試合中に熱中症になりかけたら。
先々週末の筋肉疲労も抜けないまま、週末もすべて審判業務とあいなりました。
で、特に厳しい気象条件だったのが日曜日でした。この日は勝手に曇りになるかなと思いながらも日焼け止めも塗り、塩飴、メープルシロップ入りミネラルウォーター、塩味のカシューナッツも持参し試合前から準備万全だったのですけど・・・それは突然やってきました。
午前中だというのにすでに気温は30℃越え。日差しは紫外線が針のように注いでいるかのような状態。WBGTは・・・。実は筆者WBGTの基準値とか意味をよく理解していなかったのです。もうこの時点で準備万全とは言えませんね。ひらたく言うと甘くみていたわけです。
まずは筆者の下手な説明より環境省のこちらのサイトをご覧ください →
まずは:
WBGT=28℃=厳重警戒=熱中症患者が著しく増加する境目
と覚えておいてください。
そして:
28~31℃ | 厳重警戒 (激しい運動は中止) |
WBGT28℃以上では、熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。 運動する場合には、頻繁に休息をとり水分・塩分の補給を行う。 体力の低い人、暑さになれていない人は運動中止。 |
31℃以上 | 運動は原則中止 |
WBGT31℃以上では、特別の場合以外は運動を中止する。
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となります。
そのうえで、こちらの日本サッカー協会の通達をご覧ください → 熱中症対策ガイドライン
ここで特に注目したいのが以下の文章。
「屋根の無い人工芝ピッチで試合を行う場合は、天然芝等に比べて WBGT 値の上昇が見込まれるため、上記の値から-3℃した値を基準とする。 」
つまり仮にWBGTが28℃であってもそれは31℃に匹敵するので「WBGT=31℃以上となる時刻に、試合を始めない。(キックオフ時刻を設定しない。)」ということになることを意味するわけです。
さてWBGT計測器なんて常に用意されているわけでもないですし、そもそもその意味を理解していなかった反省すべき審判員である私としては後で思えばかなり危険な状況で45分ハーフ90分ゲームの副審を務めたわけです。当然走るペース配分は最終ラインおよびボールの動き次第。このような気象条件のときに限って守備側の最終ラインの上げ下げが頻繁に行われたのです。そうやって裏に抜ける攻撃側の動きとも相まってスプリントを繰り返した結果、だいたい前半30分過ぎだったでしょうか・・・以前記事にしたような状況の予兆を自分の体に感じたわけです。つまり体温が異常に上がったように(身体、特に頭部が熱く)感じ始めたかと思うと、「ちょっと寒いかも」というアノ感じです。そうちょうどインフルエンザになって高熱が出始める時の悪寒のようなアノ感じです。
(以前の記事はこちら →「 サッカー審判員の「無知」が選手の生命を危険にさらす(後編)。 」)
やばいな~と感じながらも、あと15分+アディショナルタイムを乗り切れば休める。なんの根拠もないまま頭の中では後半ハーフに向けてハーフタイムのインターバルでリカバリーするためのある「秘策」が思い浮かんでました。
さてその「秘策」とは?ここからはあくまで個人の経験としての対策であって医学的根拠をもとにした推奨されるべき熱中症の対応策でないことを念頭にお読みくださいませ。
さて15分間の休息に入ってすぐに行ったことは2本の冷えた飲料を自販機で購入することでした。一方はミネラルウォーターそしてもう一方は「グリーン ダ・カ・ラ」。
まずは「グリーン ダ・カ・ラ」で水分、塩分、その他ミネラル補給です。市販の飲料の中では一番添加物が少なく、甘すぎず、塩分やカリウムなどのバランスがとれた優れものの飲料だと思います(念のためメーカーの回し者ではございません)。
で、次にミネラルウォーターの出番。これを自販機で買ってすぐに脳内を巡回している血液の温度をさげるべく(もしくは頭部の熱を冷ますために)冷えたボトルを首筋に当てたわけです。特に有効なのが首の横から前方に向かって斜めにペットボトルをあてて(多分)頚静脈付近(と思われる個所)を冷やすことです。このためなら別にミネラルウォーターでなくても冷えたペットボトル飲料ならなんでもいいのですけど(例えば「 グリーン ダ・カ・ラ」で首筋冷やしてから飲むとかなら飲料1本買えば事足りる)水のいいところはそのまま頭にかけることが出来る点です。
これでイメージとしては脳内に行く血液を冷やすことで熱のこもった頭部を冷却しているつもりだったのですけど(実際は頚静脈というのは脳内からの血流が心臓に戻っている血管なのですね)、まさにイメージどおりこもっていた熱が取れたのです。そうやって不思議にも後半ハーフの方がバテないで走れたというわけであります。
あと試合中もタッチライン付近に置いてある両チームの飲料をアウトオブプレーの時に飲むようにしました。このようにすれば試合中も水分補給は出来ます。出来ますけど上記のように熱が体にこもり始め、いわゆる熱中症のステージ2に進み始めると水分補給だけではその勢いを止めることが難しくなる可能性があります。なので試合中に熱中症になりかけたら中断を求める勇気も大事。またよく冷やした水をかけた帽子をかぶる勇気も大事。
とまあ、結果的に今回も何事もなかったのでいい経験になりましたけど、やはり熱中症はナメてはいけません。それは忘れたころに突然やってくるのです。サッカー審判員としては安全な試合運営、選手の健康の確保そして安心していいコンディションで選手に最大限のパフォーマンスを発揮してもらうことが任務となりますけど、その任務を遂行するためにはまず自身の安全を確保しなければならないというわけです。
ということで熱中症の予防対策対応メモ。
<試合前>
体調管理。とくに担当週における十分な睡眠および栄養補給。体調不良なら割当てを受けない。
必要に応じてアップ時からこまめな水分&栄養補給。
アップで熱のこもった身体の冷えたペットボトルを使った冷却。
<試合中>
アウトオブプレー時での水分補給。
時間軸と状況に応じたペース配分。
帽子の使用。
<ハーフタイム>
冷えたペットボトルを使った身体冷却。
水分&ミネラル補給。
帽子の使用。
<試合後>
十分な休息および栄養補給。
では、I'll be back.