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ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

副審のポジションにおける「串刺し」 ー オフサイドラインのキープの例外

 主審のポジションの悪さを指して「串刺し」という言葉をよく使いますよね。なにげなく使っているこの言葉。人によってはどのようなポジションなのか具体的にイメージできていないかも?(例えば審判経験のまだまだ少ない方等)と思うときがあります。

 

以前主審のポジションが「串刺し」という状態について以下のように説明したことがありました。

 

「さて次に②の「プレーに対して串刺し」とは、よくインストラクターの方からも指摘されたことです。要はプレーに追いつけていない(適切な距離を保てていない)まま対角線上に回り込むことができず副審と挟むことができていない状態です。プレーしている選手を真後ろから追いかけているってことですね。」(こちらの記事全文 → 「 サッカー主審の動き - 言うは易し行うは・・・後半 」)

 

あらためて「串刺し」という主審のポジションについて説明すると、ここはやはり串にさされた焼き鳥とかシシカバブなんか思い出していただけるとよいかと。つまり串にさされているモモ肉とかネギとかパプリカとか羊肉とかが一直線上に並んだ攻撃側選手、守備側選手、ボールに対応しているわけです(食材の具体性はここではなんの意味もございません)。「串刺し」はちょうど串にささった片側の食材を目線の高さで両目の中央に持ってきて、串を目線と平行にして食材を見ている状態なので食材と食材との間は当然見えないし、その位置からの視線では何の食材が刺さっているのかも見えないはずです(マワリクドクテ、ヨケイ、ワカラナイ?)。

 

美味しそうな焼き鳥やシシカバブをこのような目線で見ることはあり得ないと思います。普通は刺さっている全部の食材を見るために俯瞰的な視線で眺めますよね。「串刺し」は争点に遅れている(近づけていない)主審の悪いポジションを示し(例えばゴールに迫って決定的な得点の機会の攻防が繰り広げられている状態を攻撃側もしくは守備側選手の背中の真後ろから見るような状態)そのポジションにいる原因は「走れていない」とか「出だしが遅い」ということとセットで語られます

 

原因はその通りで私なんかも反省することばかりですけど、そもそも「串刺し」にしてしまう要因は主審自身が監視すべき争点を具体的にイメージできていないことにあるのだと思います。つまり争点というのは、必ず両チームの選手と選手の身体が接触する可能性がある部分に大抵はあるので(例えば相手を押すとか、掴むとか、足でひっかけるとか、身体を当てるとか)それが見えない位置にいる(例えばこれが「串刺し」のポジションなわけです)ことで平気・・・って感覚がまず問題なんですね。

 

「そのような位置から争点を監視するのは気持ち悪くてしょうがない、あっ~いやだいやだ。ちゃんと走って回り込もう、角度をつけて見よう」と感じるようになったらしめたものです(自分に向かって言っている)。

 

こんな「串刺し」ポジション、主審だけかと思っていたら副審でもあるんですねぇ~これが。

 

そもそも副審のポジションはタッチラインと平行でなければならないわけで、しかもある意味常に「串刺し」ポジションで監視している必要があります。一番わかりやすいのがオフサイドラインの監視ですね。常に2番目の守備側選手なりボールなりハーフウェーラインなりを「串」とした場合に攻撃側選手が「串」に対してどこにいるかを見極める必要があります。

 

もちろん副審もファウルサポートのために争点をイメージしながら競技者の動きを監視しますけど、そのためによりよいポジションを確保する目的でオフサイドラインを無視して動くわけにはいきません。主審はよりよい位置を目指して自発的に動きますが、副審は競技者やボールの位置を正確に見極めるために決められたコース上にいる必要があるわけです。

 

ところが週末に担当した2種の試合で「副審にも串刺しのポジションがある」ことを認識しました。そしてオフサイドラインから外れても、よりよいポジションをとる必要があることも学びました。

 

その状況とはオフサイドライン上に攻撃側選手、守備側選手、ボールが一直線上に並んだ場合です。まさにオフサイドラインによる串刺し状態です。

 

それは攻撃側選手が私が担当している側のタッチラインぎりぎりをドリブルで抜けて守備側選手を振り切ろうとしている状況でした。プレーの一環として攻撃側選手はタッチラインの外にいったん出てボールをキープしながらフィールドの内側に向かって切り込もうという動きなわけです。当然守備側選手は攻撃側選手にスペースを与えないよう真横からタッチラインへ向かってドリブルしている攻撃側選手を追い込むわけなので、ここでの最優先監視項目はボールの一部がタッチライン上にあるのかボールの全体がフィールドの外にあるのかということです。ドリブルで抜けてしまえば得点の機会ともなるわけでこの見極めは勝敗を左右しかねません。

 

律儀にも?タッチラインと平行な位置でかつフィールドに正対しながらサイドステップで監視していた私はポジションとしてはオフサイドラインをキープ。ところが攻撃側選手がドリブルしながら自分とタッチラインの間にいるわけなのでボールを真上から監視もできないですしタッチライン上に目線を置いて横からボールを監視することもできません。つまりタッチラインとボール全体の位置関係という空間認識は不正確になっていたわけですね。

 

で、それが起こりました。一瞬攻撃側選手がドリブルしたボールの全体がタッチラインを割ってフィールドの外に出たようにも思えたわけです・・・けど、不正確にしか監視できないフィールドに正対した「串刺し」のポジションにいる私は確信を持てないのでフラッグアップせず、そのままプレーを監視し続けました。守備側選手は「出た!」のアピール。でも見えてないのにシグナルを推測で出すわけもいかず・・・。結果ドリブルで抜けたボールは守備側にクリアされ・・・事なきを得た(?)というわけです。

 

さてさて、この場合はやはりオフサイドラインから一瞬ズレるべきで、ボールの位置とタッチラインとの関係を正確に把握できるボールより前か後のタッチライン上に目線を置くべきでした。現実的にはボールより前となると後ろを振り返りながら走るという無理な動きになるので、やはりボールの後ろになるべきかと。その後ボールがタッチラインを割らなければ、素早くオフサイドラインに戻る、という動きにすべきでした。

 

この場合のような副審の「串刺し」も冒頭で述べたように「走れてない」というよりも「何を(この瞬間には最優先で)監視すべきかのイメージ」を持ててない(瞬間で判断できていない)ことが要因だと思います。

 

やはり実戦は学びの宝庫ですな・・・と今回も思い知った次第でございます。

 

では、I'll be back.

 

 

 

主審の承認なしにゴールキーパーと入れ替わったら・・・新規則 vs 旧規則

さてさて、多分4種においても4月になれば新規則(2016/2017)を自動的に適用しての試合が開始されると思います。思いますというのはこの辺、実に曖昧に進められているのが現場の感覚。

 

今に至っても私は必ず担当する試合前に本部運営担当者の方に確認します。そうしないと、アブナイ・・・。例えば先日の会話。

 

私「新規則ですか旧規則ですか?大会要項には記載されていませんけど・・・。」

本部担当の方「えっ・・・新規則です」

私「分かりました。新規則ということで参加チームの皆さんも分かっているんですね?

PKの場合にゴールキーパーの飛び出しがあったらイエローカード出していいんですね?」

担当の方「・・・・旧規則でお願いします。」

私 「・・・・。」

 

「キックオフ時にボールが後方に蹴られている。よって新規則かと思ったら・・・旧規則だった」なんてこともあったとお聞きしたことがあります。確認必要ですね。あと2か月ほどは。あくまでも我々レベルでの現場での事象ですけど。

 

さてその2か月後に向けて全然追いついていないのが新規則における変更点の記事化。

さて今回は規則の内容自体が変更されたのではなく、表現が変更された例です。

ズバリ「ゴールキーパーフィールドプレーヤーの入れ替わり」についてです。

 

まず新旧の規則の和文、英文を下記に挙げます。

 

2015/2016

 

第3条 競技者の数

 

ゴールキーパーの入れ替え

 

ゴールキーパー以外の競技者は、次の条件でゴールキーパーと入れ替わることができる。

●入れ替わる前に主審に通知する。

試合の停止中に入れ替わる。

 

主審の事前承認なく、競技者がゴールキーパーと入れ替わった場合、

 

●主審は、プレーを続けることを認める。

●主審は、次にボールがアウトオブプレーになったとき、かかわった競技者を警告する。

 

 

Changing the goalkeeper
Any of the other players may change places with the goalkeeper, provided that:

• the referee is informed before the change is made

• the change is made during a stoppage in the match

 

 

If a player changes places with the goalkeeper without the referee’s permission before the change is made:

• the referee allows play to continue

• the referee cautions the players concerned when the ball is next out of play

 

2016/2017

 

第3条

 

4. ゴールキーパーの入れ替え

 

ゴールキーパー以外の競技者は、次の条件でゴールキーパーと入れ替わることができる:

 

•  入れ替わる前に主審に通知する。

•  プレーの停止中に入れ替わる。

 

主審の承認無く、競技者がゴールキーパーと入れ替わった場合、主審は:

•  プレーを続けることを認める。

•  次にボールがアウトオブプレーになったとき、両競技者を警告する。

 

4. Changing the goalkeeper

Any of the players may change places with the goalkeeper if:

• the referee is informed before the change is made

• the change is made during a stoppage in play


 If a player changes places with the goalkeeper without the referee’s permission, the referee:

• allows play to continue

• cautions both players when the ball is next out of play

(下線筆者)

 

さて変更になった表現は:

 

             

試合           プレー

かかわった競技者      両競技者

 

のところですね。

 

さてまずゴールキーパーフィールドプレーヤーの入れ替わりはプレーの停止中に行われる必要があります。プレーの停止中=アウトオブプレー・・・ではありませんよね。まさに今フリーキックをしようとしている、もしくはスローインしようとしている時はアウトオブプレーであってもプレーが停止されているわけではありません。「プレーが停止中」という条件ではなくアウトオブプレー中で事前に主審に通知することで入れ替わり可なら理論的にはまさにフリーキックされようとしてる時に「主審入れ替わります~!」と言って替われる・・・ってのは現実にはNGです。なぜなら後で書くようにゴールキーパーであるためには「他の競技者、審判員と区別できる色の服装を着用しなければならない」からです。マジックでない限り・・・ムリ。

 

さて表現の変更で一番「スカッと」したのが「かかわった競技者」ではなく「両競技者」を警告するという部分。これ今までひっかけ問題のようなところがあって、勝手に入れ替わった場合誰を警告すべきか・・・?という部分に若干の曖昧さがあったと思います(事実私もかってはっきりと「かかわった競技者」とは誰のことなのか指摘できない時期がありました)。

 

では実際にゴールキーパーフィールドプレーヤーが入れ替わりたいとの申告があった場合に主審がとるべきこと。ここで問題になるのはやはり服装ですね。例えば4種の場合ゴールキーパー用のユニフォームがちゃんと選手番号とともに予備があるなんてことは、稀でしょうね。通常ならゴールキーパーのジャージとフィールドプレーヤーのシャツを交換するか、ビブス着用をもって服装の「差別化」を認めるべきであり、現実的処置かと思います(フィールド上でのパンツの着替えは避けるべき)。

 

まかり間違っても、キーパーグローブだけ着用して入れ替え完了とならないように。

 

ただこの「入れ替わり」まだまだ曖昧な点もあり、今後もフォローアップしていきたいと思います。

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

「奇跡のレッスン」 サッカー審判編!(後編)

かなり以前の話になるのですけど筆者の次男と同じチームにいた子が明らかに試合中畏縮している姿を見たことがあります。怖がっているんですね、失敗を。もっと正確に言えば「失敗=コーチの言う通りのプレーが出来ないこと」によってコーチに怒られることにビクビクしているのが手に取るように分かりました。

 

こうなるといけません。このような関係性(畏縮している人とさせる人)になると何が起こるかというと「思考停止」です。最悪は無気力とかサッカー自体が嫌になるってことですね。

 

この思考停止状態は、このケースに限らず「怒られるのが怖いので・・・」という指導者と指導される側の関係で常に見られてきたことのように思います。

 

幸いかな自分が3級審判員を目指していた時に指導していただいた方から多くの厳しいアドバイスを頂いたことはあっても畏縮するようなことはなかったと思います。まず第一に「指導」する側のインストラクターの方々がやはり指導のプロであったことが大きいと思いますし、指導の中で一番重要ともいえるコミュニケーションという手段はどうあるべきかをよくご存知であったからだと思います。しかも積極的にチャレンジしたりできる限りの能力を出している場合(自分が出来ていたかと言えば・・・?ですけど)には失敗があってもそれは称賛されるべきものとの共通認識もありました。これはサッカー審判員のカルチャーともいえるものですね。

 

ところが自分が試合で一緒になった4級の審判員の方を畏縮させたことはないか・・・と言えば畏縮はさせてなかったと思いますけど、自分が期待することやお願いしたいことがうまく伝えきれていないことに気づきます。先週の試合でも例えば得点のケースでのシグナルをお願いしていたのですけど、実際起こってみるとこれがうまく伝わっていないことに気づきます。

 

例えば2度ほどあった「得点になったけど依然インプレーに見える」状況でのシグナル。主審としては副審のフラッグアップのタイミングやどの位置にいてフラッグアップするべきか(当然ゴールラインの延長上なのですけど)がとても気になるわけです。

 

ここで「奇跡のレッスン」の前編でデンマーク人指導者の方が仰っていたこと、「一方的に与えられた情報は10%しか頭に残らない」が当てはまるわけです。まずこれを念頭にどのようにコミュニケーションすべきかを反省させられることが多々ありました。つまり自分の頭の中で明確にイメージできていても必ずしも他者は自分と同じ状態ではない・・・ということを前提にしてこそコミュニケーションはよりよくなる、つまり一方的にならないということかと思いました。

 

でも、それよりも何よりもなぜそのようなシグナルでなければならないのかも含め相手が自分で咀嚼する余裕を与えていない、つまり「思考停止」にさせているところが一番の原因では・・・と「奇跡のレッスン」をみて思った次第です。

 

前編でとても感心したシーンがありました。それはコーチの方が与えた課題を選手が実行できなくて何度も失敗を繰り返し混乱している場面で「いいぞ、混乱しているということは自分で考え始めたということだからね」というシーンです。普通なら混乱をネガティブなこととして一蹴して「叱ったり」しそうですけど、そうではないまさに「自分で考える」という一生役に立つ道具を手に入れた瞬間としてポジティブに後押しする・・・素晴らしいことですね。

 

ここに、問題を与えられて答えを出すという勉強だけでは絶対に得られない貴重な学びの瞬間があるように思います。つまり何が問題なのかも含め自分で考えるということです。自分も親としてこの貴重な瞬間を子供から奪って先回りして叱責しているのではと思ってしまうこともあれば、審判員としても当たり前のように自分が期待していることやダメ出しを他の審判員の方に一方的に伝えていることが、ままあるなということを再認識しました。

 

さて今日の「奇跡のレッスン」にもいい言葉が沢山ありましたね。

 

「対話できる人がリーダー」

「強制されるのではなく自分がやりたいという気持ちが大切」

 

等々。

 

まずは自分なりに実践したいと思うわけであります。

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

「奇跡のレッスン」 サッカー審判編!(前編)

25% 50% 25%。

 

これってなんの数字かわかりますか?

 

練習において

 

25% 自分の実力より難しい課題を与える。

50% 自分の実力と同程度の課題を与える。

25% 自分の実力より簡単な課題を与える。

 

というデンマークの指導法とのこと。

 

実は今NHKのBSでやっていた「奇跡のレッスン」ハンドボール編でデンマークのコーチ(育成責任者)の方が紹介していました・・・。

 

このコーチの方が仰っていたデンマークの考え方「一方的に与えられた情報は10%しか頭に残らない」というお言葉には・・・思い当たるふしがあるどころか、まさに大きく頷きながら自分のことを指摘されているようで反省しきり・・・です。そう私も一方的なコミュニケーションで相手に考えさせる余裕さえ与えずに(実はこのような場合、自分に余裕がない!のですね)押し切ってしまう悪い癖があります。

 

この番組、子供たちの持っているポテンシャルを外国人の指導者の方が引き出していくというたてつけなんですけど、実は子供たちだけでなく、彼ら(彼女ら)の指導者の方やそれを見守る親、先生、はたまたところ変わって職場の上司などあらゆる「指導する側(とりあえず今はそういう表現にします)」の人にとって多くの示唆に富む内容になっています。

 

実は本日審判事始めとなった試合において体験したことが上記の内容と重なっていることに気付いたのです。

 

今日は番組前編とのこと。後編が楽しみです。で、このトピックの後編も本日の体験を踏まえアップしますね。

 

では、I'll be back.

 

 

 

身を挺して止める - 箱根駅伝に見るサッカー審判員のリスクマネジメント

年明けて2017年の初春。まだ審判事始めとはなっておりません。昨日は筋トレ事始めとし来たるべき実戦に備えております。はい。

 

で、お正月といえば恒例の箱根駅伝。実はニュースで見るまで知らなかったのですけど、復路最終10区において交通規制の連携ミス?が原因で神奈川大学の選手が交差点に入ってそのまま走り抜けようとしたら・・・左側から直進してきた車にあわやはねられそうに(映像を見る限り、「接触」という言葉は不適切と思われるほどの車のスピードとタイミングでした)なりました。

 

さて、一部新聞報道によると「交差点の警察官は、この選手の時も通過の連絡を受けたが『規制するタイミングが遅れ、止め切れなかった』と話している」とのこと。

映像でしか見てなくて断定的なことは言えないにしても連携ミス、で済まされることではなく「起こるべくして起こった」ように見えます。無線で連絡して行動に移るって・・・仮に無線連絡する起点と受けて側の位置(=規制ポイント)がかなり離れている(=連絡から規制の行動に移るまでかなり時間的余裕がある)なら危険性も低いように思いますけど、映像で見ると無線連絡する位置と交差点までの距離はあまりなく時間的余裕もないように感じました。というよりも、そもそも無線連絡だけで交差点に位置している規制担当の警察官の方が行動に移るというのは最善の方法なんでしょうか?

 

こじつけのようですけど、ここに主審と副審が行うような目視できるシグナルと無線連絡の併用など(もしくは交差点側から複数の監視担当の警察官の方が目視で選手が近づいてきてないかダブルチェックするなど)があってしかるべきかなとも感じました。

 

で、なにより選手が安心して安全に通過できるということの証は規制する側が走ってくる車の走路の前に立っていられるか、ということにもなろうかと思います。つまり選手が気づいて車をよける・・・ということではなくまさに車の前に規制する警察官の方がいるので車が走れない状態をつくる、まさに「身を挺して」止める(というかアクセルを踏み込めない、ブレーキを踏んで止まって停止状態になる状況を事前に作り出す)ということですね。

 

サッカーの審判法でいえば、コーナーキックのときインプレーのまえにゴール前で争っている選手に注意するために主審が笛を吹いた場合、キック側にいる副審がボールの前に立ってコーナーキックで再開しようとも出来ないようにしておくとか、カードを提示する場合にブッキングが終わるまでリスタートさせないように主審がボールの前に立つとか・・・事前にやり直しになるような事態を回避するということです。でも仮にこのような状況でボールが蹴られても笛を吹いて止めて、やり直しさせるだけのことで(ゲームマネジメント上は減点です)選手に危険が及ぶわけではないですけど・・・今回の箱根駅伝のように・・・・。

 

とまあ、ことの重要性は全く異なりますけど、上記のようにリスタートのやり直しの危険性がある場合においては主審と副審とのタイムリーな連動や審判員の「身を挺して」の動き(ボールの前に立つ)が求められます(=選手に無駄なエネルギーを使わせない、不要なストレスを生じさせない)。

 

わたしもコーナーキック時に押し合っているゴール前の選手達に注意を促すために笛でプレーを止めたときにボールの方にいる副審の方を見てボールの前になんか立ってくれていると「あ~分かっているな」なんて思ったりします・・・けどこれってもしそのように副審の方に動いて欲しいなら試合前の打ち合わせでお願いしておくべきですよね!まさにこれぞ良き連携ってやつですね。

 

でも、今回の箱根駅伝のヒヤリとした(ほんと紙一重で大惨事になるところでした)一件で思ったことはリスクマネジメントで陥りやすい「落とし穴」をあらためて認識したことです。それは、「今まで大丈夫だったから今までのやり方で大丈夫」って根拠のない判断による想定と準備を行うということです。

 

どんな運転の車でも(仮に故意に侵入してきたとしても)止められるか?1回目の連携ミスがあっても2,3重の連携カバーがあるのか?等々・・・どんな「予期できない」状況でも想定して準備しておくことがリスクマネジメントの基本のキですよね。

 

自身の審判法においてのリスクマネジメントについてあらためて考えてみる機会にもなりましたし、様々なことを大いに考えさせられた今回の出来事でした。

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

試合前に「警告」できるのか?または公式見解にもの申す!(後編)

さて、いよいよ「真田丸」を立ち上げます!

 

前回の記事で私は試合前に警告「出来ない」根拠をJFAのサイトに示されている「競技規則 2016/2017  質問と回答」に求めましたけど、ここに示されているのは「『なぜ』出来ないのか?」に対する回答であり、警告出来ないことは競技規則においてすでに付与されたこととなっております。それは:

 

「主審は、試合前のフィールド点検のためにフィールドに入ったときから試合(ペナルティーマークからのキックを含む)終了後にフィールドを離れるまで、懲戒処置を行使する権限をもつ。試合開始時にフィールドに入る前に競技者が退場となる反則を犯した場合、主審はその競技者を試合に参加させないようにする権限を持つ(第3条6項参照)。主審はその他の不正行為を報告する。

 

という条文で示されています。さてここから整理します。

 

 

①懲戒処置とは退場もしくは警告または不正行為の報告のことである。

 

②新規則(2016/17)から主審は試合前のフィールド点検のためにフィールドに入ったときから懲戒処置を行使する権限をもてる。

 

③一方でレッドカードまたはイエローカードを示す権限が行使できる時間帯は旧規則(2015/16)から変わっていない。

 

さてまずは①です。「懲戒処置」という表現は旧規則(2015/16)では「懲戒の罰則」となっています。この部分の英文は:

 

懲戒処置=Disciplinary action

懲戒の罰則=Disciplinary sanctions

 

となっています。

sanctionsという単語は一般的には「(法令・規則違反に対する)制裁・処罰」という意味になるのでactionという単語になった意味合いは必ずしも処罰することに限定しないということを示していると思います。というわけで素直に競技規則を読めば1)の時間帯においては(つまり試合開始時にフィールドに入る前までは)退場(と同等の懲戒処置)は行使できても警告(と同等の事象)については報告にとどめるということになろうかと思います。

 

次に②。中編であげた四種類の時間軸(時間帯)を再度次に書き出しますね。

 

1)主審がフィールドの点検のためにフィールドに入ったときから試合開始時にフィールドに入る前まで

2)試合開始時にフィールドに入ったときからキックオフの笛が吹かれてボールがインプレーになる前まで

3)試合開始から試合終了まで

4)試合終了後にフィールドを離れるまで

 

新しく追加になったのは「主審がフィールドの点検のためにフィールドに入ったときから試合開始時にフィールドに入る前まで」にまで「遡る」形で懲戒処置が行使できるようになったことですよね。さて実務上問題となるのはこの1)の時間帯の起点ですね。競技規則に添付されている「すべての改正点の詳細」にある日本協会の解説によるとそれは「主審がスタジアムに到着後、フィールドの点検時から」となっています。ただ4種の場合など実際の現場ではすでに複数のチームがフィールドで入り乱れてウォーミングアップしていたり各試合の間にもあまりインターバルの時間が設けられていない等々の状況がありますし、(帯同)審判団が一緒にフィールドチェックなど行っていないのが現実でしょう。このような場合は大会開始前に最初の主審がフィールドチェックに入った時点から(もしくは本部側でフィールドチェックが終了し主審が到着した時点から)懲戒処置が行使できると考えていいのではないかと思います(4種の場合マッチミーティングなどない場合がほとんどなのでチームや登録選手を主審が事前に正確に把握するのが困難であるという問題が依然残りますけど)。

 

このような実際の状況に合わせてどのように対処すべきかということが皆さんの一番知りたいことかと思いますけど、それは次回以降に譲り今回はこの1)の時間帯に懲戒処置の権限が主審に与えられた意味合いについて私なりの解釈を主眼に書かせてください。実はこの部分が「真田丸(=一石を投じることが仮に出来たとしても結果はカワラナイ)」の本丸です。

 

その本丸に行く前に③についてです。これは上記の通りです。ここで触れておきたいのは次の2点です。

 

まず1)の時間帯がなぜカードの提示の対象になっていないのか?それは競技規則の英文にもあるようにカードというのは「communicates」するために使用する用具なので、もっと詳細に言えば1)競技者、交代要員または交代して退いた競技者2)審判団3)ベンチ役員4)運営本部5)観客に対して一目で退場や警告の処置が行われたことを周知するための用具なわけですよね。フィールドに入る前には1)~5)までの周知対象者は一堂に揃っていないので用具が機能しないので使用しないということかと思います。これは逆に言えば用具が本来の機能をなさないことを示していても「イエローカードが提示できない」=「警告という概念が存在しない」ということにはなりません。なぜなら禅問答のようですけど、「レッドカードを提示できない」1)の時間帯でも「退場(試合に参加させない)」という概念は存在するからです。さてここでの重要ポイントは退場に該当する懲戒処置を主審がとると決定した場合その周知方法は?ということです。ここは後で触れます。

 

次にレッドカードやイエローカードを提示できる時間帯の新旧の規則の表記の違いについて。

 

新規則: 「ハーフタイムのインターバル、延長戦、ペナルティーマークからのキックが行われて いる間を含め、試合開始時にフィールドに入ってから試合終了後まで、主審はイエ ローカードやレッドカードを示す職権を持つ。 」

 

旧規則:特に表記なし

 

あれ?と思われた方も中にはいらっしゃったかと思います。実際に旧規則では39Pで

「主審は、フィールドに入ったときから試合終了の笛を吹いたのちフィールドを離れるまで、懲戒の罰則を行使する権限をもつ」とだけ書かれていて「カードを示す権限」を時間軸と共に明記していたわけではありませんでした。それにもかかわらず今までもフィールドを離れるまで退場や警告の反則があればカードを示すという約束事になっていたので、この部分については新規則も同様に解釈すべきですね(なぜ「フィールドを離れるまで」と明記しなかったのかは謎?ですけど・・・)。

 

さてではいよいよ「本丸です」。再度私が違和感をもった文章を次に挙げます。

 

競技規則 2016/2017  質問と回答

第 5 条 主審

Q 3 : キ ックオフ前に主審が競技者に 「プレーをできないこ とを 命じる ( 退 場 )」 ことはでき ることとな ったが 、警告 に相当 する 行為であったこと に対して 「警告」 する ことはできないのはなぜか?
 
レッドカードとなる反則は著しく不正なものであり、そうした反則を犯した競技者は試合でプレーす べきではない。しかし、試合前に警告をすることができるようになると、試合開始時に、競技者が既に 警告を示されていることを周囲の人々はわからず、混乱を招くおそれがあることから、これらの不正行 為については報告にとどめる。

 

(下線筆者)

 

そうです。上記の下線部に対しての違和感なんですね。それは二つに分けられます。

 

違和感その1= 周知の方法が「警告」できないことの理由になっている(ように読める)。

違和感その2=この書き方だとそもそも試合開始前には警告の対象となる事象など発生しないかのような誤解を与える(おそれがある)。

 

さてまずは「違和感その1」からです。これまたまた禅問答のようですけど退場(試合に参加させない)処置としたときレッドカードという便利なcommunication equipmentを主審は使用できないので周知を迅速かつ徹底して行う必要があります。すなわち前掲した5)の観客を除く1)~4)の関係者に退場の処置を誰にどのような理由で何時行ったか報告する義務があります。競技者に対してだけ「試合に参加することを認めませんよ」言って終わりにしたらそれこそ「周囲の人々はわからず、混乱を招くおそれ」がありますよね。なので理論的には「警告」でも周知方法を同様にすれば逆に「混乱を回避」できるはずです。なので当該試合にこの警告を持ち越して累積になることが周囲に分からないので・・・というのも警告できない理由にそもそもすべきでないと筆者は考えます。でも間違えて覚えないで下さいね1)の時間帯では警告できないし、そもそも警告できないんだから累積になることもあり得ません。これが筆者が「周知方法がない=イエローカードが機能しない状況である」、ことを理由(のように)書かれていることへの違和感の中身です。

 

では本丸中の本丸「違和感その2」についてです。

 

そもそも今回の1)の時間帯にまで懲戒処置の対象を拡大したのは全く新しい概念というわけではないと思います。もっとひらたく言えば「試合が(プレーが)始まる前に警告できるのか?」との問いには「今までも出来た」という答えなわけです。すなわち2)の時間帯ですね。整列して挨拶するためにフィールドに入った時点ではまだプレーは開始されていないわけですから。なので筆者は今回の1)の時間帯での懲戒処置というのは2)の時間帯の概念がそのまま引き伸ばされて(遡って)適用されたに過ぎないと考えます(ちなみに筆者は試合終了後整列しての挨拶時に起こった事象に対して警告した経験があります。まだ記事にしていないようなのであらためて)。

 

ではその概念とは何かと言えばプレー開始前から責任を持った態度で行動をしようよ、ってことです(もちろん競技規則にそんなこと書いてないですけど)。

もっと言えば今回初めて明記された「サッカー競技の精神(英文では『the"spirit of the game"』となります)」を持って試合に臨もうよ、それはすでにプレー前の行動から必要なことだよ、ってことかと思います。

 

当たり前ですけど、競技規則は審判だけのために存在するわけではなくサッカー競技者誰であろうと常に守らなければならないことです。だから主審が「試合前のフィールド点検のためにフィールドに入ったときから」競技者(それが交代要員であろうとなかろうと)はサッカー競技者として相応しい行動が求められるわけです。

 

もちろん「サッカー競技者として相応しい行動」は会場入りする前から望まれることですけど、競技規則は道徳律や指導要綱ではないのでこれから始まる試合においての安全や公平性を前提に考えたときに上記の主審の行動が懲戒処置の起点となることが合理的なわけです。

 

今、サッカー競技規則は道徳律や指導要綱ではないと書きましたけど、「反スポーツ的行為」があった場合警告するとしている素晴らしい考え方が明記されています。試合が始まる前の警告となると、この「反スポーツ的行為」しかありません。例えば当該試合の競技者間で「この前の試合のお返したっぷりとしてやるからな。楽しみにしておけよ。」といった挑発ともとれる言動にどのように対処すべきか?はたまた審判を見て「今日の試合はXXチームに有利な判定になりそうだよな。みんな覚悟して臨もうぜ」と言ったたぐいの言動には、どの程度エスカレートしたら主審としてどのように行動すべきか?ある意味試合中より難しいマネジメント、それも「反スポーツ的行為」を念頭においた判断が求められると思います。ので1)の時間帯において警告の概念がないかのような誤解を与えることは避けなければならないと筆者は考えます。

 

さてこのように私が何を書こうがどう解釈しようが1)の時間帯では実際には警告できず反スポーツ的行為があったとしても「報告する」にとどまるわけです。この報告の仕方ですけど審判報告書に記入するのはもちろんですけど、やはり1)~4)に伝える必要があると考えます。なぜならそれがこれから開始される試合のよりよいマネジメントに活かされると考えられるからです。審判報告書に記入されるだけだと試合中の安全についての不安定材料を抱えたまま、もしくは一方のチームに不公平感や不安感を与えたまま試合を開始することになってしまいます。なのでやはり筆者は1)の時間帯においても警告できるようにすべきかと思います(累積にするかどうかは別にして)。

 

とまあ、こんなに駄文を長々と展開してもなにも変わりません。試合開始時にフィールドに入る前には主審は警告できません。でも、それはイコール主審が監視対応すべき警告に該当する事象は発生しないということでは決してない・・・ということだけ覚えておいていただければ幸いです(そんなこと言われなくとも・・・失礼いたしました)。

 

うーん、「真田丸」を立ち上げそこなった感じです。やはり真田丸というからにはレッド(赤)はあってもイエローはないってことでしょうか・・・お後がよろしいようで・・・。

 

では、I'll be back

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合前に「警告」できるのか?または公式見解にもの申す!(中編)

さて、先に表題の問いかけに対する答えを書いておきます。

 

ここから色々な時間軸が(ときに明確さを欠いたまま)出てきます。まずは「試合前」の定義です。競技規則に沿えば「試合前」とは:

 

「主審がフィールドの点検のためにフィールドに入ったときからキックオフの笛が吹かれてボールがインプレーになるまで

 

となります。

 

今、私は競技規則に沿えばと書きましたけど「キックオフの笛が吹かれてボールがインプレーになるまで」などとは規則に書かれてはいません。ここはあえて回りくどく書いてみました。なんのためかというと区切ることの出来る時間軸を再度明確にするためです。

 

それは:

1)主審がフィールドの点検のためにフィールドに入ったときから試合開始時にフィールドに入る前まで

2)試合開始時にフィールドに入ったときからキックオフの笛が吹かれてボールがインプレーになる前まで

3)試合開始から試合終了まで

4)試合終了後にフィールドを離れるまで

の4つの時間軸ですね。

 

今までの競技規則(2015/2016)では主審が「懲戒の罰則を行使する権限をもつ」のは「主審がフィールドに入ったときから試合終了の笛を吹いたのちフィールドを離れるまで」となっていますので、2)~4)まではすでに懲戒処置を主審が行使できる時間帯であったことはご存知の通りです。

 

なので表題でいう「試合前」とは1)の時間帯に限定されます。では主審はこの時間帯に警告という懲戒処置を行使できるのかというと「出来ない」・・・と、いうのが公式見解なんですね。それが次のJFAのサイトにある「2016/2017年競技規則の改正および国際サッカー評議会によるその他の重要な決定について」において示されている回答です。

 

競技規則 2016/2017  質問と回答

第 5 条 主審

Q 3 : キ ックオフ前に主審が競技者に 「プレーをできないこ とを 命じる ( 退 場 )」 ことはでき ることとな ったが 、警告 に相当 する 行為であったこと に対して 「警告」 する ことはできないのはなぜか?
 
レッドカードとなる反則は著しく不正なものであり、そうした反則を犯した競技者は試合でプレーす べきではない。しかし、試合前に警告をすることができるようになると、試合開始時に、競技者が既に 警告を示されていることを周囲の人々はわからず、混乱を招くおそれがあることから、これらの不正行 為については報告にとどめる。

 

ここで示されたように試合開始時にフィールドに入るまで(フィールドの外にいるまでは)は主審は懲戒処置のひとつである「警告」は出来ないんですね。もっと正確に言えば「行使する権限をもつ」状態ではあるけど「行使はできない」ということになります。

 

さて、筆者にとってはこれはとても違和感があることで、なおかつ上記回答もなんか本末転倒のような印象を持ってしまいます。

 

というわけで、これから筆者が何を書こうが上記の「決定」が変わるわけはないのですけど、徳川に立ち向かわざる得ない宿命を背負った真田信繫のように筆者なりの真田丸を後編で立ち上げたいと思います(・・・なんのこっちゃ)。

 

では、I'll be back.