読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

サッカー審判員の「無知」が選手の生命を危険にさらす(後編)。

さて前編の続きです。

 

炎天下のフィールドもスポーツする上では過酷な状況ですけど、無風状態で熱気のこもった屋内もそれに匹敵する過酷な環境といえます。

 

その日、2試合目の出場となったバスケットボール部の我が娘の異変は、試合中に自分の傍に来たボールに集中していない瞬間があった(ボールへの集中やしつこいデイフェンスが我が娘の持ち味なんですけど)ことや、ベンチに帰って疲れ切ったように座っている様子からもうかがい知れたのですけど、決定的だったのは娘が寒がっている素振りを見せたことでした。

 

その日は外を歩いているだけで危険を感じるほどの気温と湿度の高さでした。空調の効いていない室内はさらに蒸し暑く感じられました。

 

その寒がっている素振りこそ、以前知り合いのトレイルランナーの方から聞いた熱中症の症状でした。その方が、私の住んでいる近くのハイキングコースをトレーニングで走っていた時、水分をこまめに補給していたのにかかわらず、急に「さぶいぼ」つまり鳥肌が出たというのです。

 

これはまずいということで途中にあった売店で休息を取らしてもらったらしいのですけど、かなり酷い状態になったということです。この状態になるとただ水分をとるだけでは状況は改善されず、ただただ症状が治まるのを待つという状況だったのです。

 

そうです、娘にも同じことが起こっていたのです。

 

私は咄嗟に「首の後ろとか冷やさなきゃ」と心の中で思いつつ応援席からベンチ側に行くわけにもいかず、不安を抱えたまま試合の成り行きを見守っていました。

 

その後、娘は回復したようで、延長となった接戦の状況で再度出場しました。

 

そう、この「寒い」と感じる症状の深刻さを私はちゃんと理解していなかった。つまり無知なサッカー審判員とは私のことなのです。

 

さて熱中症の症状を検索しても、この「寒気」というのは代表的な症例として紹介はされていないようです。なので、これが何を意味するのか多くの人は知らないのではと思いました(そもそもベンチにいた監督や先生達も気付いてないし、知らなかったような)。

 

熱中症は、高温多湿な状況下で起こる身体の不具合で、その名の通り熱がどんどん上がっていくわけです。で、症状は大きく次の三つのステージに分けることができます。

  ステージ           

1.熱けいれん  大量に出る   変化なし

2.熱疲労    大量に出る   上昇

3.熱射病    出なくなる   上昇

 

*各ステージの汗、熱の状況はあくまで目安です。

 

3になったら迷わず救急車を呼びましょう。体温の調整機能はすでに自力で回復できず、意識障害も見られる状況です。

 

1の症状の代表例は筋肉がつってしまうことです。

そして2になると頭痛やめまいという症状が代表的であるわけですけど、子供なんかでは(そして前述したように大人でも)寒気という症状が見られるわけです。で、寒気がするというのはすでに脳の体温調整機能に異常が出ていることを意味しますので、ステージは2でありながら、かなり危険、意識があってもそのまま放置していたら、3になってしまう可能性大ということなのです。

 

ですので、この熱疲労の症状が出たら再出場などは「御法度」なわけで、ここに自分の無知ぶりがあるわけです。

 

この症状の予防には水分補給が一番大事ではありますけど、サッカーやバスケットボールやトレイルランニングに限らず高温多湿下での激しい活動となると失われる水分とミネラル分の方が多くなり補給が追いつかなくなります。そのうえ、熱中症の危険性が高まる湿度の上昇により、汗をかいても体温を下げることができにくくなり熱がどんどん体内に蓄積される、まさに「熱中」状態となるわけです。

 

なので、水分やミネラルの補給とともに身体を効果的に冷やす必要があります。首の後ろ側や脇の下に氷嚢などを当てると効率よく熱を冷ますことができます。

 

このようなわけで、選手の安全を守る必要がある審判員としては生命に危険がおよぶということでは以前触れた落雷(→ 「サッカーと落雷 - 審判員における決断力と「勇気」 」)と並んで熱中症に対して注意を払いたいものです。

 

具体的には選手の様子を見て異変に気づいたら積極的に声がけしたいものです。ただ、娘のケースと違って普段の様子がわからない選手達の場合なかなか熱中症のサインなのか、ただバテてきているだけなのかは咄嗟には分からないでしょう。

 

でしょうけど、「寒気」などふくめて熱中症の各ステージの症状については知識をもっておきたいものです。そのうえでコミュニケーションです。ちょっと変だなと思ったら「大丈夫?」と声がけするのは全然ありです。というかそうしましょう。

 

また飲水タイムの時には、選手をフィールドから出させない、ベンチからの指示は出させない、すみやかに選手をプレーの位置にもどらせるというマネージメントは大切ですけど、4種なんかでは冷たいおしぼりや霧吹きなどで身体を冷やす行為を認めてあげるべきかなと思います。この場合は試合前に両ベンチに円滑な進行に対する協力を求めたうえで、効率よく飲水と同時進行でやってもらうようにしたいものです。

 

そもそも熱中症の危険指数が警報レベルの気象条件下で試合を行うことには多少なりとも疑問が生じます。

 

娘のバスケットボール大会の場合、二日目以降の会場は冷房の効いた体育館となったようで、これにより熱中症のリスクはかなり低減されます。

 

サッカーではこのようなことは不可能なので、真昼の炎天下に試合スケジュールを組む必要のある場合、本部には熱中症対策のための十分な準備(緊急処置の道具などを揃えるなど)をしてもらいたいもです。

 

そして、何よりもまずはサッカー審判員として自分が熱中症にならないよう体調管理や水分や氷嚢など必要な準備をしておくことが求められます(ここは逆に本部まかせにせず、自分でしっかり管理)。

 

しかし、こう猛暑が続くと審判員の帽子着用(これは協会からも認められています)や試合用につばのないサッカー帽子を開発、(4種の場合には)選手に着用を義務づけるとか、4種でもフィールドの周りに飲水用のボトルを置くとかの対策も必要なような。でも、練習試合はともかく公式戦で審判員が帽子を着用するのは勇気がいるよなあ。

 

この、夏場の問題についてはまたあらためて取り上げたいとお思います。皆さまもくれぐれもお気をつけ下さいませ。

 

 

では、I'll be back.