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ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

「コリジョンルール」の適用 - サッカー審判員(部外者)の違和感

本来なら「サッカーと音楽」シリーズ 第二回 ~ 「おせっかい」?それとも「恐れ知らずの愚か者」?の後編となる予定でしたけど、急きょ話題の?「コリジョンルール」で思ったことをあえて「部外者」の立場で書きたいと思います。

 

さて昨日の巨人阪神戦ですね。3回2死、2塁から本塁を狙ってスライディングした巨人の小林選手。そして巨人バッターの脇谷選手のセンター前ヒットの打球を返球した阪神のセンター大和選手(素晴らしい返球です)。そのボールを受けタッチにいった阪神の捕手原口選手。タイミングとしてはアウトなんですけど・・・これが巨人高橋監督の「異議(あえてサッカー用語にしますね)」でビデオ判定となり・・・コリジョンルール適用で判定が覆りセーフとなり巨人の得点が認められました。

 

正直、TVで見たとき「エエッ~?これがセーフになっちゃうの!?」と思ってしまいました。でもこの時点で私はコリジョンルールを理解していなかったので、まずはそのルールを理解すべきかと思い検索してみました。で、以下がルールの文面です。ちょっと長いですけど正確を期すためNPB日本野球機構)が公示している2016年度の野球規則改正のコリジョンルールに該当する箇所をすべてそのまま抜粋します。

 

(9) 6.01(i)(【原注】および【注】含む)を追加する。

  • (i)本塁での衝突プレイ
    • (1)得点しようとしている走者は、最初から捕手または本塁のカバーに来た野手(投手を含む、以下「野手」という)に接触しようとして、または避けられたにもかかわらず最初から接触をもくろんで走路から外れることはできない。もし得点しようとした走者が最初から捕手または野手に接触しようとしたと審判員が判断すれば、捕手または野手がボールを保持していたかどうかに関係なく、審判員はその走者にアウトを宣告する。その場合、ボールデッドとなって、すべての他の走者は接触が起きたときに占有していた塁(最後に触れていた塁)に戻らなければならない。走者が正しく本塁に滑り込んでいた場合には、本項に違反したとはみなされない。
      【原注】走者が触塁の努力を怠って、肩を下げたり、手、肘または腕を使って押したりする行為は、本項に違反して最初から捕手または野手と接触するために、または避けられたにもかかわらず最初から接触をもくろんで走路を外れたとみなされる。走者が塁に滑り込んだ場合、足からのスライディングであれば、走者の尻および脚が捕手または野手に触れる前に先に地面に落ちたとき、またヘッドスライディングであれば、捕手または野手と接触する前に走者の身体が先に地面に落ちたときは、正しいスライディングとみなされる。捕手または野手が走者の走路をブロックした場合は、本項に違反して走者が避けられたにもかかわらず接触をもくろんだということを考える必要はない。
    • (2)捕手がボールを持たずに得点しようとしている走者の走路をブロックすることはできない。もし捕手がボールを持たずに走者の走路をブロックしたと審判員が判断した場合、審判員はその走者にセーフを宣告する。前記にかかわらず、捕手が送球を実際に守備しようとして走者の走路をふさぐ結果になった場合(たとえば、送球の方向、軌道、バウンドに反応して動いたような場合)には、本項に違反したとはみなされない。また、走者がスライディングすることで捕手との接触を避けられたならば、ボールを持たない捕手が本項に違反したとはみなされない。
       本塁でのフォースプレイには、本項を適用しない。
      【原注】 捕手が、ボールを持たずに本塁をブロックするか(または実際に送球を守備しようとしていないとき)、および得点しようとしている走者の走塁を邪魔するか、阻害した場合を除いて、捕手は本項に違反したとはみなされない。審判員が、捕手が本塁をブロックしたかどうかに関係なく、走者はアウトを宣告されていたであろうと判断すれば、捕手が走者の走塁を邪魔または阻害したとはみなされない。また、捕手は、滑り込んでくる走者に触球するときには不必要かつ激しい接触を避けるために最大限の努力をしなければならない。滑り込んでくる走者と日常的に不必要なかつ激しい接触(たとえば膝、レガース、肘または前腕を使って接触をもくろむ)をする捕手はリーグ会長の制裁の対象となる。
      【注】 我が国では、本項の(1)(2)ともに、所属する団体の規定に従う。

 (下線部筆者)

 

 

 さてこのルールを読み、再びリプレイの映像を見て、さらに審判団の方々の行動を見てサッカー審判員としての私(つまり部外者)は大きな違和感を感じました。

 

それは阪神の捕手、原口選手の捕球してからタッチに行くまでの動作が上記の下線部の規則にある「前記にかかわらず、捕手が送球を実際に守備しようとして走者の走路をふさぐ結果になった場合(たとえば、送球の方向、軌道、バウンドに反応して動いたような場合)には、本項に違反したとはみなされない。」に該当するにもかかわらずコリジョンルールが適用されていることへの違和感・・・ではありません(ただし原口選手の捕球からタッチへの一連の動作だけ見ればコリジョンルールに違反しているとは思えません)。

 

それは本来捕手の安全を守るはずのコリジョンルールが守備側に不利に働く規則になっていることへの違和感・・・ということではありません。

 

それは審判団のコリジョンルールの理解と適用が誤っているということへの違和感・・・でもありません。なぜなら今回の判定についての審判団の明確な説明はありませんでしたけど(これはサッカーの審判員としては理解できることではあります。つまりそのような義務はないという意味で。ただし責任審判員がマイクを握り観衆に対して説明をするプロ野球において何が起こりどのように判断したのかを観衆に全く説明しなくて良かったのか悪かったのかについての審判団の対応の是非は議論の余地があるように思います)どうやら阪神の捕手の原口選手が捕球動作に入る前から「ブロック」していると審判団がみなしているようだからです。もしそうなら審判団は「捕手がボールを持たずに得点しようとしている走者の走路をブロックすることはできない。もし捕手がボールを持たずに走者の走路をブロックしたと審判員が判断した場合、審判員はその走者にセーフを宣告する。」という野球規則を適用しているわけですから(しかしながら「ブロック」とはどのような状態を公に指すのかはこの規則からだけではわからないのではありますけど・・・)問題ないことになります。

 

では、私が抱いた大きな違和感とはなんでしょう?・・・ってもったいぶって御免なさい。そう、私の違和感は何かといえば、今回の事象でアウトだった判定がリプレイ検証(ビデオ判定)で覆ってしまったということです。

 

へぇ?そんなの野球じゃ当たり前だよ、何言ってんの?仰る通りです。私が言いたいのはリプレイ検証で判定しなおしていい事象と判定しなおしてはダメな事象があるのでは?・・・ということです。

 

例えばサッカーにおいて以下のルールをビデオ判定することはあり得ません。

 

 競技規則の解釈と 審判員のためのガイドライン

相手競技者の進行を妨げる
相手競技者の進行を妨げるとは、ボールが両競技者のプレーできる範囲内にもないとき、 相手競技者の進路に入り込み、その進行を妨げる、ブロックする、スピードを落とさせ る、進行方向の変更を余儀なくさせることである。
すべての競技者は、フィールド上においてそれぞれ自分のポジションをとることができ る。相手競技者の進路上にいることは、相手競技者の進路に入り込むこととは同じでな い。

 

サッカー審判員(主審)は競技者が進路上にもともといたのか、相手競技者に干渉するために入りこんだのか瞬時に判断しなければなりません。競技者がたとえ進路上にもともといても(その場で動かなくても)手や足などが悪意をもって進路を塞ぐような動きになってないかも見極める必要があります。この判定についてビデオ検証などしませんし異議も一切受け付けません。

 

それはなぜかといえば選手の動きの意図(=悪意の有無)はビデオで検証すべき(できる)ようなことではないからです。これこそは機械ではなく審判員が「感じる」べきものだからです。

 

サッカー審判員はビデオなど頼らない、エヘン!偉いでしょう!・・・ってことではもちろんありません。誤解ないように申し上げると私はゴール判定においてはビデオ判定が導入されることに反対ではありません。人間の肉眼では見極められない微妙な時間差、微妙な距離についてはビデオという機械を使用する利点はよく理解できます。

 

実際、メジャーリーグの野球でも打者がベースを踏んだのが先かベースにいる野手がボールを捕球したのが先かという時間差についての判定などではビデオを参照することでより正確な判定になっている思います。また先日の巨人中日戦であった本塁上で捕手がタッチしているのか、それとも走者がタッチを免れたのかという距離(=どの程度離れているのか、いないのか)についての判定でもビデオ判定は有効なように思います。

 

今回のビデオ判定が違和感を生み、何が問題かといえば、もし原口選手がもともと走路にいてブロックしていたことで(そしてそのようにしか判定が覆ってセーフになった理由が見いだせないんですけど)コリジョンルールの適用対象になっていたとしたら、なぜビデオ判定の前に、高橋監督の異議の前に主審はセーフの判定を下せなかったのでしょうか?あれだけクリアに事象(原口選手の捕球前の立ち位置と走路の位置関係)を見極められる位置にいながら、また肉眼で捉えるのが極めて困難な「時間」や「距離」の判断を求められている状況でもないにもかかわらず・・・なぜ?

 

これは部外者の私から見れば「そもそも審判員さえも確信を持って運用できない競技規則」になっていないかを示唆するように思えます。

 

かつーさんもこちらの記事→「スタジアムにリプレイは必要か」でおっしゃっている通り「何があってもリプレイ見て変えることだけはダメ」というのがサッカー審判員の原理原則です(ただし繰り返しになりますけどゴール判定などには将来的にビデオ判定を導入することを否定するものではありません)。この原理原則は野球の審判員の方々に押し付けるようなものではありません。野球もサッカーと異なりテニスのようにチャレンジ制度が採用されビデオ判定によって判定が見直されることは、観衆やプレーヤーの納得感を高められるように思います。

 

ただし今回の巨人阪神戦で起こったことはビデオ判定の対象になるべきではないという思いが拭えません。

 

というわけで不遜な言い方をすれば今回の巨人阪神戦の事象では原口選手の立ち位置を見極めコリジョンルールを適用して最初からセーフの判定をできなかった審判員の方々には「反省部屋」に入っていただくことが必要かと思います・・・御免なさい偉そうで。

 

あっ、私は虎党でもジャイアンツファンでもないことを申し添えておきますね。

 

では、I'll be back.