコーナーアークの外にボールを出します。ここまで一連の動作です。(ルーニー選手がゴールに背を向けたままだった、そしてこの動作が一連だった、ということを覚えておいてください。)
さてルーニー選手と代わるようにコーナーアークに歩きながら近づいたギグス選手はコーナーアークの外に出ているボールをいきなりドリブルし始めます。そしてゴール前に蹴り込んでこの後いったんロナウド選手?がヘディングで合わせてゴールを決めるものの取り消し、コーナーキックのやり直しとなります。
さて、さきほどの監督と私の会話にもどり、監督の間違いをまず正しておくと、
第17 条 コーナーキック
進め方
●ボールは、ゴールラインを越えた地点に最も近い方のコーナーアークの中に置かなけ
ればならない。
●コーナーフラッグポストを動かしてはならない。
●相手競技者は、ボールがインプレーになるまで、コーナーアークから9.15ⅿ(10ヤー
ド)以上離れなければならない。
●攻撃側チームの競技者がボールをけらなければならない。
●ボールは、けられて移動したときにインプレーとなる。
●他の競技者がボールに触れるまで、キッカーは再びボールをプレーしてはならない。
(下線筆者)
ということになります。
我が監督は「コーナーアークから直接蹴り出される」ことがボールインプレーの必須要件だと思っていたわけですね。
これが「コーナーアークから蹴り出したかどうかは関係ないんですけどね」と私が言った理由であるわけですけど、一方でコーナーアークの外にボールがあったことは再開方法についての審判員の判断を左右していますね。
つまりコーナーキックの進め方が正しくない(=「ボールは、ゴールラインを越えた地点に最も近い方のコーナーアークの中に置かなければならない。」が守られていない)ので「やり直し」という判断なわけです。
これがコーナーアークの中にボールがあったなら我がチームのケースもマンチェスター・ユナイテッドのケースも「他の競技者がボールに触れるまで、キッカーは再びボールをプレーしてはならない。」の手順が守られていないので相手チームの間接フリーキックでの再開になったはずです。
なぜなら両方のケースとも主審も副審も最初の「キック」を認めていないからです。
(そうでないと再開方法の選択理由の辻褄があわなくなる)
では、最初のキックを認めていたらどうなるでしょうか?ここでいう「認める」には二つの意味があります。それは:
①「ボールは、けられて移動したときにインプレーとなる。」という正しい手順の行為として認める。
②上記の進め方を当事者(キッカー)が周りに気付かれない(特に相手競技者)意図をもって行ったことだけは認める。
という二つです。
①の認め方なら、たとえ相手チームが「あれれ?」と戸惑っていても「もうキックされたよ。問題なし」という判断にもなりますし、ひょっとしたら『君たち気付いてなくても、僕はわかっているよ、このトリックプレー』って思いながら優越感?に浸っているかもですね。
①にしても②にしても行われた行為は同じですけど、審判員の認め方は180度異なります。なぜなら②は「正しい手順」として最初のキックを認めていないってことなんですから。
ここにギャップが生じます。まさに我が監督が言ったような「正しく行ったのに審判認めないっておかしくない?」っていう仕掛けた側の言い分と審判員の判断のギャップってことです。
このようなコーナーキックは、結局相手競技者を「欺く」ことがプレーの意図なわけです。ですからいくらルールを順守していても「欺いている」わけなので、この行為をしたことで警告もあり得るわけです。反スポですね。
一方で「クレバー」と評される側面もあり、それを仕掛けて成功した時のカタルシスは私も理解できます。というか、敵の目を欺くことを全く排除することはプレーの魅力や観客の楽しみを奪うのではとも思うわけです。
これは私が中学生のときに野球部員だった時に、部の伝統技「隠し玉」を会得していたこととも関係しています。
「隠し玉」はまさに敵の目を欺くプレーです。もちろん野球のルールを順守しながら。
と、いつもながら話は迂回しながら進んでいきます。
では、I'll be back.