ターミネーター3級審判員の反省部屋

パブリックプレッシャーを感じながら今日も走る。サッカー3級審判員の"I'll be back!"な毎日

ゴールになってもキッカーにキックのやり直しの機会を与えてはならないケース(ただし「例外」あり)。

 久しく記事更新から遠ざかっておりましたけど、その間実践に励んでおりました。やはり夏場とくに今年のようにさらに過酷になったと思える湿度と気温の中での審判業務だと疲労が中々抜けきりません(単に歳ということか)。

 

さてそうこうしているうちに2016/17の競技規則改正を全てカバーする間もなく2017/18の競技規則改正がやってまいりました。改正点を全て記事化していたら、またまたあっという間に1年が過ぎてしまいそうです。

 

なので自分が気になった点というか直接得点結果に影響がある項目をまずは取り上げます。改正点を明確にするために3年分の競技規則の同項目を併記しようと思いましたけど・・・長ったらしい&余計に分かり辛くなりそうなのでやめ。実は改正点と言えど規則そのものは何も変わっていないので要約すると:

 

「ペナルティー(マークからの)キック時に警告に値する(=不正な)フェイントを行ったキッカーには、ゴールもしくはノーゴールの結果にかかわらずキックをやり直しさせる機会を与えない」

 

というものです。

 

これは2015/16版でも2016/17版でも2017/18版でも変わっていない規則なのです。ただ表記のされ方が大幅に変わり以上の規則がより明確にされた点に大きな意義があると思います。

 

つまり、2015/16版でも「競技規則の解釈と審判員のためのガイドライン」においてキッカーが不正なフェイントを行った場合には反スポーツ的行為で警告されなければならないことは明確でした。一方でゴール結果との関係が明記されていなかったため(逆に言えば大半の再開方法はゴール結果とどちらの競技者の違反なのかの関係で説明されていたため)本当はいかなるキック結果の場合でも、即間接フリーキックでの再開となるべきなのにキッカーに再びキックの機会を与えるという間違った規則適用が起こる恐れがありました。

 

2016/17版では「ボールがゴールに入ったがどうかにかかわらず」という文言と共に:

●後方にけられる

●特定された以外の味方競技者がキックを行った

●不正なフェイントを行った

場合には間接フリーキックで再開されることが明確になりました。

またキックの結果による再開方法や処置の「要約表」も大変分かりやすくなりました。

(そもそも「例外」が複数存在するにもかかわらず、すべてを「ゴール」「ノーゴール」の結果とどちらの競技者の違反なのかで要約しようとしたのには無理があったような・・・。)

 

2017/18版において明確化という方向で同規則はさらに「進化」しました。それはペナルティーマークからのキックの場合においてキッカーが不正なフェイント等の反則を犯した場合について「キックは失敗として記録」と明記されたことです。(等と書いたのは例えば「大声を出してゴールキーパーを威嚇する・声で惑わせる」のように「助走完了後のフェイント」以外の反スポーツ的行為も含まれると解釈出来るからです。)

 

ペナルティーマークからのキックの場合、間接フリーキックでの再開というオプションはないため、規則を曖昧に理解しているとキックの結果がゴールであればキッカーにやり直しの機会を与える恐れがあったのではないのでしょうか?(私自身、このようなケースに直面したらイエローカードの提示は出来ても、やり直しの機会を与えていたかもです。)

 

というわけで:

 

サッカー競技規則 2017/18 

第10条 

3.ペナルティーマークからのキック

ペナルティーマークからのキックの進行中

● 主審がキックを行うよう合図した後に犯した反則でキッカーが罰せられる場合、そのキックは失敗として記録され、キッカーは警告される。

 

という表記は歓迎すべきものであります。

 

上記規則をちゃんと理解しておけば堂々とカード提示後、ノーゴールとの判定が出来ますね。いや~めでたしめでたし・・・と、ことが簡単には収まらないのが世の常。それは上記の規則の後に次のような文言が続いているからです。

 

  ゴールキーパーとキッカーの両方が同時に反則を犯した場合:

・   キックが失敗した、あるいは、セーブされた場合、そのキックはやり直しとなり、 両方の競技者は、警告される。

・   ボールがゴールに入った場合、得点は認められず、そのキックは失敗として記録 され、キッカーは、警告される。

 

同じくペナルティキックについても:

 

第14条 ペナルティキック

(中略)

競技者がより重大な反則(例えば不正なフェイント)を犯した場合を除き、両チームの競 技者が反則を犯した場合、キックが再び行われる。ただし、ゴールキーパーとキッカーが 同時に反則を犯した場合:

●ボールがゴールに入らなかった場合、キックをやり直し、両方の競技者は警告される。

●ボールがゴールに入った場合、得点は認められず、キッカーは警告され、守備側チー ムの間接フリーキックでプレーを再開する。

 

と新たに文言が加えられています。

 

そうなんです、これは最初に書いた今回の要点である「ペナルティー(マークからの)キック時に警告に値する(=不正な)フェイントを行ったキッカーには、ゴールもしくはノーゴールの結果にかかわらずキックをやり直しさせる機会を与えない」のまさに「例外」なんですね。不正なフェイントを行ったから無条件に再キックの機会を与えないというわけではないということです。う~ん、ややこしい。

 

では解説。上記のポイントは「同時反則」という条件にあります。ご存知のように同時に反則が起こった場合には「より重いものを罰する」という原則が適用されますので、例えば:

 

キッカーが不正なフェイントを行ったと同時に守備側競技者がインプレーになる前にペナルティーエリア内に侵入した場合には(ゴール、ノーゴールの結果にかかわらず)キッカーを警告したのちに間接フリーキックでの再開

 

となります。

 

この原則でいけば同じ重大さの反則が同時に起こればゴール、ノーゴールの結果にかかわらずキックはやり直しになります。つまり:

 

① ゴールキーパーがインプレーになる前にゴールライン上を飛び出したのと同時にキッカーが不正なフェイントを行いノーゴールになった場合、両競技者は反スポーツ的行為で警告され、キックはやり直しとなる。

 

一方で:

 

② ゴールキーパーがインプレーになる前にゴールライン上を飛び出したのと同時にキッカーが不正なフェイントを行いゴールになった場合、キッカーのみが反スポーツ的行為で警告され、キックのやり直しは行わない。

 

ということなわけです。

 

さてさて、これらの規則を「例外」と書いたのはあくまで不正なフェイントがキッカーによって行われたという視点からのことで、実は競技規則の原則とは一貫性が保たれているのです。

 

つまり①は同じ重さの反則が同時に起こったのでゴール、ノーゴールの結果に関わらずキックはやり直しになります。で、②は結局は「不正なフェイントの場合にはキックのやり直しは行わない」と同じことであり、実はこれも「より重い反則を罰する」の原則に基づいている条項なのです。

 

②の解釈が多少ややこしい。つまりゴールキーパーは反則は犯しているものの、ゴールになっているので「警告の対象になる反則」にはなっていない。一方不正なフェイントは常にその行為自体で警告の対象なのでキッカーは「より重い反則を罰する」の原則から警告されペナルティーキックの場合は間接フリーキックでの再開、ペナルティーマークからのキックの場合は失敗として記録されるわけです。

 

この条項を曖昧に理解していると主審は「火傷」しますね。例えばキッカーが不正なフェイントを行ったと同時にゴールーキーパーがインプレーになる前にゴールラインを離れたので、その事象をもってキックされたボールが大きくゴールを逸れたにもかかわらずキックのやり直しを命じるのは規則の適用を誤っていることになります。そもそも助走を終了したのち一度ボールを蹴るフリをして、キックした場合にはゴールキーパーがフェイントにつられてインプレーになる前にゴールラインを離れることが大いに考えられます。その事象をもってしてボールをセーブしたゴールキーパーも反則を犯したと判定することは公平性に欠けています。競技規則を理解しつつも、結局は何が選手もベンチ役員も納得できる判定であるかを常に意識すべきかと思います。

 

「策士策に溺れる」であってはなりませんね。

 

そもそも上記のようにペナルティー(マークからの)キック時に警告となる反則が同時に起こることは稀です。なので本当に上記の規則を適用すべき「例外」事象なのかを正確に見極めないと選手にもベンチ役員にも「?」な判定になります。一方で稀であっても起こるべくして起こったら毅然と迷いなく判定を下す必要があります。

 

というわけで、今一度皆さま自身で2017/18競技規則を紐解いていただきご意見等頂けますと嬉しい限りでございます。

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私論カテゴリー別サッカー審判法 傾向と対策

先月、今月と実戦の機会が多くあり、やはりあーだこーだと理屈をこねたり言葉を連ねるより1回の笛、1回の旗の経験から得られるものは多ございますと再認識した次第。

 

とは言いつつも今回も、またまた理屈をこね言葉を連ねてみます。

 

さてファウルをどうやって見極めるのか、そもそも何を監視すべきかという問題が常に審判員にはつきまとう(というかそれこそ頭では分かっているけど出来ないという問題な)わけです。

 

ここでまずひとつのヒントとして審判員の立場から見たカテゴリー別の(ファウルに限らず)傾向を書き出してみたいと思います。でもこれはあくまで私の限られた試合経験の中でのインプレッションに過ぎません。ですので皆さんなりのカテゴリー別の印象を思い出されながら「ちょっと違うなあ~」とか気楽にご批評ください。逆に言えば様々なカテゴリーを経験することは引き出しも増え、気付きも多く、自信にもつながるということです。*ここでいう「カテゴリー」とは競技種別のことです。

 

まず4種。

U12とかU10とかU8とかカテゴライズされますけど分かりやすく学年で言えば小学生ということになります。成長曲線の傾斜が一番急なカテゴリーなので(=1~2年差で体力やスキルや知識や精神力がかなり異なる年代である)独断と偏見で3つに区分します。

 

1.小学校1~2年生

1年間で子供は競技者としてずいぶんと成長するにもかかわらず、ここではその差を無視して乱暴にひとくくりにしています。この学年は普段あまり運動されないお父さんお母さん審判の方々にも体力的に「優しい」カテゴリーです。それなら審判デビューはこの年代からかというと、実はあまりお勧めできません。なぜなら「え~そんなことするの」という予期しない展開や行動を子供たちがとり、競技規則をよく理解していないと適切な対応が出来なくなる可能性があるからです。また子供たちが勝手な解釈や判断でリスタートの方法や判定結果を間違えたりすることもあるので、手短な分かりやすい言葉で指示を出して細かくマネジメントすることも時には求められます。 オフサイドラインは「線」にはならず、誰が最後から2番目の選手なのか目の前の映像を素直に捉えることも求められます。上級審判員でも勉強になるカテゴリーです。

 

2.小学校3~4年生

主審や副審などお父さんお母さん審判員がデビューされるにはちょうどいいカテゴリーのように思います。ただ久しく担当していないので、この辺の私の感覚はズレているかもしれませんけど・・・。ちなみにこのカテゴリーまでなら副審はほぼ全てサイドステップでフィールドに向かって正対したままオフサイドラインをキープできるようにしましょう。

 

3.小学校5~6年生

Jリーガーのふるまいも真似ます。異議だって言います。個々人の主張がプレーにも言動にも明確に表れます。主審として下手なポジションなんかとろうものなら「邪魔だよ!」なんて言われます。ファウルをとれていないとハーフタイムにベンチへ引き上げる選手から「XX番のファウル見ててくださいよ」なんて言われます。ベンチも黙ってないです(チームの「社風」によりますけど)。卒業が間近な場合「思いも」増しますのでひとつひとつの決定に対して応援団のボルテージも上がります。ただ体力的にはハーフは通常20分の試合時間40分なので、スタミナ切れなんて許されません。副審もよほどのトップスピードでない限りできるだけフィールドに正対してサイドステップ。競技者、ベンチ役員、観客からの精神的なプレッシャーも、このカテゴリーでは涼しい表情で受け止めましょう。一方で体格、体力、気力とも小学生の中で一番充実する時期なのでラフプレーなどによる警告また過剰な力や著しく不正なファウルによる退場も常に視野に入れておきましょう。

 

4種全般に言えることですけど、戦術理解や技術の未熟さからプレーの展開が予測できない部分があり、審判としての動きやポジションの取り方が3種以上のカテゴリーより逆に難しいということがあり得ます。この辺は主審のトレーニングとしては適切な負荷がかかり、いいかもしれませんけど。

 

次に3種。

 

これも細分化できないわけではないのですけど、ざっくり言うと中学生、U15ということです。このあたりからチームの指導方針(もしくは技術)、戦術、カラー等々によってかなりチーム間の実力差や個性が顕著になってきます。逆を言えば審判員としては上記のような各チームの傾向を事前にインプットしておくことはジャッジングやマネジメントの助けにもなるということです。

中学の3年間もまた成長率の著しいステージでもあるので例えばU13ですとリーグや試合の都合上、一人審判員なんてシステムもあったりします(これは避けたいですね)。3年生になると体力的にも技術的にももう小学生の延長ではありません(場合によっては飛び級で上のカテゴリーでプレーする選手もいますよね)。ただ一般的には中学生と高校生の間には高い段差があり、やっはり競技者としての体力的精神的タフさは高校生になってグッと鍛えられるように思います。

 

さて4種と比較した場合の違いはまず試合時間とフィールドの広さに現れます。

 

U15の試合時間は35分ハーフの70分とか40分ハーフの80分が標準だと思います。普段どのカテゴリーを中心に審判業務を行っているのかでこの試合時間を「長い」と思うか「短い」と思うかの体感が変わってくると思います。またフィールドの広さで言えば大会によっては2種や1種の試合で使用するスタジアムや競技場をそのまま使用することもあるわけで、審判員としての走行距離や監視すべき範囲は4種と比べて大きく広がります。

 

さてチームごとの実力から見てみると、技術、戦術レベルの高いチームであれば明確な意図や連携意識で正確なボール回しを行なってきます。主審はプレーの展開の予測がし易く、滑らかな動きと適切な距離でのポジションがとりやすくなります(ただし適切な監視角度を常に保てるかは主審の技術に負うところが大きいですね)。副審も明確なラインキープが可能となり、ラインの上げ下げのタイミングや意図も明確で動きのリズムが掴みやすいと思います。

 

一方でスピードは4種とは明らかに違ってきますので、走力やスタミナは求めらます。副審はゴールキック時にゴールエリア内に確実にボールが静止した状態で置かれたことを確認後すばやく最終ラインに戻っていく必要があります。GKによるパントキック時も同じくペナルティーエリアの外に出てボールを手で扱っていないかを確認しキックされたのと同時に最終ラインまでダッシュで戻ります(動きとしては4種の審判時と何ら変わりありません)。裏スペースの抜け出しにも遅れることなく(かと言って最終ラインより前のめりにならないように)スプリントをかける必要があります。これらの動作を正確に繰り返す体力と集中力がより求められるということです。

 

ファウルで注意すべき点は、実力差があるチーム間での対戦の場合、片方のチーム(実力がより下位のチーム)が厳しいコンタクトで守備を行なうケースでは無謀以上になりやすいということです。つまりある意味「身を呈して」チャレンジしないと相手チームの攻撃を止められない状況ですので、しっかりとるべきファウルをとらないと試合が荒れます。この点は次の2種でも書きます。

 

試合前のプロセスや交代の手続きなども、公式戦やリーグ戦では多くの場合4種の試合よりも「厳格」になります。第四の審判員として経験を積むことでも、より広範かつ深く審判任務を理解する助けになります。Jリーグのユースの試合を担当できる機会もこのカテゴリーから増えるでしょう。

 

さて、次は2種。

 

U18もしくは高校生ですね。3級審判員の場合、このカテゴリーで出来るだけ多くの経験を積むことで体力、気力、精神力、技術が最も鍛えられるように思います。さらに上級を目指す方々の研鑽の場として不可欠なカテゴリーだと思います。

 

上位のチームではスピードもJのチームに限りなく近づきますのでその中で90分間審判員としてフル稼働することは自信にも繋がるでしょう(というか最初はついていくのが精いっぱいかもしれません)。ボール回しも上位、下位チームに限らず意図やチーム戦術がより明確になるのでプレーの予測もさらにつきやすくなるかもしれません。一方で展開のスピードは3種より大幅に早くなるので、主審の場合置き去りにされて適切な角度からゴール前の攻防を監視できなくならないよう集中力をさらに高め、早め早めの動き出しが求められます。主審の場合静止している状態はほぼないと考え、スプリント、ジョグ、ウオーク、サイドステップ、バックステップ、ルックアラウンド(=首を左右に振りながら争点以外の競技者の動きやポジションを目視すること)の動作を状況に応じて組み合わせます。

 

2種では都道府県によって過去の戦績や昨年度のリーグ戦の結果によって1部、2部、3部(さらに4部もある場合もあるでしょう)と分かれているので、より上位(強豪)チームと下位チームの差が明確に分かるようになっていると思います。さらに同じ部の中でも成績上位と下位のチームでは実力差が顕著な場合があります。逆に下位の部に属するチームが上位の部のチームにトーナメント戦に勝つ場合もあり、一概に実力のヒエラルキーが固定されているとも言えません(それがサッカーという競技を面白くしているところでもあります)。

 

さてここで3種の時にも書いた上位チームと下位チームが試合を行う場合の注意点があります。下位チームが厳しいコンタクトプレーでとにかく激しく守備やボール奪取を狙うとファウルの多発が予想されます。特に足元にあるボールやパスされたボールを奪おうとタックルなどを仕掛けようとして、かわされた場合にそのかわされるスピードについて行けずレイトチャージ(いわゆるアフター)になる可能性が高まります。つまりすでにボールは回され足元にないのに相手競技者にチャージやタックルをしてしまうということです。またすでに相手競技者がボールを前に出してかわしているのにもかかわらずトリップなどで止めようとしてしまう等のファウルにも警戒する必要があります。感覚的に言えば真面目で団結しているチームほどこのようなレイトファウルを犯す率が高いようにも思えます。これらの「アフター」を主審が認識していないと競技者だけでなくベンチの不満も高まります。

 

さて高校生は一見大人になっているように見えて精神的には不安定な側面もあります。つまりキレやすい側面もあるし、そのパワーにもあふれているということです。それはいい悪いということではなく、成長の過程では必要な記憶力を高めたり感受性を磨いたりする結果本人にもコントロール出来ない精神状態になることもあるということです。我々も含めすべての人が通過するプロセスです。ですので審判員はそのことを念頭にコミュニケーションをとることが求められます。常に各競技者の表情や仕草を観察しその精神状態を見極めることが必要になります。ファウルを受けてもしくは自滅してもしくはアクシデントで傷んだ選手に声をかけることも重要ですよね。これらはもちろん2種に限った話ではないですけど、最初のうちはこのことが分からず警察や風紀委員のようにファウルを「取り締まる」審判員になったりするのですよねえ。いずれにしてもコミュニケーションの技術の鍛錬にもうってつけのカテゴリーです。

 

試合前のプロセス(=メンバー表の確認、選手登録証との照合、マッチミーティングにおける確認合意などキックオフまでの手続き)を把握理解するにもこのカテゴリーは丁度いいと思います。

 

そしてなにより3級審判員としては間もなくJリーグや世界で活躍する選手たちと一緒にフィールドを駆け回ることの出来る楽しみと夢があるではあ~りませんか!まあ、話は尽きませんのであらためて。

 

 

で、1種です。

 

大学生とか社会人ということになりますけど、年齢制限がないということなので高校生が社会人リーグの選手として出場することもあります。

 

さてこのカテゴリーの特徴は審判員としての精神力、メンタルタフネスを鍛えて頂けるということでしょうか(苦笑)。私自信、それほど多い経験はありませんので偉そうなことは言えませんけど、2種におけるコミュニケーション技術だけでは太刀打ち出来ないこともあります。実力や個々のチームカラーによってかなり異なりますけど、審判員としては試合前の情報収集やそれに基づいた審判チームとしての協働体制もさらに重要になると思います。

 

フィールドに入る前のことで言えばしっかりと選手登録証との照合を行わないと極めて稀ですけど無登録の選手を出場させてしまうことにもなりかねません。累積の懲戒罰の確認も必要です。本来出場させてはならない競技者を出場させたら試合成立の根本から崩れてしまいます。また用具や装身具の有無のチェックではピアス、ネックレスの確認はマスト。ピアスをテープで覆って出場することを認めてはダメです。外してもらいます。サッカーやるならピアスはNG。

 

リスペクトって言葉が重く響くカテゴリーですよねえ。

 

さて、最後にシニアです。

 

このカテゴリーでプレイされる方はやはりいい意味で大人です。たしかに試合中はよく口も動きます(苦笑)。ひとつひとつのプレーや判定にもこだわられます。趣味でやられていたとしてもそこはやはり勝負事ですから。でも試合が終わると審判員を労っていただく言葉を頂くことが多く、下手なジャッジングの時にはこちらが恥ずかしくなってしまいます。

 

とにかくケガや事故なく無事にサッカーを楽しんで終わること、そのための環境づくりに審判員は最大の注意を払う必要があります。ケガをされたり気分が悪くなっているようであれば速やかに退出してもらう配慮も大切ですね。それにしても皆さんお元気です!こちらも勇気づけられます。

 

さてここまで各カテゴリー別に自分の雑感を書いてきましたけど、ファウルの観点で言うとすべてのカテゴリーにおいて共通している「傾向と対策」があります。それはファウル=「狡くて危険な行為」と定義した場合最優先すべきは危険なファウルを見落とさないということです。これは競技規則にある危険なプレーという狭義の意味ではなく、文字通り負傷に繋がるような危ないすべてのプレーと言うことです。これらのプレーが行われているのに審判員が流している、もしくは気づいていないとなると競技者はもちろんベンチの不満も溜まりに溜まり爆発することもあります。これは例えばあなたが歩いていて猛スピードの自転車が自分の体に接触しそうになったとか車を運転していたら急に別の車が割り込んできて衝突しそうになった、とかのように人は自身や仲間家族に身体的危害や危険が及ぶと一気に感情が高まり相手に怒りをぶつけてしまう、ということと同じ状況だと思います。ここで的確な対応ができないとサッカー審判員の目的である「サッカーの魅力を最大限に引き出すよう、試合環境を整備し、円滑な運営をする」ことに大きく支障をきたします。私も未熟ものとしてこれを肝に銘じて日々修行です。

 

終わりにJFAのサイトにある種別の定義チャートを下記に載せておきます。

 

サッカー 種別 フットサル
年齢を制限しない選手により構成されるチーム
JリーグJFL・社会人連盟・大学連盟・高専連盟など
第1種 年齢を制限しない選手により構成されるチーム
Fリーグ・フットサル連盟・その他
18歳未満の選手で構成されるチーム(高校在学中含む)
高体連・クラブユース連盟・その他
第2種 18歳未満の選手で構成されるチーム(高校在学中含む)
フットサル連盟・その他
15歳未満の選手で構成されるチーム(中学校在学中含む)
中体連・クラブユース連盟・その他
第3種 15歳未満の選手で構成されるチーム(中学校在学中含む)
フットサル連盟・その他
12歳未満の選手で構成されるチーム(小学校在学中含む) 第4種 12歳未満の選手で構成されるチーム(小学校在学中含む)
フットサル連盟・その他
12歳以上の女性選手のみで構成されるチーム
Lリーグ・一般・大学・高校・クラブ(高校)・中学・クラブ(中学)
女子 ※ フットサルには「女子」「シニア」の種別はありません
※ 年齢は登録年度開始日の前日(3月31日)現在、ただしシニアについては、登録年度最終日(3月31日)現在の年齢
40歳以上の選手で構成されるチーム シニア

 

 では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボールパーソンの役割とリスペクト。 そしてヘイトのない世界へ。

こちらの記事にたいして貴重な情報を頂きましたので以下そのままご紹介させていただきます → 「ボールボーイ(パーソン)に乱暴な行為をしたら・・・。

 

2種・3種指導員 さんから頂いたコメントです  。

 

「はじめまして。
いつも楽しく読ませて頂いております。
私は2級審判員で中学生と高校生の指導を行っております。
Jリーグや日本A代表のボールパーソンも数度対応しましたが、ボールパーソンは選手にボールを渡す担当が決まっているのです。
よって、その他のボールパーソンはボールを拾っては、選手に渡す担当にボールを送る様な割振りになってます。
よって今回のボールパーソンは、ボールを拾うだけの担当で、言いつけ通りに対応しようとしたが、選手が詰め寄ってきたのでボールを渡してしまったものと推察してます。
本事件以降、会場関係者からは「誰が渡しても良い」とボールパーソンには告げられていると聞いてます。
本事実を知って頂き、今回のポールパーソンを非難するサッカーファンや関係者には改心頂きたいものです。」

 

で、わたしの返信です。

「2種・3種指導員さん、大変貴重なコメントを頂きありがとうございます!

なるほどそういう役割分担があったのですね。私自身も勉強になったことはもちろんこの事実を出来るだけ多くの方に知ってもらいたいと思います。そもそも自分の無知を棚に上げて一時の感情で大勢の大人がよってたかってサッカーを愛する一人の少年を叩くなんてことは絶対に「許さん!」です。

自戒もこめてこの事実をすべてのサッカーに関わる人たちに知ってもらえるようにお役に立てればと思います。」

 

 いま一度、議論を呼んだこの「事件」を考えてみるにつけ、冷静さが必要だったなと今さらながら思います。サポートするチームへの思いの強さも理解できます。一方でサッカーの試合は多くの人に支えられている事実を決して忘れてはならないとも思います。

 

もしボールパーソンへの態度や言動について「今思えばよくなかったな・・・」と心当たりある選手はぜひ自省していただければと思います。そしてボールパーソンだけでなく、選手だけでなく、私たち審判員も含めすべてのサッカーに関わる人たちが今一度「リスペクト」の気持ちを強くしてもらいたいと思う次第です。

 

今や現実の世界をは多くの「ヘイト」や「差別」に溢れているように見えます。リスペクトという基本原則を蔑ろにしたそれらの言動を一番毅然とした姿勢で許していないのがサッカーのフィールドでありスタジアムであるという事実。このことはこらからも変わらず守っていかねばなりません。

 

では、I'll be back.

サッカー審判員が桃太郎侍になる時。

  先日BSプレミアムを見ていたらビートたけしさんの番組の再放送があり「殺陣師」のお仕事を紹介していました。時代劇には欠かせない立ち回りシーン。歴代のスターが紹介されておりましたけど、私がかって最も衝撃を受けて虜になった立ち回りは勝新こと勝新太郎さんの動き。いや~さすが不世出の天才。スピード、キレ、そして踊るが如くの立ち回りにはシビレます。

 

なんでもかんでもサッカー審判と無理やり結びつけるわけではないですけど勝新のような動きで主審なんかやったらカッコいいだろうな~。脱線ついでに言うと座頭市が主審やったら・・・音と気配だけでファウルを見極めて笛吹いて・・・カッコ良過ぎ~・・・ってナンノコッチャ。

 

ところで、この回にはゲストとして高橋英樹さんが出ていました。で、高橋さんと言えばやはりあの「桃太郎侍」です。勧善懲悪の時代劇の筆頭ですな。もはや偉大なるワンパターンゆえのカタルシスの大きさでは「水戸黄門」や「遠山の金さん」に並びますよね(なんか時代劇評論になってきたな・・・)。

 

で、「桃太郎侍」のセリフと言えばあの悪党たちを成敗するクライマックスシーンでの「ひとぉ~つ、人の世の生き血を啜り。ふたぁ~つ、不埒な悪行三昧ぃ。みっつ醜い浮世の鬼を 退治てくれよう 桃太郎」が有名ですけど、その前のシーンでもお決まりのあのセリフがありますよね。

 

それが「許さん!」です。

 

そう、悪党の悪行三昧の被害にあった人々を見た桃太郎侍怒髪天を衝く、まさにあの特撮映画の傑作「大魔神」の中で大魔神が民衆を虐げている悪人たちに怒り柔和な埴輪の表情から恐ろしい形相に変わる瞬間のように、浪人侍が鬼退治の怒れるターミネーターに変わる瞬間なのです。まさにこの「許さん!」が決して見逃すことが出来ない事が行われたという認定であり基準となっているのです。

 

というわけで?ここからが審判のお話。そうこの「許さん!」っていう基準が審判員にも必要って話なんです。

 

この「許さん!」には語感通り、極めて強い意志が込められています。

 

例えばフリーキックでの再開時にボールは静止していなければならないわけですけど、「ちょっとぐらい動いていてもいいかな~」ということを許してはダメです。これはいわゆる「マイクロマネジメント」になりますけど試合全体のマネジメントに影響を及ぼす重要なマイクロマネジメントだと思います。逆に悪いマイクロマネジメントとは目的が置き去りにされて、マネジメント自体が手段から目的になっているような状態を指します。でも、今回の「許さん!」はこのような「いい」マイクロマネジメントを指してはいません。今回の「許さん!」はあなたのサッカー観、いや人生観にかかわるといっても過言ではないでしょう。子育てや育成なんかにも通じるものでしょう。

 

つまり目的を置き去りにしたままの過度の干渉や指示(=悪いマイクロマネジメント)は避けながらも「子供がXXXの言動をしたら絶対にそのままにしない」というあなたの方針や信念に基づいた「許さん!」と同義なのです。

 

それは選手やベンチ役員による異議すれすれの言動に対して柔軟かつ毅然と硬軟両方のアプローチを使い分けながらも、「この言動は絶対許さん!」という基準を持つということです。

 

例えば選手たちと和気あいあいとしたコミュニケーションを続けていたとしても「これを言ったら許さん!」という基準です。ベンチ役員がつい冗談で言った人の尊厳を傷つける、もしくは暴力行為を喚起させる言葉、これもあなたの基準で「許さん!」なら曖昧にしてはだめなのです。

 

プレーにおいても「許さん!」があるはずです。ボールを全くプレーする気がないことが明らかで、空中にいる不安定な状態の競技者へのトリッピングや全力で走っている選手の後方からのタックル等々、これらは限りなくカードの対象の可能性が高いプレーでもあります。そしてなにより危険なプレーかつ悪意のプレーです。この中でもさらにこれだけは絶対やってはダメというプレーそれが、「許さん!」です。

 

でも今回の「許さん!」はあなたのサッカーに対する価値観や信念と密接に結びついている審判員としての基準なのです。たとえ周りの空気に抗っても貫き通すべき基準なのです。

 

たとえ軽口でもたとえ冗談のような仕草でも:

 

●差別

●暴力

●生命への冒涜

 

を示唆したり意味したら「許さん!」というのが私の基準です。つまり退場もしくは退席ということですね。

 

とまあ、偉そうにいったもののこれを一貫して実行することはまさに審判員としての戦いでもあります。桃太郎侍への道は簡単ではないのです。

 

では、許さん・・・じゃなく

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サッカー審判やって凹んだら」2!

サッカー審判やって凹んだら」っていう記事を今から3年半ほど前に書きました。

 

あれから私も進化して・・・とはなってないのですね。それどころかいつも書くように下手になっているのでは~と毎回審判業務終わる度に落ち込む次第です。なので、上記の記事を読みなおし自分で自分を励ます状態です。

 

さてこの「凹む」という状態、副審を担当したときよりも主審担当のときのほうが凹む頻度も凹みの深さも大きいように思います。

 

それは主審と副審の:

 

1)職権

2)任務範囲

3)注目度

 

の違いからくるものだと思います。

 

1)についていえば副審は判断はできても決定は主審の権限です。

2)は言わずもがな主審の担当範囲は副審より広いですね。ある意味全てを担当するのが主審なので「一人審判」も成り立つわけです。

3)も言わずもがなですね。とにかく選手、ベンチ、観客の視線は(時には非難は)フィールドの中にただ一人いる審判員としての主審に集中して注がれます。

 

これ逆に考えると副審を担当することの多い自分としてはある意味最終的な責任は主審がとるのだから「気楽に」試合に臨めるということにもなりかねません。

 

正直に言うと、そのような面も否定できません。

 

しかしこれでは審判員としての進歩はなくなりますね。「ノーリスク、ノーゲイン」です。より責任やプレッシャーがかかる位置に身をおいてこそ人は成長できるという真理なわけです。

 

ただこのようなカッコいいことでは決してなく、私のレベルで凹む原因の多くは「差し違え」や「ファウルの見落とし」など極めてレベルの低い自分の技術のなさにあります。ただここが重要なのですけど、それは技術もありますけど多くの場合はメンタルに起因します。つまり:

 

1)責任をとる覚悟が出来ていないのでつい「無難に」収めようとする。

2)結局は自分が決定(判断)すべき時でも副審(主審)まかせになる。

3)または選手の様子をみて決めようとしてかえって信頼を失うジャッジングを行う。

 

というよな状況です。

 

これはいけません。やはりメンタルって重要です。

 

企業経営で言えば主審は経営トップで副審はそれ以外の社員に例えることもできるかと思います。トップは社員から様々な判断材料を受け取りながら、最後には決定しなければなりません。一方で社員もそれぞれの立場で判断することで、よりよい決定がなされるように経営トップにシグナルを伝える必要があります。なので上下関係はあるかもしれませんけど、それぞれの立場でリスクをとりチャレンジすることで(革新であろうと現状維持であろうと)責任を果たします。

 

主審と副審も同じですね。

 

「責任回避」せず正面から向き合います!

 

では、I'll be back.

 

 

 

試合中に熱中症になりかけたら。

先々週末の筋肉疲労も抜けないまま、週末もすべて審判業務とあいなりました。

 

で、特に厳しい気象条件だったのが日曜日でした。この日は勝手に曇りになるかなと思いながらも日焼け止めも塗り、塩飴、メープルシロップ入りミネラルウォーター、塩味のカシューナッツも持参し試合前から準備万全だったのですけど・・・それは突然やってきました。

 

午前中だというのにすでに気温は30℃越え。日差しは紫外線が針のように注いでいるかのような状態。WBGTは・・・。実は筆者WBGTの基準値とか意味をよく理解していなかったのです。もうこの時点で準備万全とは言えませんね。ひらたく言うと甘くみていたわけです。

 

まずは筆者の下手な説明より環境省のこちらのサイトをご覧ください → 

環境省熱中症予防情報サイト 暑さ指数とは?

 

まずは:

 

WBGT=28℃=厳重警戒=熱中症患者が著しく増加する境目

 

と覚えておいてください。

 

そして:

 

28~31℃ 厳重警戒
(激しい運動は中止)
WBGT28℃以上では、熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。
運動する場合には、頻繁に休息をとり水分・塩分の補給を行う。
体力の低い人、暑さになれていない人は運動中止。

 

31℃以上 運動は原則中止

WBGT31℃以上では、特別の場合以外は運動を中止する。
特に子どもの場合は中止すべき。

 

 

となります。

 

そのうえで、こちらの日本サッカー協会の通達をご覧ください → 熱中症対策ガイドライン 

 

ここで特に注目したいのが以下の文章。

 

「屋根の無い人工芝ピッチで試合を行う場合は、天然芝等に比べて WBGT 値の上昇が見込まれるため、上記の値から-3℃した値を基準とする。 」

 

つまり仮にWBGTが28℃であってもそれは31℃に匹敵するので「WBGT=31℃以上となる時刻に、試合を始めない。(キックオフ時刻を設定しない。)」ということになることを意味するわけです。

 

さてWBGT計測器なんて常に用意されているわけでもないですし、そもそもその意味を理解していなかった反省すべき審判員である私としては後で思えばかなり危険な状況で45分ハーフ90分ゲームの副審を務めたわけです。当然走るペース配分は最終ラインおよびボールの動き次第。このような気象条件のときに限って守備側の最終ラインの上げ下げが頻繁に行われたのです。そうやって裏に抜ける攻撃側の動きとも相まってスプリントを繰り返した結果、だいたい前半30分過ぎだったでしょうか・・・以前記事にしたような状況の予兆を自分の体に感じたわけです。つまり体温が異常に上がったように(身体、特に頭部が熱く)感じ始めたかと思うと、「ちょっと寒いかも」というアノ感じです。そうちょうどインフルエンザになって高熱が出始める時の悪寒のようなアノ感じです。

(以前の記事はこちら →「 サッカー審判員の「無知」が選手の生命を危険にさらす(後編)。 」)

 

やばいな~と感じながらも、あと15分+アディショナルタイムを乗り切れば休める。なんの根拠もないまま頭の中では後半ハーフに向けてハーフタイムのインターバルでリカバリーするためのある「秘策」が思い浮かんでました。

 

さてその「秘策」とは?ここからはあくまで個人の経験としての対策であって医学的根拠をもとにした推奨されるべき熱中症の対応策でないことを念頭にお読みくださいませ。

 

さて15分間の休息に入ってすぐに行ったことは2本の冷えた飲料を自販機で購入することでした。一方はミネラルウォーターそしてもう一方は「グリーン ダ・カ・ラ」。

 

まずは「グリーン ダ・カ・ラ」で水分、塩分、その他ミネラル補給です。市販の飲料の中では一番添加物が少なく、甘すぎず、塩分やカリウムなどのバランスがとれた優れものの飲料だと思います(念のためメーカーの回し者ではございません)。

 

で、次にミネラルウォーターの出番。これを自販機で買ってすぐに脳内を巡回している血液の温度をさげるべく(もしくは頭部の熱を冷ますために)冷えたボトルを首筋に当てたわけです。特に有効なのが首の横から前方に向かって斜めにペットボトルをあてて(多分)頚静脈付近(と思われる個所)を冷やすことです。このためなら別にミネラルウォーターでなくても冷えたペットボトル飲料ならなんでもいいのですけど(例えば「 グリーン ダ・カ・ラ」で首筋冷やしてから飲むとかなら飲料1本買えば事足りる)水のいいところはそのまま頭にかけることが出来る点です。

 

これでイメージとしては脳内に行く血液を冷やすことで熱のこもった頭部を冷却しているつもりだったのですけど(実際は頚静脈というのは脳内からの血流が心臓に戻っている血管なのですね)、まさにイメージどおりこもっていた熱が取れたのです。そうやって不思議にも後半ハーフの方がバテないで走れたというわけであります。

 

あと試合中もタッチライン付近に置いてある両チームの飲料をアウトオブプレーの時に飲むようにしました。このようにすれば試合中も水分補給は出来ます。出来ますけど上記のように熱が体にこもり始め、いわゆる熱中症のステージ2に進み始めると水分補給だけではその勢いを止めることが難しくなる可能性があります。なので試合中に熱中症になりかけたら中断を求める勇気も大事。またよく冷やした水をかけた帽子をかぶる勇気も大事。

 

とまあ、結果的に今回も何事もなかったのでいい経験になりましたけど、やはり熱中症はナメてはいけません。それは忘れたころに突然やってくるのです。サッカー審判員としては安全な試合運営、選手の健康の確保そして安心していいコンディションで選手に最大限のパフォーマンスを発揮してもらうことが任務となりますけど、その任務を遂行するためにはまず自身の安全を確保しなければならないというわけです。

 

ということで熱中症の予防対策対応メモ。

 

<試合前>

体調管理。とくに担当週における十分な睡眠および栄養補給。体調不良なら割当てを受けない。

必要に応じてアップ時からこまめな水分&栄養補給。

アップで熱のこもった身体の冷えたペットボトルを使った冷却。

<試合中>

アウトオブプレー時での水分補給。

時間軸と状況に応じたペース配分。

帽子の使用。

<ハーフタイム>

冷えたペットボトルを使った身体冷却。

水分&ミネラル補給。

帽子の使用。

<試合後>

十分な休息および栄養補給。

 

では、I'll be back.

 

 

 

 

サッカー審判員のコンタクト

前回の記事(「 サッカー主審の「動体視力」の本当の意味 」)でコンタクトレンズを使用したことの効能を書きましたけど、重要なことを書き落としてました。

 

それは主審 ⇔ 副審でのアイコンタクトがクリアになったことです。実はこれが一番悩みの種だったのです。各選手の動きや他の審判のシグナルは見えてもお互いの目と目がしっかり合わせることができないと(ぼんやり見えているだけでは)短い時間内で信頼関係を築くことが難しくなります。言葉やシグナルと同じくらい、いや会話できる状況は限られる試合中の審判同士ではこの目によるコミュニケーションが口ほどにものを言います・・・っていう真理なんですね。

 

アイコンタクトが重要になる状況についてはこちらの過去記事をご参照ください。→ 「 サッカー審判 「スゴイミニ」とは?  - 後編 」

あとこちらの記事も合わせてどうぞ。→ 「 主審と副審の「未知との遭遇」 」

 

シグナルビープとか電子通信システムなんてものを使用する試合を担当することはない私としてはこの主審と副審のアイコンタクトを引き続き実戦での課題とし、繰り返しチャレンジしてみます。

 

では、I'll be back.