ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

主審の欲しいシグナル(=情報)を出す

本日は第96回全国高校サッカー選手権大会の決勝戦をTVで観戦。

 

いや~見応えのあるいい試合でした。前橋育英高校、初優勝おめでとうございます。流通経済大柏の堅守もさすがでした。審判団の皆さまもお疲れさまでした。ナイスレフェリングでございます。

 

さて本日の試合を見ていてあらためて思ったことは主審と副審との間のタイムリーかつ的確なシグナル交換の重要性です。この「タイムリーかつ的確なシグナルの交換」とは冗長ながらどのようなことかというと「主審が欲しいタイミングで主審が真っ先に知りたい情報を副審が提供し、それに基づき主審が瞬時に判定を表示する」ということです。

 

例えばボールがタッチラインを越えてアウトオブプレイになった時のフラッグによるシグナルパターンは

基本的に3種類ありますよね。それは:

 

1)副審から見てどちらのチームの選手が最後にボールに触れたか明らかでかつボールの全体も明らかにタッチラインを越えていると誰の目から見ても明らかな場合=すぐにスローインの方向を指し示す。

2)副審から見てどちらのチームの選手が最後にボールを触れたか明らかではない場合=すぐにフラッグアップしてその後主審のシグナルに合わせる(または事前の打ち合わせしたプロセスに沿ってシークレットサインなどの交換を行う)

3)ボールの全体がタッチラインを越えたかどうか微妙でかつ副審がタッチラインを越えたと判断した場合=すぐにフラッグアップしてその後スローインの方向を指し示す

 

という組み合わせのことです。

 

実は4番目のシグナルが本日の選手権決勝戦で見られました。それは「ボールの全体がタッチラインを越えたかどうか微妙でかつ副審がタッチラインを越えていない(=インプレーのまま)と判断した場合」です。それはA1の平間亮さんが行った手を前にさし出しての「ボール出てないですよ」のシグナルです。このシグナルを主審の福島孝一郎さんが欲していたかどうかは私には分からないのと、このシグナルの必要性については今回は「フラッグによるシグナル」に絞っていますので触れません。

 

さてそのA1の平間さんのフラッグシグナルがとても参考になりました。実にタイムリーに情報の優先度に基づいてフラッグシグナルを実行されているのです。

 

例えば確か流通経済大柏の選手だったように記憶しているのですけど、タッチライン際で高く上がったパスボールをトラップしてインプレーにしようとしていたのですけど・・・このプレーと同時に平間さんはまず素早く真上にフラッグアップ!これ当たり前のようなんですけど「常に」このようなタイミングでまずボールが「アウトオブプレー」になったという情報を主審に伝えるということは高い集中力と意識と行動の俊敏な連動の継続を求められます。

 

で、この平間さんのシグナルで思い出したのがタッチラインのインプレー・アウトオブプレーで特有のこと。つまりタッチラインの判定で必要な副審が伝えるべき情報は:

①アウトオブプレーになった

②どちらのスローインなのか

そして

③どこからスローインなのか

 

ということです。

③は普段はあまり意識していない人が多いのではないでしょうか?

 

これはどのようなことかと言えばボールがアウトオブプレーになった瞬間に(例え微妙なケースでなくても)すぐにフラッグアップするクセを付けておくいうことです。これによって「フラッグアップされた瞬間=ボールがアウトオブプレーになった瞬間=その瞬間にボールがあったところからスローインで再開」ということが主審に伝わるわけです。

 

「そんなことしなくてもボールがタッチラインを割った位置なんかわかるでしょう~」と思われるかもしれません。これは例えばタッチラインに限りなく平行にボールが空中を飛んでいった場合主審からはいつボール出たのか(=つまり何処からボールが出たのか)分かり辛い場合があり、このような場合はタッチラインの真横から監視できる副審のシグナル(情報)が主審にとってスローインの位置を指示する大きな助けとなるわけです。

 

このことが認識できていると最初に挙げた1)の場合、つまり「どちらのスローインでボールが出たことも誰の目からも明らかな場合」でも、すぐにスローインの方向を指し示すのではなく真上にフラッグアップして主審に情報を発信する動作が出来ると思います。本日挙げたシグナルの5番目になりますね。

 

というわけで副審のシグナルは「タイムリー」がとても重要で、それは主審が欲している情報を把握できているから意識できることでもあります。

 

重要なことは「常に」ということで試合時間全般を通じて副審は主審が今どのような情報を優先的に欲しているのか判断しシグナルし続ける必要があるわけです。これまた言うは易し行うは難しの典型なわけであります。

 

このようなことは意識していないと見逃してしまうことだと思うのですけど、色々な試合の上級審判員の方々の動作を見ることでまた、もちろん一番大切なことは自分で意識して実践してみることで自然に身についていくことだと思います。精進精進。

 

では、I'll be back.