ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

スローインは足の裏がついていなければならない?

前回の続きで「その④」を書く予定だったのですけど、週末の試合であったことを取り上げます。

 

今年に入って担当している試合のほとんどが1種、2種、3種のローテーション。で、今週末久しぶりに鬼審判部長Kさんの代役で4種の副審を務めました。

 

試合後、一緒に副審を担当したお父さん審判員の方が「このスローインってファウルですよね?」とご質問がありました。試合中私は気が付かなかったのですけど、主審の方と目を合わせながら「これって?」とお互いに思いながらもファウルかどうか確信が持てないのでフラッグアップしなかったとのこと。

 

それはどのような事象かと言えば、スローインの時に「片足がつま先立ちになっている」状態なのです。つまり「足の裏がグラウンドから離れている」状態なのです。面白いですね。これだから4種の審判員ってやめられません。選手も審判員の方も時にこちらの競技規則の理解が「甘い」ところを鋭く突いてくるプレーや質問を投げかけてくれます。今回も「競技規則を確かめてみましょう」とゴマカシながら即答を避けました。もちろん試合中にこの事象を目にしたら絶対反則とはしません。でもその根拠を競技規則の条文に求めるとしたら・・・120%の自信が持てない・・・アマイ!

 

お父さん審判員の方は「足の裏」がグラウンドについていなければならないと理解されていたわけですね。スローインは立って投げなければならない・・・という理解からするとバレリーナーのように爪先立って投げるとは考えられないのも確か。では競技規則です。先々週、届いたばかりの2018/19版から抜粋。

 

スローイン

(中略)

1. 進め方

ボールを入れるとき、スローワーは:

 

●競技のフィールドに面して立って、

●両足ともその一部をタッチライン上またはタッチラインの外のグラウンドにつけ、

● ボールが競技のフィールドを出た地点から、頭の後方から頭上を通して両手を用いて ボールを投げなければならない。

 

ちなみに今回の2018/19版より「立って」という言葉が追記されましたね。座ったり、膝立ちでは反則ということです。でも「膝立ち」だって「立って」んじゃないのという声が出るかも?知れません。なので次に英文の規則を抜粋します。

 

The Throw-in

(中略)

1. Procedure At the moment of delivering the ball, the thrower must

: • stand facing the field of play

•  have part of each foot on the touchline or on the ground outside the touchline

•  throw the ball with both hands from behind and over the head from the point where it left the field of play

 

これで分かるように「足」とは「foot」なんですね。「小学館プログレッシブ英和中辞典第2版」で確認してみるとfootとは「「足(くるぶしから下の部分)」と定義されています。なのでスローインのときに爪先立っていてもOKってことですね。で膝立ちはアウトです。

 

さらについでに書くと:

 

●ボールが味方競技者によって意図的にゴールキーパーにキックされる。

 

といういわゆるバックパスの反則の場合キックとはどのような定義になるか再確認してみましょう。上記の条文の英文は以下の通り。

 

 •it has been deliberately kicked to the goalkeeper by a team-mate

 

でこの場合のキーワードはやはり「kick」です。キックボクシングとかK1とかですと飛び膝蹴りなんて技がありますけどkickの定義を(英英辞典が手元にないので)オンラインのThe Cambridge Dictionaryで確認してみると「to hit someone or something with the foot, or to move the feet and legs suddenly and violently: 」とあります。なのでボールを蹴る場合は「foot」(「leg」ではない)=「足」でということになるので、仮に意図的に脛、膝、太腿で味方競技者がバックパスしてゴールキーパーペナルティエリア内で手を使ってボールを触れても反則にはなりません。脛なんかの場合揉めそうですけど、そもそも「意図的に」脛でボールを蹴ることの難しさを考えるとプレーが意図的なのかどうかの見極めも重要ですね。

 

ということで今週の復習でした。今回の競技規則解釈は広く知られて皆さんすでにご存じだったと思います。でも、今回の重要な学びは「理解しているつもりでも、いざある事象に初めて出会うと戸惑って(時には競技規則の適用を間違って)しまう」ということです。

 

理解➡経験➡再確認のプロセスを繰り返しましょう。

 

では、I'll be back.