ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

「目を切る」のが早すぎる。

さて本日は地区の割当にて主審を担当。

 

 早めに会場入りし自分の担当する前の試合を観戦。主審の方は同じく派遣された3級の方のようではありますけど・・・なんか動きが・・・走ってない・・・ような・・・ベンチからも不満の声が・・・。う~ん他山の石・・・ですな。

 

さて試合前の打ち合わせにて持ち回り担当の副審の方々とゴール時のシグナル、オフサイドの見極めとキャンセルの場合のお願い等々を確認。で試合開始してからオフサイドのフラッグアップを結構キャンセルさせていただきました。やはり「ウエイト&シー」をお願いしてても早いんですね、フラッグアップが。で、1本フラッグアップされたもののボールに触れたのはオンサイドの2列目の選手だったかもで・・・やはり主審として副審の方の技量も素早く見極め臨機応変の対処することも重要かと思いました。

 

そんな中で一番焦ったことが・・・ゴールキーパーが楽々保持できるなと思いパントキックに備えるため移動しながらキーパーの方を見ると・・・エッ!?

 

FWの選手がボールに詰めてキーパーが慌ててボールを保持しようと追いかけて、ボールに飛びつくもシュートされたボールはゴールに入りました。いや~「目を切って」しまったわけです。何より一番気になったのはゴールーキーパーが本当にボールを保持出来てなかったかどうかです。試合後副審の方に確認したら保持されてなかったとのことですけど・・・はたして保持の状態をその方が正確にご理解されていたかどうか ・・・(こちらをご参照下さい → 「 ゴールキーパーがボールを保持している状態を正確に言えますか?-前編 」「 ゴールキーパーがボールを保持している状態を正確に言えますか?-後編 」)。

 

得点差の観点からは試合の多勢に影響なかったですけど、これが試合を決定づけていたら・・・猛省です(で実はこの直後の展開もまたまた「あれ~!」というものでした。それはまたあらためて)。

 

その昔、実技研修の時にも「プレーから『目を切る』のが早すぎる!」(=遅れていったファウルがとれない)とのお叱りをインストラクターの方からうけました。

 

とまあ、試合やるたびに反省のネタが出てきますな・・・。

 

では、I'll be back.

 

 

PK戦における主審によるDIYの勧め。

さて筆者は下手の横好きで、たまにDIY(木工)なんかやります。と言っても大したものは作れずもっぱら板を打ち付けたり、壁にフックをつけたりとまあ単純作業でございます。

 

で、DIYと言えば欠かせないのが電動工具。その中で使用頻度が最も高いのはドリルドライバー。下穴を開けたり木ねじを締めたりと大活躍です。さて、最近になって必要に迫られて購入したのがインパクトドライバー。

 

ドリルドライバーとインパクトドライバーの違いは回転しながら締め付けていくドリルドライバーに対してインパクトドライバーは打撃を加えながら締め付けるのが特徴です。デッキ材に使われるハードウッドと呼ばれる堅い木材やサイディングとかコンクリートのような堅いものにネジを打ち込むためには必須の道具です。これらの場合はドリルドライバーでは歯が立ちません(ちなみに日曜大工で作業環境が許すならバッテリー式ではなくコード式のインパクトドライバーがお勧めです。なぜなら割安、軽い=扱いやすい、バッテリーの劣化を心配する必要なし、だからです)。

 

ではインパクトドライバーが一台あれば事足りるかと言えばやはりドリルドライバーが欠かせません。というのもインパクトドライバーは打撃を加えながら締め付けていくので柔らかい材ですとネジ頭が食い込んで材を痛めてしまいます(慣れれば加減を調整できますけど微妙なところは難しいです)。そもそもインパクトドライバーは音がとても大きいのでちょっとした締め付けには騒音になりますね。というわけで材料や状況に応じて二つの電動工具を使い分けるわけです。・・・ってサッカー審判員と関係ない話・・・ですね。

 

さて閑話休題。先月、今月に入って4種の公式戦で主審を務めた時のこと。まず先月の主審担当時には久しぶりにPK戦となってしまいました。この時ちょっと「やらかして」しまったのです。

 

そう。自分で偉そうにPK戦時の手順を書いておきながら(→ 「その場をどう仕切るか?イタリアンレストランでのオーダーとペナルティーマークからのキック(後編) 」)結構手順を間違えたりして、しかも最悪の出来事が。それは・・・ブッキングの間違いでした。

 

筆者はアディダスのブッキングシートを愛用しているのですけど、この時最初のキッカーを記入すべきチーム名を間違え・・・気を取り直してチーム名をひっくり返して記入したつもりが・・・また記入場所を違え・・・ありやりゃ・・・ワカラナクナッテシマッタ・・・(恥)。

 

結論からいうとこれで勝敗が決するキッカーが蹴る直前にゴールライン上にいる副審の方に平静を装い歩きながら(内心焦りまくり)近づき確認した次第・・・ああ大失態。このような形でキッカーやGKのペースを乱すのは最悪です。まあ、結果オーライで間違えずに試合終了させましたけど失笑を買ってしまいました。

 

さてここから言い訳。実は筆者はすでに老眼になっておりとにかく小さいものが見辛い。しかもちょっとでも明度が落ちると(例えばナイターや曇りの日)これが辛いんですね。で、これは筆者が悪いのですけどアディダスのブッキングシートのPK戦の選手の番号と結果を記入するマス目が・・・「小さすぎる~」ことをPK戦が始まってから気が付いた次第です。トホホ。

 

とにかく重要な記入欄なのに全体に比してとても小さいので(あくまで筆者にとっては)結果を選手番号に重ねて〇✖で記入するともうマルなのかバツなのか、よく見えないのです(あくまで筆者にとっては)。

 

で、今月あらためて主審を務めた時のこと。走力最強の同じ3級のIさんのブッキングシートをのぞき込むと・・・あっ!手作り・・・!!そう。とても見やすいのです。スペースも文字も大きい。そうか!コロンブスの卵のようですけど、無理して既存のブッキングシートを使用しなくても自分に合わせて手作りすればいいのか!と気付いたわけであります。

 

試しにその時、ちょうど決勝戦がPK戦にまでもつれ込んだのでその場で手作りしたPK戦用のブッキングシートを使って記入してみると・・・ナンテ、ツカイヤスインダ。

 

というわけで今後PK戦用のブッキングシートは「DIY」にて用意しようとなった次第です(ドリルドライバーとインパクトドライバーのごとく二本立てでシートを使い分けようかと)。

 

とにかくブッキングはとても大切で、審判報告書の基ともなりますので各自必要に応じて手作りされてみてはいかがでしょう。

 

というわけでシニア審判員の遅まきながらの気づきの巻でした。

 

では、I'll be back.

 

 

カモメにボールが当たったら(後編)

さて、どうも文章読解能力が低いのか未だハッキリしないのですけど、フィールドにカモメが入ってボールに(が)当たったら主審はどうすべきかについて書きますね。
 
実は今までのやり方通り新旧の関連規則を並べて書こうとしたのですけど、ますます混乱しそうなので以下のように一覧にしてみました。

 

旧競技規則

●フィールドに「存在してはならないもの」は二つ

1)部外者

2)試合球以外のボール、その他の物、動物

●部外者 = 外的要因、チーム役員、フィールド外の競技者、交代要員、交代して退いた競技者

●外的要因=チームリストに記載されていない者(「退場を命じられた競技者」も同様の扱い)

●主審が試合を停止した場合の処置と再開方法:

 外的要因 : フィールドやその周辺から離れさせる。

        試合が停止されたときにボールがあった位置からドロップボール。

 チーム役員: フィールドから離れさせる。行動が無責任ならフィールドやその周辺

        から離れさせる。

        試合が停止されたときにボールがあった位置からドロップボール。

 フィールド外の競技者 :警告する。必要があればフィールドから離れさせる。

        その他の違反がなければ、プレーが停止したときにボールがあった

        位置から相手チームの間接フリーキック。第12条違反なら12条に

        従って再開。

 交代要員、交代して退いた競技者:

        反スポーツ的行為で警告。フィールドから離れさせる。プレーが停止

        したときにボールがあった位置から相手チームの間接フリーキック

 試合球以外のボール、その他の物、動物:(できるだけ早い機会に)排除する。

        試合が停止されたときにボールがあった位置からドロップボール。

●得点があったときにフィールド上に部外者がいた場合

 認めない: 部外者=外的要因=プレーに干渉。部外者=得点したチームの競技者、

       交代要員、交代して退いた競技者、チーム役員

 認める : 部外者=外的要因=プレーに干渉していなかった。部外者=得点された

       チームの競技者、交代要員、交代して退いた競技者、チーム役員

 

新競技規則

●フィールドに「存在してはならないもの」は二つ

1)部外者

2)試合球以外のボール、その他の物、動物

●部外者 = 外的要因、チーム役員、フィールド外の競技者、交代要員、交代して退いた競技者、退場を命じられた競技者

●外的要因=チームリストに記載されていない者

●主審が試合を停止した場合の処置と再開方法:

 外的要因 : フィールドから退出させる。

        試合が停止されたときにボールがあった位置からドロップボール。

 チーム役員、交代要員、交代して退いた競技者、退場を命じられた競技者: 

        フィールドから退出させる。適切な懲戒処置をとる。

        直接フリーキックまたはペナルティキック

 フィールド外の競技者 :警告する。フィールドから離れさせる。

        プレーが停止したときにボールがあった位置から相手チームの

        間接フリーキック。第12条違反なら12条に従って再開。

 

 試合球以外のボール、その他の物、動物:(できるだけ早い機会に)排除する。

        試合が停止されたときにボールがあった位置からドロップボール。

●得点があったときにフィールド上に部外者がいた場合

 認めない: 部外者=得点したチームの競技者、交代要員、交代して退いた競技者、

       退場を命じられた競技者、チーム役員。部外者=外的要因=

       プレーを妨害「フィールド上の部外者」で示すような得点の結果に

       ならなかった。

 認める : 部外者=得点されたチームの競技者、交代要員、交代して退いた

       競技者、退場を命じられた競技者、チーム役員。部外者=外的要因=

       プレーを妨害していなかった。

ボールがゴールに入りそうでボールがゴールに入った場合

 認める : 妨害=守備側競技者がプレーするのを妨げていない(ボールとの

       接触があっても)。入ったゴール=相手競技者のゴールでない。

 

 どうでしょうか?新旧の異なる点がお分かりいただけと思います・・・なんて偉そうに書いてますけど私もこうやって今回該当規則を一覧にしてみるまでカモメを「外的要因」と理解していましたけど間違ってますね。新規則の記述に従うならカモメは「外部からの妨害」となります。確かにこちらの言葉の方がしっくりきます。

 

で、ポイントとなる言葉は「干渉VS妨害」です。上記一覧に目を通していただくとなぜ干渉ではなく妨害という言葉でなければならないのかお分かりいただけるかと思います。

 

いきなり話がオフサイドに飛ぶと、ここでも大きなポイントは干渉という言葉がなくなり「妨害」という言葉が使用されていることです。干渉というスポーツにおいて具体的状況がイメージしにくい言葉でなく妨害という表現になっていることはまさに改正だと思います(ただしinterferingという元々の英語の言葉は変わっていない。つまりより良い訳になったということかと)。

 

で、今回の新競技規則で付加されたのが「ボールがゴールに入りそうでボールがゴールに入った場合」についての条文です。つまり「外部の要因によるボールへの接触があってもボールはもともとゴールに入りそうでそのまま入ったなら、アドバンテージが適用できる状況であれば得点を認めよう」ということです。

 

というわけでカモメにシュートしたボールが当たった場合でも(それがフィールの中であるなら)もともとボールはゴールの枠の中へ向かって進んでいて、そのままボールが入れば得点です。ただしカモメによってボールの軌道が変わって(つまりカモメに接触する前の軌道のままだとゴールには入らなかったと判断できるなら)ゴールに入っても得点は認められません。再開方法はこの場合ドロップボールですね。つまりプレーはカモメに「妨害」されたわけです。

 

で、このとき分かりずらいのは「相手競技者のゴールでなければ」という条件文です。この文章が直観的に違和感がある理由は普通得点すべきゴールとは相手競技者のゴールを指すからです。

 

この場合の「相手競技者」って誰から見た「相手」なんでしょうか?「チーム役員、交代要員、交代して退いた競技者、退場を命じられた競技者」の場合なら明確です。承認なしにもしくは禁止されているのに侵入した側が得になる結果(=相手ゴールへの得点)を認めてはフェアじゃないからです。つまり「相手」とは部外者から見た「相手」となります。

 

では外的要因から見た「相手」って?例えば4種の試合でどちらのチームの関係者でもなくまた子供を応援している保護者でもない観客が侵入した場合は、どうするのか?カモメから見た「相手」って?う~ん、日本語って難しい・・・いやいや英文も同じなんですね。そもそも外部者(物)から見た相手じゃなくて当該規則にある守備側競技者からみた相手なら辻褄はあいます。あいますけどまだ違和感は残る・・・。

 

というわけで前回書いたように「あまり深読みしないのが身のため」か・・・。う~ん皆さまのご意見アドバイスお待ちしてます(ズルイ)!

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カモメにボールが当たったら(中編)

本日は久しぶりに4種の主審を担当。

 

またまた反省てんこ盛りです。リストアップすると:

 

●ポジション(≒プレーの予測)

●ファウル基準(≒どこまで「許して」どこから「許さない」か)

●シグナル(≒判定結果を明確にしめす)

●PK戦(≒セレモニーの手順のおさらいとスマートな進行)

 

等々です。

 

特にポジションは散々で、カモメではなく私に(私が)ボールが(に)当たってしまいました(猛省)。つまり次のプレーを全く予測できてなくてボールの軌道に入ってしまっている情けない状況ですね。これから行くと上記タイトルも「ボールにカモメが当たったら」とも言い換えできます。つまり外的要因側からボールに干渉してしまうという状況です(もちろん審判員は外的要因ではありませんけど)。

 

さて気を取り直して前編の続きです。

 

でここで新旧の関連規則を並べてわかりやすく整理しようとしましたけど・・・やはり分かりづらい・・・。

 

そう例えば上記で私はさらっと「外的要因」って書いてますけど、外的要因の定義は新旧で異なっていないのかどうか・・・そもそもどんな場合では得点を認めて認めるべきではないのか・・・の表記されている文章が分かり辛い・・・って感じるのは私だけでしょうか?英文を読んでも感じる分かり辛さ・・・文章自体もそうですけど競技規則の各条文の関連性も俯瞰的に(全体と部分の結びつきや位置づけ、整合性などを)把握し辛いような・・・。

 

ただ結論を先に行っておくと新旧で条文の精神が大きく変化しているわけではなく、さらっと書けば「外的要因の影響あってもアドバンテージを適用して不公平な結果にならないように判定しましょうね~」ってことです。

 

ですので、あまり深読みしないのが身のため・・・とも言えなくもないですけど、あやふやな理解のままで放置させるわけにもいかず何とか頑張って書きます・・・書きますけど…暫しお待ちを(同時に色々と皆さまのアドバイスもお待ちしております)。

 

では、I'll be back. 

 

カモメにボールが当たったら(前編)

あれれと言ってる間に?前回の記事から一か月が過ぎようとしております。

 

その間1種の試合をいくつか担当させていただき、またまたインストラクターの方や上級の方から厳しいご指摘を頂いてしまいました。具体的な内容はあらためて書くとして、ひとことで言えば前回も書いた「走る」ということに尽きます。

 

いくら色々な言葉を並べてみてもやはりサッカー審判員は「走る」ことができなければ失格。試合の始まりから終わりまでどのように走るかは、その審判員の志の高低を表している・・・ということを諸先輩方から身をもって教えていただきました。そして我が志の低さに恥じ入るばかりのここ一か月の私であります。

 

そんな私でありながらエキサイティングな試合を担当させていただき感謝感謝でございます。

 

さて1種の試合を担当させていただく場合、試合前に必ず確認するのが「新ルール」でやるのか「旧ルール」なのかということ。というのも本当は通知によって一斉適用開始日が設定されるべきなんでしょうけど、リーグや試合によって運営本部の任意判断になっているのも現場の実情なのです。

 

なので審判団だけで勝手に判断しないで新ルールなのか旧ルールなのか(ヘンな言い方ですけど)試合毎の確認がマストとなります。

 

というわけでいよいよ改正競技規則についてです。順番に書く根気はないので、徒然なるままに・・・。で、先日の日本代表VSオーストラリア代表の試合で飛び交っていたカモメを見て考えたこと、「外的要因」についてです。

 

まあ、カモメが飛び交うローケーションでの審判担当の機会もそうそうないとは思いますけど、仮にボールがカモメに当たっても皆さんなら適切に対応できますよねぇ・・・。

 

というわけで次回、私も読んで困ったこの改正ポイントについて一緒に見ていきましょう。

 

では、I'll be back.

 

 

「経験と訓練」 君はハドソン川を目指せるか? 

先週末は試合が続き、今週は出張(しかも筆者が苦手の飛行機を使っての)の疲れもあり週末はお休みモード。

 

久しぶりに副審、副審、主審の3試合連続担当となり、いくらシニアの試合と言えど3試合目の直前には久しぶりに左の膝の外側に違和感(古傷の痛み)があり、脹脛(ふくらはぎ)が攣りそうになりました。それが証拠にこれまた久しぶりにインストラクターの方にご指導頂き、頂戴したコメントが「もうちょっと走りましょう」・・・。

 

恥ずかしながら仰せの通りです。「動き出しが遅い」とのお言葉には、自分も同感なのでなんの異論もございません。試合中に考えていたこと(=言い訳)は脹脛が気になってセーブモードになっていたことと、ボールが蹴られても意図通り前線の選手に繋がらず、またすぐに逆の方向に走る羽目になるだろう・・・との予想でこれまたセンターサークル付近で細かく動くセーブモードになっていたわけです。はい、これすべて言い訳でございます。主審としての基本が出来ていない。トホホな状態でした。

 

で、翌日はこれまた1種のリーグ戦での副審を担当。両チームグッとお若い方が揃っていたので、ちょっとスピード感が前日よりアップ。これまた色々反省点ありな試合でしたけど、オフサイドラインを形作っていた守備側選手と裏に抜けだす動きのFWの選手が競争となり横並びでトップスピードになったシーン、フラッグアップしませんでしたけどオフサイド(の反則)だったかも・・・です。というのもこの時サイドステップにこだわり過ぎてトップスピードの選手たちの並走に遅れてしまいラインから遅れた動きになったからです。・・・セーブモードアゲイン・・・反省。

 

「なかなか筋肉疲労が回復しなくて・・・」の言い訳には「年齢とは残酷なもので・・・」とのインストラクターの方のお言葉に慰められながらも落ち込み・・・。

 

でもこんな、「歳のせいで・・・」というのは結局出来ないこと(やりたくないこと)の言い訳に過ぎないことをあらためて思い知らされたのが昨日観た映画「SULLY」。そう、またまた素晴らしい作品を届けてくれた御大クリント・イーストウッド監督、86歳でございます。いやー無粋な邦題のようにこの御大の近年の多作ぶりとそのクオリティーの高さには思わず「奇跡!」と言いたくなるも、これはこの人にしてみれば必然であり、やりたいことやり続けている結果なんでしょうね。

 

思えば蓮實重彦センセイのお言葉を待つまでもなく、マグナムでバンバン人を撃っていた前からこの人は「凡庸な」映画作家ではなかった。いや「凡庸でない」映画作家にスポットライトが当たるなかこの御仁は世間からは「凡庸な」映画人として、いやそれどころかマグナムをバンバン撃つ脳みそ筋肉オジサン、もしくはわざわざ刑事(自分)と売春婦(本当の恋人)が乗ったバスが仲間の警察官からの一斉射撃でハチの巣になるシーンを撮りたいがために映画を作った俺マニアオジサンとしてしか世間は見てなかったような・・・。

 

そんな自分も世間がようやく映画作家としてこの人を認知した「ブロンコ・ビリー」を今から30年以上前に劇場で観た時、冒頭シーンの直後から2本立てだったせいかそのまま睡魔に襲われ鑑賞できず・・・の過去を持ちますです(さてさてもう一本の映画はなんだったのか…思い出せず)。御大、この「ブロンコ・ビリー」を監督、主演した時すでに50歳!。もう言い訳なんて・・・出来ません。

 

さてさて映画「SULLY」ですけど、御大得意の実話の再構築。でもこれだけ有名な事件(USエアウェイズ1549便のハドソン川への不時着)を映画にするのは本当に大変なこと。誤魔化せない、結末は皆知っているし・・・とこれ相当ハードル高しです。でもそこは巨匠、素晴らしいの一言です。いや~純粋に楽しめました。

 

さて、いつもの悪い?クセで審判目線でこの映画を解釈してしまうと、まずは印象に残ったのはトム・ハンクス演じる機長の「自分が感じたことと決断したこと」への揺るぎない自信でした。曰くもう一度同じ状況に遭遇しても同じ行動を採るとの揺るぎなさはプロ中のプロですな。「あの判定やっぱり・・・」「ああ、もうちょっと・・・」なんてやっている審判員の私とは比較するのもハズカシイ・・・。

 

「感じたこと」もすごく印象深く、ネタバレになるので詳細は省くとしてバードストライク(鳥の機体への衝突)によってエンジンが受けたダメージについてコンピュターによる解析とは異なる自分の感じ方を呟くシーン・・・分かります。「ファウルも感じるもの」って・・・レベルが違い過ぎるか・・・。

 

この映画は「コンピューターVS人間」とか「論理VS勘」のように捉えがちになるかもしれませんけど、実際に素晴らしいのはトム・ハンクス演じるサレンバーガー機長が危機的状況に置かれたコクピット内での冷静さそのままに、事故後の調査において論理性を失わずにコンピュターと異なる人間の行動特性をそして航空機の特性や客観的状況を説得力を持って周囲に伝えていく過程にあります。

 

この説得力はもちろん実話なのでサレンバーガー機長ご自身の卓越したプロフェッショナルリズムから来るのですけど、映画においてはトム・ハンクスの演技が可能にしたことでもあるでしょう。思えばこれまた30年以上前に見た「スプラッシュ」での演技で素晴らしい俳優になっていくんだろうな~と思った当時の若手コメディアンも今やアメリカを代表する名優です。巨匠(=イーストウッド翁)の映画に出なければ絶対に自分から進んでこの人の主演作など見ない自分にとっても、この人でしか持ちえなかった説得力だと断言できます(というふうに監督に導かれたのか)。共和党支持者の翁が民主党支持者のハンクスを最初からこの役に見据えていたことも・・・なんか納得。

 

さてさて、映画の素晴らしさは御覧いただくとして事故が起こったときに「前代未聞のトラブルながらなぜ冷静沈着に対応できたのか?」の問いかけにサレンバーガー機長は以下のように答えています。

 

「あのときの私たちが、不自然なほど落ち着いていたというのは誤解なんだ。たしかに無線の会話は冷静に聞こえるし、その内容も理路整然としている。しかし、そういう対応ができたのは、数十年もの経験と訓練があったからだ。」

 

「経験と訓練」・・・すべてに通じることですね。

 

蛇足ながらオートパイロット(自動操縦)では到底安全に空港に引き返すことはできませんですね。論理的に考えれば自明。あと邦題が・・・これでかなりの観客を失ってます・・・ような。

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えなかった事象にフラッグアップしない」の例外。

さて・・・改正競技規則のリサーチ&フィールドワークを行っておりますので暫しお待ちを(誰も待っていないか・・・)。

 

さてさて、ここのところ4種の試合より1種の試合の担当の方が多くなってきております。当然ながらスピード感も異なるわけですけど、何より審判に対する選手の「アピール力」が段違いに違います(苦笑)。

 

「ファウル!ファウル!」「オフサイドオフサイド!」「おぇええ!?」と枚挙に暇がないほど多種多様な「シグナル」が遅られてきます。ここは審判員としてもいつも以上に確信をもって判断(判定)しないとその「シグナル」に引きずられて判定基準の一貫性を欠いてしまう、なんてことに成りかねません。

 

と思いつつ副審として「やらかした」ケースを挙げると:

 

① 自分のサイド(A1)からは見えなかったゴール向こう側(ファーサイド)のゴールライン際のイン・アウトの判定で複数の選手が「出た!」と手を挙げたのでフラッグアップしてしまった。

 

② 自分の目の前(A2側)で守備側競技者が激しく相手競技者にチャージしてボールを奪った。攻撃側競技者がファウルアピールを熱烈に行った。私自身も直観的に「不用意な」コンタクトプレーと判断し主審の位置や視界を確認せずにフラッグアップしてしまった。主審はフラッグアップをキャンセル。

 

というような反省すべき点がありました。

 

①は絶対にやってはいけないこと。現在のボールの位置とラインの関係が見えてもないのに「ボールが出た」というシグナルを送ってはなりません。しかもアウトオブプレーになったというシグナルを一旦出したのにキャンセルするという二重失態なわけです。この時は主審が採用しなかったので(しかも選手からの異議もなかったので)事なきを得ました。「多分・・・だろう」でフラッグアップしてはならないという典型です。

 

②は主審を無視したファウルサポート。余計なお世話になわけです。正直、選手のアピール力に引きずられたことは否定できません。これまた絶対やってはいけない・・・。

 

この後、主審の位置と視界を確認してのファウルサポートがひとつ。この時は主審とアイコンタクトと確認シグナルを交換しながらファウル認定とあいなりました。

 

さて今回のテーマである「見えなかった」には二つの視座があることがお分かりいただけたと思います。つまり:

 

1)副審から見えなかった

2)主審から見えなかった。

 

というふたつです。

 

1)はとにかく「見えなかった」ら憶測(山勘)でフラッグアップしないということです。

 

2)は自分が副審なら主審が見えているのか見えてないのか判断です。で、自分が主審なら見えなかった・・・といって判断を見送るわけにはいきません。判定はマスト。ただし審判団が見たことから判定すべしということが大原則です

 

そう言えばその昔、ガンバ大阪の試合でのこと。ペナルティエリアの近くで主審の方がガンバのファウルをとったら遠藤選手が何回も何回も主審の人に抗議しているかのような姿が映し出されました。音声は聞こえないのですけど遠藤選手の口の動きを見ていると、このように言っているとしか思えませんでした。『見てないでしょ。見てないでしょ。』。フィールドを俯瞰的に把握できる遠藤選手からすればそのファウルが起こった時の主審の位置からでは事象が見えたはずがないと直感的に思ったのかもしれません。

 

閑話休題。さて1)の場合の例外がありますよね。一番よくあるケースはどちらの競技者が最後に触れたかわからない場合です。この場合はボールがタッチ(ゴール)ラインを割ったことは見えているので真っすぐフラッグアップして主審の判定を待ちます(もしくは「多分こちら」のシークレットサインの交換を試合前の打ち合わせに基づいて主審と行います)。

 

あっ~でもこれも例外ではないですね。つまり見えなった「どちらの競技者が最後に触れたのか」についてはフラッグアップ(=どちらのボールかのシグナル)しないわけですから。

 

でもやはり例外があります。そしてその例外こそ私が「やらかした」もうひとつのケースです。そう。このケースこそは「見えなかった」としてもフラッグアップしなければいけないのにフラッグアップしなっかた失敗なんですね。

 

それはオフサイドの反則のフラッグアップなんです。

 

その「やらかした」事象を再現してみると・・・

 

1)副審である自分の近くで攻撃守備が目まぐるしく入れ替わりながら最終ラインの上げ下げが行われていた。

2)守備側の最終ラインにいた選手がボールをキープし前方に蹴り出すも直後にボールは大きく跳ね返り最終ラインである守備側競技者の頭上をループ状に越えてその背後にいた攻撃側競技者(つまりはオフサイドポジションにいた選手)の足元へ。

3)守備側選手が「オフサイド!」とアピールするも私はフラッグアップせず最終ラインの真横に位置すべく移動。もちろん主審の笛も鳴らず。守備側ゴールキーパーの「笛がなるまで勝手に止まるな!」の声のもとプレーは続行。

 

という具合です。

 

で私がなぜこの事象においてフラッグアップしなかったというと、オフサイドポジションにいた攻撃側選手へ渡ったボールに最後に触れたのは攻撃側の味方選手ではなく守備側選手だったと判断したからです。つまり最終ラインを作っていた守備側選手の一人が前方に蹴ったボールは同じく前に走り始めた守備側選手に当たり跳ね返ったと判断したわけです・・・けどこれは私の憶測で実際には私は最後に誰がボールに触れたのかは見てなかったわけです。

 

つまり:

 

見えなかった事象=ボールの出どころ

 

だったわけです。

 

そう、この場合はたとえ「見えなかった」としてもフラッグアップして主審の判定を待つべきなんです。

 

逆を言えば主審は「出どころ」が見えてなければなりません。もちろん理想はボールの出どころもオフサイドラインと競技者の位置関係の両方とも副審が見ることです。でも目まぐるしくラインが動き、ボールの動きも早い場合、両方を視認することは難しい場合もあります。なのでボールの出どころ(=誰が最後に触れたか)が見えなくてもフラッグアップするのが基本です。

 

あと見えないケースとして出どころだけでなく、ボールが前方に出たタイミングも見えないことがままあります。この場合はご存知のように視認できなくとも聴覚(競技者がボールに触れた音)をフル活用してフラッグアップするかどうかを副審が判断しましょう。主審はボールの出どころを視認してフラッグアップを採用するのかキャンセルするのかの判断はできますけど、ボールが出たタイミングは常にオフサイドラインと競技者の位置関係とのセットで判断をしなければならないわけですから、これを見極めるのは(決定は主審でも)やはり副審の任務なわけです。

 

とういうわけで、オフサイドの反則を見極める時にはボールの出どころを勝手に判断してしまう(『見てない』のにフラッグアップをしない)ことのないように副審を担当する場合には注意が必要です。でも大事なことはできるだけフィールドに正対する、つまりサイドステップを駆使して監視するという繰り返し記事にしていることに尽きます。これだけでもずいぶん誤審(=間違ったシグナルを出す)になることは少なくなると思います。

 

では、I'll be back.