ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

プロフェッショナルレフェリーの年収とサッカー審判員のレベルを上げる効果的な方法

さて、前回「サッカー審判員全体をレベルアップする秘訣」について書きますね、なんて偉そうに予告しました。暴論にちょっとだけお付き合いください。

 

たまに選手やベンチや観客席から「審判資格持ってんのかよ!」とか「あんた何級!」なんてヤジられてしまったという話を聞くことがあります(私自身は言われたこと(聴こえたこと)はありませんけど)。

 

そうなんです。ならば、4級審判員からして少なくとも公式戦を担当できる協会登録の審判員になれる試験(認定)のハードルをいまよりずーっと高くすればいいのです。これが「秘策」です!こうすればモチベーションの低い審判員や「下手な」審判員が公式戦を担当することはなくなります・・・ってそう簡単に事は進まないでしょうね。

 

まず試験(認定)のハードルを上げたとしても判定や審判のマネジメントに対する異議や不満が無くなるわけではありません。第一、そんなことしたら「面倒くさい」こともあるし時には「不快な思い」をしてストレスを感じるサッカー審判員をやろうとする方の数が激減するでしょう。

 

これだけだと、「あんた真面目に考えていないだろうと」言われそうなので、サッカー審判員全体のレベルアップについての戯言をあと三つほど。

 

1番目はやはり若い人たちの間で今以上にサッカー審判員の活動についての魅力や「報酬」についての認知を強化し、優秀な人材(特に中学生、高校生を中心としたサッカー競技者の中から)やモチベーションの高い若手(他の競技での活動者も含め)を数多くリクルーティングできる戦略的なプロセスが必要だと思います。具体的なリクルーティング戦略の一つとして例えば「マーケティング計画」のようなものについて書こうとするとそれこそ10回ぐらいの連載になりそうなのでまたの機会に。

 

2番目は先に書いた「報酬」について。これはお金だけのことではありません。目的は審判員活動に対するモチベーションアップなので「Jリーグの試合を年に何回かはスタジアムで無料で観戦できる」とか「無料アプリから有名選手が中学、高校生時代のプレーや悩みを語る限定動画を独占的に視聴出来る」とか「18歳未満なら審判員ツールの購入がかなり割安になるクーポンが入手できる」とか「年間何試合以上公式戦を務めると、その回数に応じて特典が与えられる」とか・・・キリがないのでやめときます。

 

あれ?でもこれって1番目の内容とかぶってますね。なので、ここは実はもとに戻って「お金」が重要です。「優秀な人材をなるべく費用をかけずにリクルーティング・・・」って無理ですね。企業活動と同じく直接的に支払う報酬も間接費もやはり投資しないことには始まりません。

 

今から数年前にインストラクターの方からJリーグのPR(プロフェッショナルレフェリー)の方の年収が1千万ということを聞きました(実際はもっと高いのではと)。その方は「凄いよな」と仰ってましたけど、私は心の中では「えっ~割に合わないな~」と思いました。同席していた他の審判員の方々も同じ感想だったのではと推測します。あれだけのプレッシャーや「バッシング」を受けつつ、怪我などのリスクも高い不安定な職業だと思います。

 

逆に「あの判定ぶりで、そんなにもらっているのかよ~」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、それはとりあえず関係なしです。なぜなら「あれで、そんなにもらえるなら私も・・・」とはなりませんよね。あのJリーグの舞台に審判員として立つということはある意味、選手としてフィールドに立つ以上に困難なことかもしれません。で、その結果は・・・いいプレーや得点したらサポーターから声援をもらえる選手達と違い、時には正しい判定をしても非難されるサッカー審判員・・・コンナ ワリニアワナイ コト ヤリタクナイノガ フツウ。

 

というわけで、プロフェッショナルレフェリーの報酬ももっともっと高くすべしが私の持論ですけど、1試合あたりの3級審判以下の報酬も破格にすれば優秀な人材が集まってくる・・・というわけでもなさそうです。

 

では3番目に審判がやりやすい試合環境を作り出す・・・というのはどうでしょう?具体的には特に審判員活動のスタート地点になりやすい4種のカテゴリーにおいてチーム関係者や観客の間でリスペクト精神を醸成して審判員に対する不満を感じても一緒に子供たちとサッカーをつくり上げる仲間として暖かく見守る・・・う~ん、無理か。でも少なくともチームによってこのリスペクトの精神が浸透し実践されているチーム(と帯同する観客)とそうでないチーム(と帯同する観客)の極端な差があることは事実です。やればやれないことはない・・・しかし難しい。

 

思うにネットで散見されるJリーグを中心としたサッカー審判員への不満は、時には「ハラスメント」のレベルを超えていると思われるものもあります。何をもって「ハラスメント」というのかはいわゆる「パワハラ」とか「セクハラ」と同じ構図と思っていただければと思います。つまり有利な立場を利用して相手の人格までも攻撃したり尊厳を傷つけたりというような行為が「ハラスメント」です。

 

でも通常は例えば「サポーターハラスメント」なる言葉や概念は存在しません。これは「ハラスメント」は社会的組織的関係性が明らかでかつ、特定される個人間での事象であるからです。つまり社会的組織的関係性とは上司と部下とか、医者とその患者とか、教授と生徒とか、指導者と選手とか・・・という意味です。それにプラスしてその当人の一方に「有利な立場」が存在しないと成立しません。「有利な立場」とはその個人を攻撃しても自分が反撃を受けたり不利益を被ることはない(逆に相手には与えることが出来る)という意味です。

 

この相手から反撃を受けることや不利益を被る可能性がないと人はより不満を外に表し攻撃的になります。サッカー審判員とは「遠くの存在」であります。観客と審判員の間に何か個人的な繋がりがあれば、人格までも攻撃されることはありません(経験者談)。「近く」の上司から理不尽な扱いを受けてもいきなり「あんたサイテー」なんて言う強者はいないかと(心の中で呟いたとしても)。なので「個人的な繋がりのない(場合の)」+「絶対反撃されない」存在であるサッカー審判員や例えば接客業の方々は、ときに観客からときにお客さんから「ハラスメント」を受けます。まあ、多くの観客の方々はマナーや節度ある場合がほとんどですけど、この「ハラスメント」の概念を「リスペクト」の概念と対にしていただきサッカー競技に接していただければ幸いです。

 

なんか、迷走した感がありますけど、結局簡単にサッカー審判員のレベルを上げる効果的な方法(施策)など存在しないという結論に至ったわけであります。

 

なので、やはりまずは隗より始めよ。下手な自分をちょっとでも向上させるべく次回はサッカー審判員としての最重要項目とも言える「見る力」について書きます!

 

では、I'll be back